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第23話 とある魔法にて

騒がしかった観客席は、いつの間にか静まり返っていた。

突如として現れたレッドキラーによる殺戮。逃げ惑う選手たち。

優勢に思えたライデンの生徒たちが次々と脱落し、残ったのは偵察班の数名と1年2人。競技中断が騒がれる中、ついに1年2人に攻撃が向けられた。当然殺されるものだと思っていた観客たちは目を疑った。


杖を向けたルカが放った魔法は、数人の天使と形容すべきものを呼び出した。ラッパを抱えたそれらは、レッドキラーの攻撃を打ち消し、手に持ったラッパを轟かせたと同時にその世界のすべてを破壊した。荒廃した世界に立っているのはルカ1人。まもなく魔法は解かれ競技はライデンの優勝で幕を閉じた。


「何だよ、あの魔法」

「禁術の類か?」

「あんなの見たことない」

「アイツ誰?」

「ルカ・フェイマスだよ。1年の首席」

「とんでもないな」


流石のライデン生もこの時ばかりは素直に言葉を発した。

その後トラブルについては後日調査をするということで対応がとられ、3校戦は幕を閉じた。


ライデンは調査のため3日間全授業休講となり、選手たちは事情聴取などのため寮を出払っており、ルカ自身が好奇の目に晒されることは無かった。授業が再開すればそれは逃れられないだろうが。


「御機嫌よう。アーサー先輩」

「ご足労いただきありがとうございます」


第0寮に呼び出されたアーサーは疑問を抱きながらやってきた。

案内された先は地下。暗くてよく見えないがおそらく牢屋のような造りになっているのだろう。

少しの恐怖と懐疑心を秘めついて行くと、そこには一人の男がいた。


お知合いですよね?

レイモンドの言葉にアーサーは言葉が出なかった。

その様子を察したシャーロットは鈴を鳴らしたような声で続ける。


「この男は魔法協会教育課の課長をしています。アーサー・ロドリゲスさん。貴方はこの男に唆され、ライデンの選手が使用する箒と杖に細工を加える手伝いをした」

「何を……」

「妹さんがいらっしゃるんですね。貴方の口座に大金が振り込まれていることも確認済みですよ」


この女は全て知っている。知っている上で俺に話せと言っているのか。


「それは……」

「細工内容は知っていましたか?」

「……あぁ、杖は魔法式を捻じ曲げる細工、箒には魔力を過剰に吸い上げる細工がされていると聞いていた」

「……そうですか。箒は昨日のあの時ですね、あそこにライデン生の分が保管されていたみたいなので。杖は検査のときに細工予定だったんでしょうか。あとはこちらで処理しますね」

「え、」

「もう帰ってもらって大丈夫です。しないでしょうがここで見たものは口外厳禁で」

「いやそうじゃなくて、普通退学とか」


不正どころが生徒を危険にさらす行為は退学でしかるべきだ。いや、退学では甘い。罪に問われてもおかしくないのに。


「アーサー先輩。なにも起こっていませんよ?」

「……は?」

「そもそも失敗に終わっていますし。杖や箒に異常はなかったでしょう?」

「それは……」

「何もなかったんです。何も」


シャーロットは無理やりアーサーを帰らせた。


「良かったのか?」

「どうせもみ消すつもりだったし。嘘はついてなかったわ」


そうか。じゃあ次はお前だな。

まず何処から吐いてもらおうかな。


その後、彼は行方不明となった。

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