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第25話 とあるコンクールにて

3校戦が終わると、生徒たちは期末試験に向けて慌ただしい日々を送っていた。それもそのはず、ライデンではこの期末試験で多くの人間が留年への片道切符を手にすることとなる。だたし、前期の優しいところは実技試験がないところだ。筆記さえ受かれば問題ない。学校の地下やはずれの廊下では先輩たちによる過去問の競売が秘密裏に行われていた。とはいえ教師たちもライデンのOB、そんなことは分かり切っている。だからそのままの問題を出す者はいない。だが、いい問題を作ろうが留年者を大量に出そうが彼らの給料は変わらない。よって彼らは時に50年以上前の過去問を駆使しながら問題を作り上げる。最も、再試をするのが面倒だと言う教師は毎年全く同じ問題を出すのだが。


何とか過去問と共にテストを乗り切った生徒たちには1ヶ月半の夏休みがやって来る。宿題も何もない正真正銘のパラダイス。しかし、そんな時間が過ぎるのはあっという間で。

気が付けば後期の始業式。実家に解放されていた生徒たちも重い腰を上げて監獄へと戻って来る。もちろんはっちゃけ過ぎて本物の監獄へ行ってしまった者もいるが。

始業式と言ってもここはライデン。始業式で繰り広げられるのは校長の長い話などではなく、この夏休みにパクられた者や問題を起こした者の名前の読み上げである。寮内での処罰や退学、停学の報告を含めて行っているものだが、毎年これをやると必ず歓声が上がる。特に英雄扱いされるのはルミナスアカデミーとの暴力事件。と言っても、中身はただ歩いていたルミナスの生徒にライデンの生徒が突っかかり一方的に暴力をふるったという最低なものだが。それほどまでにライデンの生徒はルミナスの生徒が嫌いなのである。


長い名前と罪状の読み上げが終わると、あとはただただ業務連絡。はいはいと聞き流す生徒たちや講堂内でキャンプファイヤーを始めようとした生徒たちの手を止めたのは、秋のコンぺについての連絡だった。


秋の魔法コンペティション。それは新しい魔法及び魔法薬、技術といったものの競合発表会。選ばれた魔法職者養成学校の生徒たちがその知とアイデアを競い合う。

その話が始まると、特に秋の生徒なんかは目の色を変えた。それもそのはず、彼らは年中そう言ったものを趣味で開発している。このコンペで優勝すれば将来の就職先に困ることはまずないし、学生としては考えられない額の研究費用が贈られる。過去にはその魔法が特許を取り、それだけで今も裕福な生活を送っている卒業生がいるとかいないとか。


「今年は本戦の前に学内コンペをすることになったわ」


学園長の言葉に生徒たちは不平不満を並べ立てた。例年ライデンには唯一の王立魔法職者養成学校として多くの出場枠が設けられておりほとんどの希望者は出場することができたが、今年からその枠を減らすことが決まったのだという。投げつけられた卵やら攻撃魔法やらを学園長は涼しい顔で防いでいる。もっとも、コンペを行うとはいえそれなりの人数が出場できるとあって成績上位者、所謂天才たちは論文の提出期限が早くなったなくらいにしか思っておらず、それぞれが早々に研究室へと帰っていった。興味がないシャルたちも同じで、レイとシャルはもう始業式は終わりだと判断して帰ってしまった。


コンペの影響か今日は出席人数が少なく、授業が早めに切り上げられたためアドラーとルカはいつもより早く食堂へと向かった。そこにはなぜかレイとシャルがお茶をしており、当然のように声をかける。


「2人はコンペに興味ないんじゃなかったの?」

「そうよ?ただめんどくさくてサボっただけ」

「ふーん。なんだ、僕も誰かにチーム入れてもらえたらなぁ」


コンペには1人の応募ではなくグループでの応募が通例である。それは単に魔法コンペレベルの大規模な研究を一人で行うのは無理だという考えから来たものだが、ライデンの天才たちはむしろ逆。共同で研究を行っている方が珍しい。だからコンペの大多数は天才たちの力を借りて由緒ある魔法コンペに参加したことを履歴書に書きたいだけ。天才たちも規定を満たすためと雑用係を必要としている、結果組まれるグループでの参加。それがライデンのコンペだった。


「ルカとか頭いいんだしコンペとか出ないの?」

「......え?考えたこともなかった」

「というかいっそみんなで出ようよ!」

「絶対に嫌」


アドラーの提案を一刀両断したのは意外にもシャーロットだった。普段の彼女ならやろうと言いそうな場面であるだけにアドラーは驚きをあらわにした。


「出るなら3人でやって頂戴」

「なんで?」

「俺もパス」

「レイもかよ!?」


これ以上話すことはないといわんばかりに2人は去っていった。


「僕たちだけで出る?」

「いや、別に研究したいこともないし……」

「あれがあるじゃん。3校戦の」

「少しお話よろしいですか?」


振り向くと、そこには一人の男が佇んでいた。

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