#1977 アイギス連れて研究所で――刮目して見よ!!
アイギスにはすぐに着替えてもらった。
「おお、おお~」
「これは、予想以上に凄いわ~」
「性能だけやない。見た目も会心の出来やで!」
「クワァ!」
試着室で着替えてきたアイギスは、美しさに磨きが掛かりまくっていて、なんというかもう、言葉も出ないとはこのことかというほどの感動を俺たちにもたらしたんだ。
「あ、ありがとうございます。――そのゼフィルスさん、どうですか?」
「この世のものとは思えない美しさ。これが伝説の本物の【竜騎姫】か……! アイギス、とても、とても似合っているぞ」
「はう。あ、う、嬉しいです。とても、すっごく」
「クワァ♪」
俺が万感の思いを込めて褒めると、照れるアイギス。あ、可愛い。
上空ではゼニスもご機嫌でクルクル旋回している。
これはスクショが光るぜ! パシャパシャ。
「あ、ゼフィルスさん!?」
「アイギス、すまない。だが撮らせてくれ、この美しくも可愛いアイギスを、永遠に残しておきたいんだ!」
「わ、わわわ!? は、はい! ご自由に、ゼフィルスさんが満足するまで……どうぞ!」
「ありがとうアイギス!」
顔を真っ赤にしつつも背筋をピンと伸ばしてどうぞするアイギスがまたいじらしい。俺のスクショがどんどん唸る! もう止まらん。このアイギスの絵を後世に――いや、やっぱり自分で楽しむために、俺は写真を撮りまくったんだ!
「アイギス、もう少しポーズを取ってくれ! こう、いつもレイドボスに対峙している時のような感じで!」
「こ、こうでしょうか?」
「いいぞ! そこで〈六ツリ〉スキルを!」
「ちょーっと待ってや兄さん! ここうちのお店! 〈六ツリ〉なんてぶっぱなさんといて!?」
「はっ!? 興が乗りすぎて暴走してしまうところだった!」
「いや、ゼフィルス兄さんはすでに暴走していた気がするで?」
マリー先輩に言われて我に返る。
アルルからの冷静なツッコミも合わさって、なんだか気分が良くなってしまったんだ。
しかし、〈六ツリ〉を使っているかっこいいアイギスのスクショはまだ撮れていない。ここはダンジョンで撮影会をするべきか? ゼニスに乗ってかっこよく〈六ツリ〉をぶっ放すアイギスのスクショが撮りたい!
「兄さん、大事なことを忘れとるで!」
「なに!? 俺が大事ななにかを忘れているだと!?」
バカな。俺がそんな抜けているなんてことは……無いとは言いきれない!
「マリー先輩、それは!?」
「ふっふっふ、兄さんも着替えな!」
「せやな! 【竜騎姫】と【勇者】のツーショット写真や!」
「これは絶対に映えるで!」
「!! それだ!」
さすがはマリー先輩とアルル!
そうか、アイギスが主役だと思ったが、モデルは複数居てもいい!
俺は一瞬で〈マイセット早着替え〉を取り出すと、いつもの〈勇者竜装備シリーズ〉へと早着替えする。
「は、話がどんどん凄い方向に……! ゼフィルスさんとツーショット、ですか!?」
「クワァ♪」
「マリー先輩、スクショ係を頼む!」
「うちに任せとき!」
「あ、シェリアさんには絶対に貸さないスクショをそんな簡単に?」
「アイギス、こうポーズを取ってくれ! 俺はこのポーズでキメる!」
「は、はい!」
こうして撮影会が始まった。
まさか俺がモデル側になろうとは。しかし、マリー先輩の言う通り、映えるのは確実。なにせ、伝説の【竜騎姫】と【勇者】のツーショットだ。
くくく、あとでギルドのみんなにもたっぷり自慢してやるぜ!
そう思ってたら『直感』さんから『やめとけ、死ぬ気か!?』と警報が!
ええ!? これも死ぬの!? 嘘でしょ!? なんで!?
どうやらこのアイギスとのツーショットは、ここに居る者たちだけで楽しむものになりそうな予感。
「う、嬉しいです。これは、一生の宝物にします」
「アイギス……!」
スクショの画面に写る俺とアイギスのかっこいいツーショットを見て、アイギスがそう言って顔を綻ばせていたんだ。
と、尊い! それは、とても尊い、優しい笑みだった。
映えばかり気にしていた俺、ヤバい。今マシロ辺りにギュってされたら、なんか綺麗に浄化されてしまいそうな気がするよ……!
