第95話 拍手のあとで、夜が口を開く
午後の部が終わっても、演奏会の熱はまるで下がらなかった。
音舞殿の外では、まだ拍手の余韻が残っている。客席から流れ出た人の波が、そのまま共鳴鈴の売り場の前に長い列を作っていた。
「札入り、まだありますか!?」
「紅、二つください!」
「ちょっと待って、陽黄どこ!?」
「青磁、午後見てから欲しくなったんだけど!」
「挨拶の儀の札付きなら、絶対いるでしょ!」
売り場の向こうで、マギウスがいつもの顔で全体の流れを見渡している。顔だけ見れば落ち着いているのに、補充の箱を足元へ三つ積んでいる時点で、もう相当忙しい。
ゼノは舞台裏の通路から、その列を一瞬だけ見た。
まだ、切れていない。
というより、むしろ増えている。
午前の部を見て残った客。
午後の部だけを狙って来た客。
午後を見てから、やっぱり買わずに帰れなくなった客。
全部が今、あの列に流れ込んでいる。
「……すごいですね」
ゼノが小さく言う。
横でロイドが鼻を鳴らした。
「お前が仕込んだんだろ」
「仕込んだ以上に来てる気がします」
「なら上出来だ」
そう、上出来だ。かなり。
でも、今はそこへ立ち止まる時間じゃない。
《視聴者数:2,731,842》
〈コメント:まだ列切れてないの強すぎる〉
〈コメント:札付きはそりゃ売れる〉
〈コメント:完全に熱が繋がってるな〉
《ラグゼル:流れが切れていない。いい》
《エモーシア:欲しいと思った熱のまま買わせるの、上手いわね》
《リュケオン:祭りのあとにまだ祭りが続いてる感じ、最高!》
《フィクサル:浮かれるな。締めまでやれ》
《ゼノ:分かってるよ》
今日の最後は、まだ終わっていない。
今回は特別公演。しかも午前午後の二部だ。
そのため、販売後の挨拶の儀は行わなかった。販売が終了する時間が読めないためだ。
挨拶の儀。
歌い手と客が、舞台の余熱のまま近くで言葉を交わす時間。
ただし今日は、公演の規模が大きすぎた。現に、行わなくて正解だった。
だから、挨拶の儀そのものは別の日でやる。
歌縁館で。
そして今夜は、開演後、全員で今日の結果について話し合うために集まる。
ミラベル十二人に、イグニス、リリアン、音楽団。さらにノクシアの五人まで動くとなると、歌舞殿の楽屋では狭い。しかも今の温泉郷は、どこも人の目が多い。舞台を下りた直後の歌姫団をぞろぞろ歩かせたら、それだけで騒ぎになる。
だから、歌舞殿から人目につかず、裏動線で行ける歌縁館を使う。
「行きます」
ゼノが言うと、ロイドは短く頷いた。
「先に向こう、開けてある」
ゼノは最後にもう一度だけ売り場の列を見る。
まだ続いている。
あれはしばらく止まらない。
だったらいい。
今日のミラベルは、それだけ取ったということだ。
――
歌縁館の中は、外のざわめきより少しだけ静かだった。
少しだけ、だ。
ミラベル十二人。
イグニス。
リリアン。
ダリオ、ボルグ、カイルス、リュシエル。
それにノクシアの五人までいるのだから、静かになりようがない。
それでも、舞台の外の騒ぎとは質が違った。
ここにあるのは、人に見せるための熱じゃない。
見せ終わったあと、まだ身体に残っている熱だ。
歌い終えたばかりのミラベルは、全員がまだ公演の続きを身体のどこかに抱えていた。
髪飾りが少しだけずれている。
衣装の袖が乱れている。
頬が赤い。
息がまだ浅い。
それなのに、全員ちゃんと可愛い。
舞台用の可愛さじゃない。終わった直後にしか出ない、近くで見ると余計に刺さる可愛さだ。
「やばい、まだ耳おかしい」
最初に壊れたのは、やっぱりミルファだった。
