#1963 皆に紹介し終わったら本格始動でLVカンスト!
テルニアとエミメナとグラジオラを〈転職〉させてから、色々忙しかった。
まずは〈エースシャングリラ〉のみんなへの紹介だ。
〈エースシャングリラ〉のみんなを集め、ナゴ以外の4人を紹介する。
「紹介しよう、〈エースシャングリラ〉の新たな仲間、キャロル、エミメナ、グラジオラ、テルニアだ」
「【観測者】のキャロルです~。〈弓聖手〉から来ました~。カイリさんから色々指導してもらっているところです~」
「エミメナです。【ナイトメア】です。ヒーラー希望なので、私にお菓子を捧げたりすると回復多めにしてあげたりしま――あ痛いっ!?」
「ごめんなさい~。この子ちょっとバグってるんです~」
「キャロちゃん最近私の扱い酷くなってないです!? あ、あ、あ、その手刀はやめるです!?」
「みんなちゃんと平等に、ですよ~?」
「うい」
キャロルとエミメナは力関係が明確になったようだ。
元々同じギルド出身で遠慮のしなくていい存在だったからだろう。まさかキャロルがあの笑顔とのんびり口調でツッコミキャラ(物理)になるとは。もちろんエミメナ限定だが。
エミメナはエミメナで〈弓聖手〉でチヤホヤされていたのだろう。普段の腕も良いんだが、ご褒美のお菓子的なものを与えるともっと良くなるというちょっと困ったちゃんだった。しかも普通に催促してくるタイプで、こうしてキャロルに物理的に窘められている。なお、効果は薄い模様だ。
なんだかフィナとエリサを思わせるな。
「また濃い人材が入ってきたねミツル君!」
「僕たち、ちゃんと御することができるのかな~」
「大丈夫だ。特にエミメナはお菓子を与えておけば頑張ってくれる分扱いやすいだろうさ」
「あ、なるほど。分かりました!」
新しい後輩に不安そうなミツルにもアドバイスを送りつつ、残りの2人も紹介。
「我はグラジオラ! 将来【憤怒】に就き〈エデン〉を支える1人となる存在になる者ですぞ!」
「ハロー、私はテルニア。シエラ先輩に憧れるタンク希望の1年生だよ! よろしくね~」
「また濃い人材来ちゃった!?」
グラジオラの迫力ある体育会系挨拶(?)と普通に無難な挨拶のテルニアのギャップが激しすぎてミツルが混乱しているな。
「落ち着けミツル、グラジオラはともかくテルニアは普通だろ?」
「いえ、伯爵の息女みたいですが?」
「大丈夫だ。話せば分かる人材だよ。グラジオラも、ちょっと身長が高いし迫力もあるが、熊人の男子としてはそこまで変わり種じゃない」
「そう、ですか?」
俺の説得に力を抜いていくミツル。
そこで前に出るグラジオラ。
「サブマスターのミツル先輩ですな! これから〈エースシャングリラ〉で世話になりますぞ! よろしくお願いいたしますぞ!」
「あ、はい。よろしく、グラジオラ君」
そう言ってガッチリ握手するグラジオラとミツル。体格差が激しい。ミツルは首が痛そうだ。なんかぷるぷるしてるもん。
「え! なになにテルニアちゃんって【盾姫】なの!?」
「すごく優秀。シエラ先輩の後輩になり得る人材」
「とても素晴らしい人材が入ってきました。期待大です。是非こちらに来てください」
「あ~れ~!? 私連れて行かれちゃう~!?」
一方テルニアの方はやはり【盾姫】という職業のネームバリューが凄まじく、一瞬でソア、シオン、ユナに捕まって女子たちの輪に引っ張って行かれてた。
シエラが敷いた【盾姫】の名がとても轟いているな。テルニアが一瞬で大人気になってたよ。
ちゃっかりキャロルとエミメナもその輪に加わってるし、どうやら顔合わせは問題無かったようだな。
「それじゃあ次、俺はナゴの様子を見に行ってくるから~」
そう言ってこの場を離れ、すでにサトルから英才教育という名の仕事引き継ぎをしているナゴたちの下へ向かった。
「サトルー、いるかー?」
「へ? あれ? ゼフィルスさん?」
「おう。ナゴは上手くやってるか、見に来たぞー」
「ゼフィルス先輩、わざわざありがとうございます。なんとか食らいついてますよ」
「ナゴやんすっごく優秀だよゼフィルスさん! マジ感謝! いや、マジすっげぇ感謝だわ!」
ナゴはすでにサトルから仕事をもらって色々と貢献しているらしい。
元は1人で〈弓聖手〉の事務作業をしていたので仕事は一通りできる。即戦力だ。
サトルもなんかナゴやん呼びですっかりうち解けていたんだ。