「こんなもんやな。さあ兄さん、行こうか」
「ああ。そうだな。今こそ真の最強装備を世に伝えるときだ!」
マリー先輩の言葉に俺の心は立ち上がる。
スクショも十分撮った。
「アイギス、これから行くのは――研究所だ。そこでアイギスの装備をお披露目&発表する。まあちょっと熱意が高い人が多いが、悪い人は居ないから落ち着いて対応してくれ」
「は、はい。ゼフィルスさんがいつも言っているやつですね。心得ました」
「クワァ!」
「ゼニスもよろしくな。場合によっては『大型化』してもらうかもしれないから」
「クワァ!」
こうして俺たちは出発した。
もちろん装備は装着したままで。
「見られてるなぁ」
「アイギスはんの美貌だけやない。やはり装備のオーラが違うわぁ」
「ですね。私も、普段ここまで注目されません」
道中は俺とアイギスが先頭、マリー先輩とアルルが後ろを歩いて出発したのだが、とても注目された。
マリー先輩の店があるのは〈S等地〉。この辺にいる学生は、お察しの通りSランクギルドの方々だ。特に〈青空と女神〉の前を通りかかったときは面白かった。
全員が出てくる勢いでアイギスの装備に注目していたんだ。
その後ろを付いていくマリー先輩とアルルの顔がドヤドヤのドヤよ。
もう大変気分がよさそうだったんだ。
「気分がええ。気分がええな!!」
「分かるわ~! Sランクギルドの生産職すら全員集合で見惚れる装備! これ作ったのうちらやで!」
大変胸を反らしてドヤ笑顔だったんだ。
「ふふ、でもここまで注目されると、少し困ってしまいますね」
「大丈夫だアイギス。今のアイギスには一点の曇り陰りも無い! 堂々と進めば良いんだ」
「――はい!」
こうして到着したのは――学園の研究所。
連絡済みだったそこには、すでに大量の白衣の研究員たちが待ち構えていた。
あと学園長もいるな。あそこに飛び込むのは勇気が要りそうだ。
「ゼ、ゼフィルス君、やっときたー!」
「ハンナ?」
ここでハンナも合流。
ハンナだって真の最強装備の製作に携わった功労者なので、呼ぶのは当然だ。
研究所で待ち合わせと先ほどチャットしておいたのだが、どうやらあそこに飛び込む勇気が持てなくて手前で俺たちが来るのを待っていたらしい。
「あ、わわわ! アイギスさん、その装備!」
「はい。マリーさんとアルルさんの合作です」
「「ドヤッ!」」
「すっごいかっこいいです!」
ハンナもこの装備は今初めてご対面。
アイギスを見た瞬間、ハンナの目が輝いたのを幻視したよ。
このシンプルイズハンナの褒め言葉がじんわりくるんだ。
「ゼフィルス氏! そんなところで油を売ってないで早く来てくれたまえ! みんなお待ちかねだぞ!」
「あ、ミストン所長!」
振り向けば、ミストン所長が呼びに来ていた。
ハンナとの合流で足を止めたことで、迎えに出てきたらしい。
ちなみに大量の白衣の研究員はちゃんと待てができている。相変わらず、よく訓練されているなぁ。
「おお、おおお! これが、これがゼフィルス氏の言っていた、装備かね!!」
そして次の瞬間にはミストン所長が一足先にアイギスの装備に釘付けになってブーイングが起きた。いや、実際は起きてないけど、白衣の研究員たちが一斉に「所長ズルいですよ!?」「早く連れてきてください!」「自分が呼びに行くと言って出ていったんでしょ!」と声が上がったんだ。気持ちは分かるぜ。
「はーっはっはっは! すまんな我が研究員たちが! 知らない者もいるので自己紹介しよう。俺の名はミストン。この研究所の所長だ! どうかゼフィルス氏にアイギス氏、そしてこの真の最強装備を作りし3人の作り手たちよ、研究所にお越しくだされ!」
「「は、はい!」」
壮大な自己紹介をされ、少し困惑しつつも素直に返事をしてしまうアイギスとハンナが清い。
「もちろんですミストン所長! 今日はすっごい情報をお持ちしました! 是非世のため人のために、役立ててください!」
「ゼフィルス氏の行ないには頭が下がる!」
こうして俺たちは研究所にVIP待遇で案内された。俺たちの周りを囲む研究員たちの護衛がヤバいな。
途中で学園長とカイエン先輩も合流。挨拶もそこそこにとても大きな部屋に入り、ここで発表することになっている。ミストン所長が声を大にして指揮を執る!