蒼の飾りを揺らしたまま、椅子に座るでもなく立ったまま両手をぶんぶん動かしている。
「午後の最後、拍手やばくなかった!? ねえ、あれ、ほんとにやばくなかった!?」
「やばかったにゃ」
ミュラがすぐに乗る。琥珀のリボンの下で耳がぴくぴく動いていた。
「しかも、かわいいっていっぱい言われたにゃ」
「それは毎回言われてるでしょ」
ベルナが笑う。
「今日はいつもより多かったにゃ」
ミュラはわりと本気だった。
「あと、尻尾見てる人も多かったにゃ」
「そこは見られるでしょ」
ナディアが肩を揺らす。
「え、普通に羨ましいんだけど」
サニアが言う。
「そういう分かりやすい武器、強いじゃん」
「サニアも十分強いですよ」
セレスが淡々と返す。
「あなたは顔が“前へ出ます”って言ってます」
「褒めてる?」
「半分くらいは」
場が少し笑う。
《エモーシア:かわいい子たちが本番後に崩れてるの、すごくいいわ》
《リュケオン:この楽屋の熱、大好き!》
《ノクティア:終わった直後の顔って、舞台の上より本音が出るのよね》
《ゼノ:見物しすぎだろ》
《ノクティア:だって面白いもの》
ルミナは、まだまともに座れていなかった。陽黄の衣装の裾を握ったまま、落ち着かない顔で辺りを見ている。
「ルミナ」
リーシャが隣からそっと呼ぶ。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないです……」
即答だった。
「午後の後半から、客席の顔がこっち向いてるの分かって……もうずっと無理でした……」
「でも笑えてたよ」
ミルファが言う。
「それが無理なんです!」
ルミナは本気で言った。
「笑えてたってことは見られてたってことでしょ!? なんでそんな落ち着いていられるんですか!?」
「慣れ」
ナディアが短く答える。
「一番役に立たない答え!」
また笑いが落ちる。
ルミナは本当に毎回死にそうになるのに、そういうところまで含めて可愛い。陽黄っていう色が、もう完全にハマっていた。明るくて、でも少し危なっかしくて、守りたくなる。
ノエルは少し離れた椅子に座っていた。薄藤の衣装が、こういう静かな場所だとまた違って見える。舞台では儚いのに、近くで見るとちゃんと芯がある。
「ノエル」
ユノが小さく声をかける。
「大丈夫?」
ノエルはゆっくり頷いた。
「……大丈夫」
それから少し考えて続ける。
「大丈夫なんだけど、まだ……客席の光が残ってる」
その言い方が、妙に良かった。
「分かる」
ユノも頷く。
「終わったのに、まだ終わってない感じ」
「それ」
ノエルが少しだけ笑う。
「それです」
ユノの青磁は、今日、ちゃんと舞台にあった。派手に前へ出る色じゃない。でも、全体の流れにいると一気に効く色だ。本人もそれを少し掴み始めている顔をしていた。
ベルナは自分の紅紫の鈴が売れている話を聞いて、かなり機嫌が良かった。
「やっぱりお客って、危ないの嫌いじゃないよね」
「言い方が悪いです」
セレスが刺す。
「でも本当でしょ?」
セレスは答えない。
図星の時の沈黙だった。
サニアはさっきから落ち着きがない。終わったあと特有の放心じゃなくて、次に行きたくて仕方ない顔だ。
「次、もっと行ける」
ぽつりと言う。
「早いにゃ」
ミュラが笑う。
「だって今日ので終わりじゃないもん」
サニアは即答する。
「分かった。まだ上がある」
「分かった上でその顔なら悪くない」
ナディアが返した。
「でも食い急ぐなよ」
「急いでない」
「その目で言うな」
