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第34話 とある憧れにて

「あれ?君たちは……」


開いたカーウィンドウから顔をのぞかせたのは、長い紺の髪を一つに束ねた男。


「え、嘘テイラー・メルクス?本物?」


秋の聖騎士団入団からわずか数年でそのトップまで上り詰めた彼。開会式で見た2人とは違って、ミスティーは数少ない欠席者だったので初めて見る彼に驚きを隠せないでいた。


「アランさんの弟のアドラーと期待のホープルカ・フェイマス。そっちの君は第3寮副寮長のミスティー・ブルーだよね。聖騎士団でも話題のルーキーたちに会えて嬉しいよ」

「やば……すご」

「ところでそれはマーフィー先輩のトラック?」

「……あ」


テイラーの指さした先を見て3人とも現実に引き戻される。


「いや本当にありがとうございます」

「いいえー私もちょうど会場に向かうところだったからね」


テイラーの運転する車は見るからに高級そうでさすがは秋のトップだとルカは感心していた。

ちなみにあの重たいハードはテイラーが魔法で転送してくれた。事前に組み立てられた魔法陣を使わずにいとも簡単に成し遂げてしまう様子を見てアドラーの目は輝いていた。


「えっと、メルクスさんってデイヴィッドの後輩なんすか?」


ミスティーの問いかけにテイラーは、メルクスじゃなくてテイラーって呼んで?とほほ笑んだ。


「そうそう。マーフィー先輩たちが100期生で私はその3期後輩の103期生。ちょうど先輩たちが4年生の時に入学したんだ」

「へー」

「といっても100期生みたいに優秀じゃなかったから先輩は覚えてないかもだけど」

「そんなわけないじゃないですか!」


あのテイラー・メルクスにここまで言わせるってやっぱりマーフィー先生ってああ見えて優秀なんだ、アドラーはひそかに彼を見直した。


「でも先輩たちはすごかったよ。それこそポラリスの3人は特に」

「ポラリス?」

「化け物ぞろいの100期生の中でも飛びぬけて優秀だった3人のことなんだけど……ほんとまじめに頑張ってるこっちがムカつくくらい優秀でね。それこそこのコンペも2週間かそこらで準備して優勝してたっけ?なんならそのうちの2人は編入生でさ。おまけに飛び級」

「すご。というかこの学校って編入制度とかあったんだ」

「ね、私もあの2人以外の編入生は後にも先にも見たことないよ。でも君たちだって私から見ればすごく優秀、特にルカ君」

「……え?」

「君のあの魔法、聖騎士団でもしばらくあの話でもちきりだったよ」

「いやでもあれは自分でもよくわからなくて……」

「そうか。将来は聖騎士に?」

「それもまだ……」

「2人は?」

「僕は兄貴たちみたいな聖騎士になります!」

「俺もなんとなく聖騎士になれたらいっぱい研究できるかぁって」


未来は明るいね。私も引きずり落されないように頑張らないとな。


「着いたよ。急ぐんでしょ?」

「「ありがとうございます」」


車を降りると3人は急いで会場の中へ入っていった。

それを見送るとテイラーは駐車場へ車を回した。


「……いいなぁあの子たちは。天才たちに認められてて」

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