「では待ちに待った鑑定の時間だ! モニター、オン!」
「はっ!」
「『解析』スタンバイ!」
「はい!」
さすがは研究所、普段見ないものがたくさん揃っている。
モニターという名の、いつもギルドバトルで使っているあれに近いものが部屋の中央に浮かぶと、続いて持ち込まれたのは〈幼若竜〉。良いの使ってらっしゃる!
「アイギス氏。準備はいいかね?」
「はい。いつでもどうぞ」
「では行くぞ、みんな心して見よ! 『解析』、発動だ!」
アイギスが許可を出せば、自分の手で直接〈幼若竜〉を抱えたミストン所長が『解析』スキルを使い、アイギスの装備の能力値データをスキャン。
さらにそれを特殊な装置でモニターに映しだしたのだ。
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・片手槍 〈竜聖槍・アスカロン+★〉
〈攻撃力1080〉
『【竜騎士】飛行速度大上昇』『【竜騎士】竜大特効』『【竜騎士】亜竜大特効』
『STR+100』『AGI+100』『AGI+150★』
・大盾 〈竜猫炎化大盾+★〉
〈防御力750、魔防力730〉
『竜猫炎防盾』『竜猫炎遠隔操作』『火属性ダメージ100%カット』
『HP+200』『VIT+100』『VIT+150★』
・頭装備 〈座天戦突のサークレット+★〉
〈防御力255、魔防力211〉
『〈騎乗〉暗盲鈍束恐呪大耐性LV10』『〈騎乗〉毒火麻拘氷睡大耐性LV10』
『〈騎乗〉突系:ダメージ上昇』『〈騎乗〉STR+100』『STR+150★』
・体装備①〈座天戦突の聖衣+★〉(女性用)
〈防御力427、魔防力300〉
『〈騎乗〉全属性大耐性LV10』『〈騎乗〉物理大耐性LV10』
『〈騎乗〉STR+100』『〈騎乗〉AGI+100』『STR+150★』
・体装備②〈座天戦突の天鎧+★〉
〈防御力357、魔防力309〉
『〈騎乗〉魅混石気即死大耐性LV10』『〈騎乗〉ノックバック無効LV10』
『〈騎乗〉聖属性ダメージ40%カット』『〈騎乗〉STR+100』『AGI+150★』
・腕装備 〈座天戦突の天甲+★〉
〈防御力300、魔防力320〉
『〈騎乗〉100%食いしばり』『〈騎乗〉状態異常貫通大耐性LV10』
『〈騎乗〉STR+100』『〈騎乗〉AGI+100』『AGI+150★』
・足装備 〈座天戦突の天命靴+★〉
〈防御力201、魔防力327〉
『〈騎乗〉罠突破』『〈騎乗〉デバフ無効』
『〈騎乗〉移動速度特大上昇LV10』『〈騎乗〉AGI+100』『AGI+150★』
《シリーズ特典》
〈座天戦突シリーズ×5〉
『〈騎乗〉状態異常大耐性LV10』『〈騎乗〉突撃中ブレイク無効』
『〈騎乗〉槍・弓スキル:威力+50』『〈騎乗〉STR+120』『〈騎乗〉AGI+120』
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「お、おお、おおおおお!?」
「な、なんじゃこの数値はーーーーー!?」
「こんな装備が存在すると言うのですか!?(えええーーーー!? なにこれーーーーーー!?)」
「こんとーーーーん!」
アイギスの装備の能力値。
それがモニターに映った瞬間、とてつもないどよめきが研究所内に一瞬で広がったんだ。
見ろ、学園長が叫んでる! あ、カイエン先輩も発見! あともう1つ聞こえた気がしたが、そっちは見つけられなかったんだ。
いや、改めてすごい。
〈アスカロン〉とか片手装備なのに1080だ。
前にノーアに両手装備の大剣を作った時、ようやく四桁の大台に乗ったくらいの数値だったことを思えば、片手装備でこの数値はマジ凄い。これぞ真の最強装備の火力である。
「ゼフィルス氏! これが!」
「はい。今こそ発表します! これが、これこそが――真の最強装備です! これを超える数値を叩き出すことは、現段階では不可能だと断言します!」
「「「「「―――――うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」
研究の集大成にして完成系。研究の終わりと言い換えても良いそれは、研究員たちを熱狂の渦へと叩き込んだ。
そうだ、見よ、この数値、この完成系を!
これが研究員たちが目指す頂きにして―――最終到達点の1つだ!
この日、真の最強装備が発表され、震撼した。
あと研究所が揺れていると誤報が相次ぐことになったとか。




