第33話 とある魔法コンペティションにて
秋の魔法コンペティション当日。
一行は戦慄した。なぜならこのスパコン並みのどでかいハードを輸送するための輸送システムが壊れていることが発覚したからである。本来は先に到着しているクリスやレイモンド、シャーロットがこれで会場まで輸送された荷物を受け取り会場での設営をしてくれている間、参加メンバーはタクシーで最終確認をしながら会場に向かう予定だった。
もう出発時刻だというのにハードが輸送できないと会場に向かうに向かえない。こんなことなら早起きがめんどくさいからともっともらしい理由をつけて後発組にならなければよかったとミスティー・ブルーは珍しく後悔した。輸送するだけなら時間ギリギリまで大丈夫だが、自分たちも向かうことを考えると本当にもう間に合わない。ここ最近の努力が無駄になる。最終調整で徹夜続きの彼はもう限界だった。
「デイヴィッドのトラックで行こうぜ」
「「ですね」」
アドラーもルカも同じく限界だった。
「ところでそのキーなんで持ってるんですか?」
「デイヴィッドとこの間飲んでるときに聞いたら教えてくれたんだよな」
「危機管理」
「なんか彼女に振られて泥酔しててさ、っと」
慣れた手つきでエンジンを掛けるミスティー。
「そういや先輩免許って……」
「持ってないけど?」
降りよう、そう2人の脳が判断を下した時には時すでに遅し。とんでもないスピードでトラックは進みだしていた。
特に事故を起こすこともなく順調に進んでいるなと思った矢先、後ろでランプとサイレン音が聞こえる。間違いなく自分たちだろう。だって法定速度絶対守ってないもん。
「先輩これやばくないで……」
「つかまっててー」
アドラーの言葉を遮るように言ったセリフと同時にトラックはさらに速度を上げた。これハードみたいな精密機器乗ってるけど大丈夫なのかな。
無理して追ってこないところを見ると普通の警察だったのだろうが、追ってこないというのにミスティーは速度を落とす気配がない。
「ちょ!子供!!」
目の前を歩く子供を見てルカが叫ぶ。
速度が速い分ブレーキを踏んでも間に合わない。ミスティーは慌ててハンドルを切る。
「あーあ」
だから言ったのに、どうします?これ。アドラーはあきらめたように言った。
目の前には木っ端微塵になったマーフィーのトラック、だったもの。
先生に怒られるとかそんなことよりもまず、間に合わないという焦りが先行していた。ハードは何とか無事だったがコンペに間に合わなくては意味がない。
絶望したとき、目の前に1台の車が停車した。
「あれ?君たちは……」




