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浜辺の粘菌 Slime on the beach  作者: 外山淑
第二部 邂逅
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Gwen's Labor

 朝、エンマの両腕に包まれている状態で目が醒めた。エンマを起こさないように注意してエンマの腕を外し、服を着て外に出る。崖の上にはヘルガが見張りに立っていた。ヘルガに何事も異常がない事を確認した後沢に下りる。夜はまだ明けきっておらず辺りは薄暗い。沢で朝のルーティンを済ませる。息栖に言ってからは朝のルーティンをする機会が全く無かったのでかなり精液が溜まっていた。実際の所、旅の間に何度か夢精をしていた。一応、精液が膣に入り込まないように褌内の陰茎の位置に気をつけていたし、寝る時はうつ伏せに寝るようにしていた。ただ、着替えが多いわけでもなく、洗濯も出来る状況ではなかったため、精液の染み込んだ褌を着けたままでいることが多かった。そもため、精液が膣口内に入り込んだ可能性は零ではない。まあ、出血が収まったばかりだから、例え精液が入り込んだとしても、受精の確率はほとんど無いだろう。ただ、「彼等」がこの体をどのように設計しているのか確実にはわからない。出血が終わった直後でも卵子が受精出来るようにしていたとしてもおかしくない。自分はただ次の出血が予定通りに訪れてくれることを願うしかない。

 香取、鹿嶋、息栖、そして、御浦の同盟が成立した今、これまで危惧していた大部隊の兵が里に侵攻してくる恐れは無くなったから、万が一自分が妊娠したとても絶望的な状況には陥らないだろう。ただ、まだ小規模の盗賊の類が襲ってくる可能性はある。それに、これからこの里に外部の人間がどんどん入ってくる。その者達に自分が妊娠している姿を見られると、ギリギリで保っている力の均衡が崩れることも考えられる。まだまだ妊娠しないように十分注意すべきだな。

 顔を上げると、木の枝に結び付けられた沢山の布が目に入る。昨日運んできた麻布だ。船着き場に着いた時、百合に対して船に積んである布に染み込んだ海水を洗い落としておくよう指示しておいた。百合達は麻布を小川で洗った後、乾かすために木の枝に結びつけたのだろう。

 日が昇って辺りは明るくなった。花組の子達が朝餉の支度を始めている。自分は、一旦、家に戻ることにしよう。

 家に入るとみんな起きていた。グエンを見ると、今のところ、異常は無さそうだ。この様子だと今日生まれることは無いか。鷺姫に、朝飯が出来るまで、雀とナラに家の周りを案内しておくよう指示する。

 朝餉が出来た。昨日の夕餉のメンバーにインガが加わっているが、鷺姫は朝起きた時雀とナラに既に紹介していたらしく、お互いに自然に振る舞っている。

 食事の後、鷺姫が雀を伴って自分に近づいてきた。鷺姫によると、雀が産屋は何処にあるのかと聞いてくるのだと言う。しまった!産屋を準備することが頭からすっぽり抜けていた!

 自分は、朝餉を済ませた浜組の子達を急遽集め、火薬を作っていた小屋の床に藁を厚く敷き詰めるように指示する。そして、今木々の枝に干してある麻布が乾いたら、敷き詰めた藁の上に麻布を被せるように頼んだ。これで何とか産屋として使うことが出来るだろう。

 布に出産の際の血が着いたとしても、川に晒せば問題は無い。それで帆船の用意が多少遅くなっても、香取が気分を害することは無いだろう。

 産屋の壁に毛皮を掛けて防寒対策を施していると、ヘルガが駆け込んできた。グエンの股間から血が出ているという。急いで家に戻り、グエンの股間を確認する。経血と同じ様な茶褐色の血がドロっと流れ出していた。グエンは妊娠しているから当然経血ではない。産徴、いわゆる「おしるし」、というやつだろう。これが出たら早ければ数時間で陣痛が始まる筈だ。グエンを産屋に運ぶのは陣痛が始まってからで良いだろう。陣痛が始まるのが早いか、破水が起こるのが早いか、どっちもあり得るから、やはり、しばらく様子見するしか無いな。

 昼を回った頃、グエンが痛みを訴え始めた。たぶん、陣痛だろう。まだグエンが歩ける内に産屋に移ってもらう。産屋には、ヘルガとアーデル、千鳥、鷺姫、ナラ、そして雀が入った。千鳥と鷺姫にはナラと雀の通訳をしてもらう。

 何回目かの陣痛の後、グエンの股間から水が出てきた。水の色は少し黄色ぽい。尿かそれとも破水なのか?ナラと雀に尋ねると、ナラがグエンの股間に手を当てた後、その濡れた手を舐めた。「ただてぃにあれまちゅべち」じきにお生まれれなさるでしょう、とナラが話した。

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