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第12話 とある鏡の屋敷にて

『遠足に先駆けてアタシの使い魔を行かせたんだけど、そのまま行方が分からなくなっちゃったの。ミラーちゃんに聞いても自分で探せって言われちゃうし。アナタ達で探してきてちょーだい?』


「それにしても面倒なお願いだな」

「全くね。これだけの鏡を調べるのは流石に面倒だわ」


一つ目の鏡をくぐった先。

そこは花の王国の有名な観光地だった。

しかし、大量にいるはずの観光客の姿が見当たらない。おそらく現実の場所ではあるものの、鏡を通して実際に花の王国に行っているという訳ではないのだろう。


「ここには居なさそうね」


しばらく探索した後、シャーロットが呟く。

一行は元来た場所から屋敷へ戻り、次の鏡をくぐった。


二つ目の扉の向こう。

失われた海底の遺跡。

三つ目はどこまでも続く砂漠。見たこともない植物が生い茂る不思議な森。巨大な図書館。


もはやその場所が実在しているのかも分からなくなるほどたくさんの鏡をくぐった。

しかし、未だ使い魔は見つからない。


「なぁコレ課題の呪文すらわかんないんだけど」

「それはもう解けてる」


ルカが弱音を吐くと、レイモンドはルカの方を振り返ることもなく答えた。


「は!?」


教えろと言わんばかりにルカは声を張り上げる。


「完全にミラーの創作した異界のうち、出口が入ったところと違う場所。どこもたくさんの本が積まれていたが、その全てに一つだけ同じ本が置いてあった。おそらくそれが呪文の書だ」

「あ!それなら全部の鏡を通らなくても扉の呪文に辿り着ける」


本なら似たようなものが多くの異界に置かれているからラッキーパンチで見つけられる可能性も少ない。なるほどとアドラーは驚嘆の声を上げた。


「簡単な謎解きくらいはあるでしょうけどね。1年生の初めの課題だしそんなものでしょ?ただ問題は……」


使い魔が全く見つかりそうにない事ね。


「全部の鏡を見て行かないといけないってことか」

「だな。でも、そもそもおかしいと思わないか?」


レイモンドの言葉に先に発したルカは首を傾げる。


「ルカ。使い魔ってどんな存在か知ってるか?」

「どんなって……契約魔法を使って主従関係に置く生き物だろ?自身の能力を付与したりすることも出来る」

「流石首席様。そういうことは詳しいのね」


使い魔の基本的な役割は術者のサポートであり、日ごろの雑務から戦闘のサポートまで幅広く行う。ただし、主従関係を結ぶという特性上術者よりも高い能力を持つ生物とは関係を結ぶことが出来ない。それゆえに魔法師たちは自分の実力を誇示するステータスの1つとしてハイレベルの使い魔を連れているという面もある。


「ただのフクロウだと思うと痛い目を見るぞ」


ドラゴンや珍しい魔法動物を使役する魔法師が多い中、学園長の使役する使い魔はただのフクロウ。ファーストコンタクトでそれを見て舐めた態度をとってきた者は、例外なくその実力をフクロウによって思い知らされる。


「そもそも学園長は使い魔と視覚を共有できるはず。だから本来探すまでもないはずなのに」

「それって、どういう事?」

「何らかの方法で主従関係を解消させられたか、殺されたか……」


アドラーの言葉を受けてルカは思いつく限りの理由を挙げる。


「待ってよ。それって……」

「アドラーも気付いた?そう、これはただの迷子探しじゃないわ。このミラーハウスに入ったところまでに間違いが無いとすれば……」


1年生の課題で使う、安全な空間。

ここに、学園長の使い魔に危害を加えた何かがいる。


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