「いえ、僕なんてまだまだです。サトル先輩を見て改めてそう思いました。サトル先輩が本気になると、僕の倍以上のスピードで仕事が片付くのです。もっと精進しなければ」
「それはサトルが上級職のスキルを使っているからだな。ナゴだってレベルを上げて上級職になればサトルに近い速度で仕事が片付けられるようになるだろうさ」
「僕が、上級職に……?」
「そうだぞナゴやん。ゼフィルスさんに掛かればみんな上級職になってしまうんだ。ナゴやんだってそのうちなれる、というかなるさ」
「そういうことだ」
「はぁ」
ナゴ、困惑。
その様子を見てサトルがニシシと言わんばかりに笑ってた。後輩ができてよほど嬉しかったと見えるな。
その後はレベリングへと入った。
なにせテルニア、エミメナ、グラジオラはLV0になっちゃったからな。
〈道場〉でLV30まで育ててテルニアに付き合い、次に初級中位から始め、初級上位、中級下位、中級中位、中級上位と即で攻略しまくった。
〈エンテレ〉は転移リングが中級ダンジョンにはなくて使えないため、〈イブキ〉の力を借りて爆走だ。
「はっはっは! 実に実に豪快ですな!!」
「いやー、これ私大丈夫? 初級中位から中級上位まで一気にジャンプしちゃった感じなんだけど? レベルはともかく経験が不安だよー」
「大丈夫だ。ボス戦しまくればそのうち慣れるさ!」
「すっごく不安ー!」
そう嘆くテルニア。豪快に笑い飛ばしているグラジオラを見習うがいいさ。なんちゃって。
そんな不安いっぱいなテルニアにシエラが寄り添い、アドバイスを送る。
「大丈夫よ、あなたはもう基礎はだいぶできているわ。こっちの方が向いているし、後は職業に慣れ、職業の性能を熟知すれば相手が誰であろうと後れは取らないわ」
「シ、シエラ先輩~!」
シエラが言うと説得力が違うらしい。俺とはなにが違うんだ!? でも不思議とわかる気がする……。
まあ、テルニアの不安が少しは解消されたようだからよかったよ。
「よし、次は中級上位のランク8、〈強者の鬼山ダンジョン〉、通称〈鬼ダン〉に行こうか!」
「ラ、ランク8!? そこって昔は学園でも一握りの学生しか突破できなかったダンジョンだって、お姉ちゃんが!」
「それは昔の話だな。今は通過点さ!」
「はっはっは! 良き良き! 我が拳を試せる場が豊富で身体が打ち震えていますぞ!」
「私は別の意味で震えてくるんだけど……!」
「頑張ったらお菓子プリーズ!」
ここまで周回はそこそこに、ボスを倒して次のダンジョン門に進出して〈道場〉行ってレベル上げして、またダンジョンをストレートに攻略して〈道場〉行って、と繰り返してきたため、LVだけはかなり高い。この〈鬼ダン〉を攻略すれば中級上位は5箇所目の攻略なので、また〈道場〉行けばLVカンストまで持っていける。
「私たちも~、こんなにお手軽に攻略者の証を手にさせてもらっていいのでしょうか~」
「エミメナは見事に餌付けされていますね……。それにまさか僕もレベリングさせてもらえるとは思いませんでした」
ちなみにキャロルとナゴも途中から参加して今一緒に攻略者の証ゲットとLVカンストを目指している。
「よし、また2組に分かれてやるぞ。できるだけ自分たちの力で攻略できそうか試してみてくれ」
「りょ、了解~」
「分かれると言っても、4:1ですけどね」
テルニアの元気の無い了解の声に加え、カチャリとメガネをかけ直す音が〈イブキ〉内に響く。ナゴの言う通り、5人いる新人の組分けは、キャロル、エミメナ、グラジオラ、テルニア、俺の5人チームと、ナゴを含んだエステルやシエラのいるチームとなっている。
戦闘班であるテルニアの班はまず4人だけでボス戦してもらい、俺がサポートに入る形でなるべく自力での攻略を目指してもらっている。その方が力がつくからな。もちろん経験の方だ。
ナゴはサトルと同じく支援職なので、こっちの班はエステルがストレートに倒して一瞬で終了する。もはやLV100カンストにとってここのボスは赤子の手を捻るに等しい手応えの様子だ。ただの『ロングスラスト』でボスが吹っ飛ぶんだもんなぁ。
こうして苦戦しつつも俺がちょくちょくサポートしたためなんとかレアボス〈サムライオーガ〉を倒し、これにて中級上位も無事5箇所攻略完了。
上級ダンジョン進出のチケットを手にし、その足で〈道場〉に入り、全員がLV75カンストを達成した。
となれば次にやることは決まっている。
そう――〈上級転職〉だ!