リーシャは、薄桃の衣装の袖を整えながら、ずっと静かに嬉しそうだった。彼女はこういう時、騒ぐより先に一つ一つ噛みしめる。
「前の方の子、手を振り返してくれてた」
ぽつりと言う。
「リーシャはそれ取るよね」
ミルファが笑った。
「絶対返しちゃうもん」
「返したくなるんだもん……」
そう言って少しはにかむのがまた可愛い。
《リュケオン:推しが決まらないやつだこれ》
《エモーシア:分かるわ。全員ちがう刺さり方するもの》
《ラグゼル:色分けが効いているな》
《ゼノ:見方が完全に客なんだよな》
《エモーシア:いいじゃない、客目線も大事よ》
エレナは部屋の奥で壁に手をつき、一度だけ深く息を吐いていた。紅の飾りが少し傾いている。けれど立っているだけでやっぱり中心だ。
ゼノはその横顔を見て、やっぱり強いなと思う。
「エレナ」
声をかける。
エレナはすぐに顔を上げた。
「はい」
「午後の方が良かったですね」
ほんの少しだけ目が丸くなる。
それから、小さく笑った。
「やっぱり、分かりますか」
「二曲目の入りから違いました」
ゼノは言う。
「午前より、午後の方がちゃんと奪いに行ってた」
エレナはそこで少しだけ肩を抜いた。
「……良かった」
そして、すぐに続ける。
「でも、まだ歌えます」
「終わった直後にそれ言うの怖いよな」
カイルスが笑う。
「事実です」
エレナは真顔で返した。
「そこが中心なんだよねえ」
リリアンが、少し離れたところから面白そうに言う。
ミラベル十二人は、それぞれ違う熱を持っている。
でも、ちゃんと一つの群れになっていた。
そこでようやく、ゼノは部屋のもう一方へ目を向けた。
ノクシアの五人だ。
今日は公演には出ていない。けれど、午後の終演のあと、歌縁館まで一緒に来ている時点で、もうただの見学じゃなかった。
ジュリアは腕を組んだまま、口元だけで笑っている。
カレンは壁に寄りかかっているのに、目だけ全然休んでいない。
レティアは最初から楽しそうだ。
フィアは静かだが、その静けさの奥が燃えている。
エマはいつも通り不機嫌そうで、でも一番ちゃんと燃えていた。
しばらくミラベルの騒ぎを見ていたあと、最初に口を開いたのはジュリアだった。
「……いいな」
その一言で、部屋の空気が少しだけ向きを変える。
「何が?」
ミルファがすぐに聞く。
「何がって、あれ全部」
ジュリアは肩をすくめた。
「舞台も、拍手も、売り場の列も」
「売り場の列まで入るの?」
ベルナが笑う。
「入るでしょ」
レティアが言う。
「あそこまで熱が続くの、かなり気持ちいいもの」
カレンが壁から身体を起こした。
「私たちも早くやりたい」
その言い方が、思ったよりまっすぐだった。
フィアも小さく頷く。
「早く立ちたい」
エマは少しだけ黙ってから、ぶっきらぼうに言う。
「……見てるだけ、けっこう腹立つ」
「それはそう」
ジュリアが笑う。
「しかも今日のあれ見たあとだし」
「うん」
レティアも頷く。
「光にあそこまでやられたら、夜も黙ってられない」
その言葉に、ミラベル側の空気が少しだけ変わった。嫌な感じじゃない。むしろ、ちゃんと向き合った感じだ。
《ノクティア:いいわね。その顔》
《リュケオン:夜組も火ついた!》
《エモーシア:悔しいって感情、次に繋がると強いのよ》
《フィクサル:ここで止まるな》
エレナがノクシアを見る。
ジュリアも見返す。
その間に入るように、イグニスが壁から身体を起こした。
「ノクシア」
五人がそっちを見る。
「一曲じゃ足りん」
場が一瞬、静かになる。
軽い声じゃなかった。
思いつきでもない。
もう腹の中では決めていた声だ。
