第41話 とある不運にて
「終わったな」
レイが淡々とそう言い切る。
「実力はあるはずなんだけどなー」
「あれでも第4寮寮長だし」
「なぜか毎回これで落ちてんのよ」
彼はあまりにも進級しない、というかおそらくする気がなく、4年生にしていまだ現役寮長を務めているという。実力はあるはずなのになぜ、という疑問の答えを知るものはいないらしい。
「どうせ留年するなら楽しくやりましょう」
絶望するアドラーとは対照的にシャーロットは特に何とも思っていない様子であった。
不真面目が揃うライデンにおいてもこの試験をクリアするのは容易ではない。この試験では普段サボっているようなやつも全力で挑んでくるから。なぜか。答えはただ一つ。
「ヤバい俺らパープルだ……」
「留年したら親に殺される」
「俺なんか去年も留年したから今年もだめなら実家に連れ戻すって……」
「別にいいだろそれくらい」
「馬鹿言え実家の農業継がされるんだぞ」
「お前が農家とかウケる」
「お前土とか触れんの?」
「触れるわけねぇだろ農薬大量にばらまいて出荷してやるわ」
親に怒られる。
いくら優秀なライデン生とは言え所詮は学生。そしてそのほとんどが未成年であり、学費はすべて親持ち。親からすれば留年などもってのほか。普段怠けている生徒もこの試験ばかりは一発留年のリスクを鑑みてまじめに準備をし挑んでくる。とはいえ全体の5パーセントは留年するという教育においては最悪のシステムなのでまじめにやったところで落ちる者は落ちるのだが。
今日くじを引く予定のチームのうち半分くらいが終わったところで、難易度の途中集計が出る。おそらく難易度別で入っているくじの数が違うのだろう。全体の6割くらいが上から2番目に当たるブルーの難易度。続いて多いのは3番目の難易度のレッド、その次が一番難しいパープル、難易度の低いイエローやホワイトを引いたチームは数組ですでに合格を確信している。
チームの実力は勿論バラバラであり、加えて難易度もランダムであるためこの試験はかなり運の要素が大きい。加えて難易度設定のくじ引きの後にオプション設定のくじ引きもあるからなおさらだ。折角実力者を有しホワイトを引いたチームもそのあとのオプション設定で裏切りを引いてしまうとチームの中で1人しか合格できない難易度マックスに早変わりしたりもする。
「続いて、チームエドワード・ウィンナイト!!!」
中盤に差し掛かり飽きないのかと思うほどの歓声の中、4人は舞台の上に上る。そこにはすでにエドワードが到着しており、4人が来たことを確認するとくじのはこの中に手を伸ばした。
お決まりの掛け声の中、アドラーは目をつぶってひたすら祈っていた。どうかホワイトを引いてくれ、と。どうせ無理だと落ち着いた表情を繕っていたルカの心臓もこれでもかと主張している。
エドワードが手を出すと、掛け声もぴたりと止まる。
視界がスローモーションに見えた。
彼の手の中にあるビー玉の色は。
「……黒?」




