第18話 とある熱血にて
「なんでルカだけ」
「そこは流石首席様って感じね」
「それはどうも。アドラーだって補欠合格だろ?」
「二人ともすごいと思うぞ。ルカは1年で唯一の代表入り、アドラーだって補欠に選ばれたのは1年生からアドラーだけなんだから」
選抜試験の結果、見事二人とも代表チーム入りを果たした。この手の競技は大抵練習中に誰かしら負傷をする(ライデンクオリティー)ので、アドラーも出場する可能性は高い。
「聖騎士とかお偉い方も結構見にくるみたいね」
「そりゃ未来を担うトップ3校の交流戦だし」
「それもあるが今年はより実践的な種目になったことが大きいな。魔法協会もなんだかんだと言いながら喜んでる節はあるだろうな。即戦力を見つけるって意味で」
「そういや寮長もスカウトへのアピールになるって言ってたな」
ライデンカレッジでは4年生になるとおよそ10ヶ月に渡るインターンを行う。しかし、インターン先は学校から用意されているわけではなく自分でつかみ取りに行かなければならない。自分の希望を通しかつ少しでも良いインターン先を確保するため、生徒たちはそれまでの間に何かしらの功績を挙げアピールする必要がある。
「それで言うと寮長はいいよね」
「夏の寮長?」
「あの人選考会免除でチーム代表だもん」
アーサー・ロドリゲス。ルカたちの所属する第2寮の現寮長を務める男。実践魔法の評価が高く、3年生にして既に夏の聖騎士団のインターン許可を貰っているとのうわさもある。
「あの人の場合は学園長からの指名だもんなぁ」
「どの道代表入りするからいいんだけどさ」
「なんだ?俺の話か?」
「「……寮長!?」」
「よぉお前ら。そっちは噂のモノクロコンビだな」
「御機嫌よう」
「初めまして」
オレンジがかった茶髪を輝かせる彼は寮長の証であるマントを誇らしく纏っていた。
彼はシャーロットとレイモンドを一瞥した後、同じ寮の後輩であるルカたちの頭を撫で始めた。生意気だと言いながらも何処か楽しそうな様子から察するに相当面倒見が良いのだろう。そう言えば二人が寮を追い出された時も実際に追い出したのは他の幹部の意見で彼ではないと言っていたような。寮則に記載されている内容だったため特別庇ってはくれなかったらしいが。
「そう言えば2人は選考会に出ていなかったな?わざわざ競技を提案したくらいなのに。何か出られない理由でもあるのか?」
「嫌がらせがしたかっただけですよ。私、魔法協会のやり方は常々おかしいと思ってたんです。それにレイはともかく私は魔法が不得手なもので」
「それは謙遜か?」
「どう思われます?」
「そう言えばルカたちも君自身が魔法を使っているところは見たことが無いと言っていたな」
「ふふっ」
「まぁいい。俺はあんまり人の事情に興味がないんでな」
「というか寮長は授業中なのになんでこんなところにいるんですか?僕たちは空きコマですけど」
「折角選ばれた後輩たちに特訓を付けてやろうと思ってたんだよ」
「「え」」
「光栄に思え、俺がお前らを大会でも活躍できるように一から育て上げてみせるぞ!」
ハハハと高笑いしながら暴れる2人を両脇に抱えると、彼はグラウンドへと彼らを連行した。
ご愁傷様と言いながら、シャーロットはアドラーが楽しみにしていた数量限定のマカロンを口に放り込んだ。