カレンが真っ先に食いつく。
「増やすの?」
「増やす」
イグニスは即答した。
「一曲だけで単独の公演は出来ない」
ゼノは、その言葉に少しだけ笑いそうになった。
やっぱり来た。
ミラベルの今日を見て、ノクシアを一曲で止める男じゃないと思っていた。分かっていたが、実際に言葉になるとやっぱり熱が出る。
「最低でもあと四つ」
イグニスは続ける。
「単独でするなら、五つはいるだろ」
ジュリアの目が細くなる。
「いいね」
「二曲目は強い方がいい」
カレンがすぐに言う。
「もっと前へ噛みに行く感じ」
「三曲目は近いのがいい」
レティアが笑う。
「最後に刺して帰したい」
フィアは短く頷く。
「流れは要る」
エマだけは少し黙ってから、ぼそっと言った。
「……やるなら、ちゃんと似合うやつ」
「当たり前だ」
イグニスが返す。
「似合わんもん作ってどうする」
その返しが早くて、空気が少しだけ明るくなる。
ノクシアの顔が、一気に変わった。嬉しい、だけじゃない。獲物を前にした顔だ。
「言ったね」
ジュリアが笑う。
「言いましたねえ」
レティアも口元を上げる。
「じゃあ待つ」
フィアは静かに言った。
「ちゃんと待つ。その代わり、いいのください」
「注文多いな」
ダリオが笑う。
「当たり前でしょ」
ジュリアが返す。
「一曲で終わる気ないんだから」
《リュケオン:五曲構成きたあああ!》
《ノクティア:ようやく夜が本気で前に出るのね》
《ラグゼル:単独で回すなら妥当だ》
《フィクサル:数だけ増やすな。質も揃えろ》
《ゼノ:分かってる》
リリアンが腕を組みながら言う。
「そう来ると思った」
「思ってたなら黙ってろ」
イグニスが切る。
「やだ」
リリアンは笑った。
「でも正解。今日の光を見たら、夜も増やすしかないもの」
その会話を、ミラベル側も黙って聞いていたわけじゃない。
「いいじゃん!」
ミルファが先に反応する。
「ノクシアの曲、絶対増やした方がいい!」
「見たいにゃ」
ミュラも言う。
「見る前提なのね」
ジュリアが笑う。
「見るにゃ」
ミュラは平然としていた。
リーシャも少し嬉しそうだった。
「……楽しみ」
「今日の午後、こっちだって見てたもん」
カレンがミラベルを見る。
「だから余計に、早く立ちたくなった」
エレナが、そこで静かに口を開いた。
「歓迎します」
短いが、ちゃんと届く声だった。
「光だけ強くなっても、群れとしては弱いので。夜が前へ出るなら、その方が面白いです」
ジュリアが目を細める。
「言うじゃない」
「事実です」
エレナは平然としていた。
「怖」
レティアが笑う。
「でも好き」
ベルナが横から言う。
「あなたは本当にそういうの好きですね」
セレスが淡々と刺す。
「好きだよ?」
ベルナは悪びれない。
歌縁館の中で、光と夜がちゃんと向き合っていた。
敵じゃない。
でも馴れ合いでもない。
同じ温泉郷で客を取りに行く、別々の群れ。
それが、ものすごく良かった。
その時、外廊下からまたざわめきが入ってきた。共鳴鈴の列が、まだ切れないらしい。
「まだ売れてるの?」
ミルファが目を丸くする。
「まだどころじゃない」
ゼノが口元を上げて言う。
「午後の客が、そのまま流れてる。午前見たやつが午後終わってから戻ってきてるのもいる」
マギウスが箱を抱えて入ってくる。
「紅と琥珀と陽黄が一回飛びかけた。補充してきた」
「陽黄……」
ルミナがまた赤くなる。
「かなり売れてる」
マギウスは容赦がない。
「やめてください、心臓に悪いです!」
「慣れろ」
ナディアがまた笑う。
マギウスは箱を置いて、ノクシアの方を見る。
「曲、増やす話か」
「なりました」
ゼノが答える。
「妥当だな」
マギウスはあっさり言う。
「今日の光を見せられたあとで、一曲のままはきついな」
ノクシアの顔がまた少し変わる。認められるのは、やっぱり効く。
エマがぼそっと言う。
「……きついのは嫌」
「嫌なら練習しろ」
イグニスが返す。
「お前らならできる」
その言葉は、かなり強かった。
慰めじゃない。
持ち上げるだけでもない。
できる前提で言っている。
だから効く。
《エモーシア:こういう言い方、刺さるのよね》
《ノクティア:甘やかさないのにちゃんと前へ押す。悪くないじゃない》
《リュケオン:夜組、これは燃えるぞ》
《ゼノ:もう燃えてるだろ》
ジュリアが笑う。
「ほんと、そういう時だけいいこと言う」
「だけじゃない」
ミルファが横から言う。
「たまにすごくいい曲も作る!」
「たまに、って何だ」
イグニスが半眼になる。
「えっ、いや、いつも! いつもです!」
場がまた笑った。
熱が落ちない。
でも、その熱がだんだん“終わった熱”から“次へ行く熱”へ変わっていくのが分かった。
ゼノはその変化が好きだった。
拍手のあとに何も残らない舞台は弱い。
今日のミラベルは違った。
終わったあとに鈴の列が伸びた。
客が次の挨拶の儀の札を欲しがった。
歌縁館の中では、ノクシアが自分たちの番を欲しがった。
それで十分だ。
いや、十分以上だ。
「ゼノ」
リリアンが不意に呼ぶ。
「はい」
「いい顔してる」
「そうですか」
「ええ」
リリアンは笑う。
「面白いものが、ちゃんと次を呼んだ顔」
ゼノは少しだけ肩をすくめた。
「呼んだというか、向こうから口を開いたんですけどね」
「なお良いわ」
リリアンは言う。
「勝手に増える熱が、一番強いもの」
それはその通りだった。
歌縁館の中では、まだ誰も帰る顔をしていない。
ミルファはまだ喋っている。
ルミナはまだ赤い。
ノエルは静かに余韻を抱えている。
サニアはもう次を見ている。
ベルナは紅紫の鈴の話で笑っている。
ユノは自分の色が舞台で認められた事を大切に噛み締めている。
エレナは落ち着いているようで、目の奥はまだ燃えていた。
セレスは静かに全体を見ている。
リィナは壁際で何かを考えている顔だ。
ミュラはかわいい顔のまま、客の反応を全部覚えている。
ナディアはもう次の強さを計っている。
リーシャは少し疲れているのに、嬉しさが隠しきれていない。
ノクシアも同じだ。
ジュリアは笑いながら闘志を隠さない。
カレンは次の音を欲しがっている。
レティアは面白がっている。
フィアは静かに受け止めている。
エマは不機嫌な顔で、でも一番ちゃんと燃えていた。
十二の光。
五人の夜。
どちらももう、“育てている途中の群れ”じゃない。
客を取りに行く顔をしている。
だったら、面白くないわけがない。
《視聴者数:2,759,114》
〈コメント:神コメ入るとさらに熱いな〉
〈コメント:ミラベルもノクシアも次が気になりすぎる〉
〈コメント:拍手のあとに次の企画が動くの最高〉
〈コメント:温泉郷、勢いが止まらん〉
《フィクサル:悪くない》
《ラグゼル:次の流れも掴んだな》
《エモーシア:熱がちゃんと次へ繋がったわ》
《リュケオン:まだまだ祭りは終わらない!》
《ノクティア:夜の方も楽しませてちょうだい》
《ゼノ:言われなくても、そのつもりだ》
外ではまだ共鳴鈴の列が切れない。
歌縁館の中では、夜が口を開いた。
温泉郷は、まだ止まりそうになかった。
――――
次回
第96話 夜の余熱




