#1957 ゼフィルス動く。エースとアークに追加募集!?
上級職版ハンナのステータス大公開によって新米たちのやる気は一段と高くなり、みんなレベリングに力を注ぎまくっている。
そうだ、まずレベリングだ。スキルを揃え、ステータスを上げ、理想の生産品を作りあげるのだ!
これならそう時間は掛からずに六段階目ツリーも開放できるだろう。
ふはははは!
とはいえ、さすがにそこそこの日数は掛かるはずなので、その間に俺は別のことをする。
この夏休みは貴重な長期休暇だからな。やりたいことがまだまだたくさんあるぜ。どんどん消化していこう。
というわけで、俺はシエラのところに向かった。途中ギルドハウスの大部屋で〈幸猫様ファミリーズ〉に一礼していると、目的の人物の気配を掴んだ気がした。
そう、後ろだ!
「シエラ!」
「ゼフィルス、お疲れ様。そっちはどのくらい進んでるの?」
シエラ発見! やはり俺のシエラセンサーに不備は無かった。
少しだけジト目の気配がしたんだよ!
「こっちはさきほど8人とも〈上級転職〉を済ませたところだ。今はレベリングをしているよ」
「8人も【錬金術師】たちが上級職に……一大勢力ね」
シエラがなぜか呆れたような顔で俺を見る。なぜだろう?
「はぁ。それで、レベリング中にゼフィルスがここにいるということは、少し落ち着いたのね?」
「おう。ようやく安定して俺も付きっきりで付き合う必要が無くなった。というわけで俺もそっちに加わろうかと思ってな」
「なるほどね」
つまり【錬金術師】の新米たちの育成が一段落したということだ。
というわけでシエラに任せている〈エースシャングリラ〉の育成の方に合流しようという考えである。
そう、俺以外の〈エデン〉のみんなは今色々なことをやっている。最上級ダンジョンで採集をしたり〈鉱ダン〉で〈オリハルコン〉を採ってきたり。そして〈エースシャングリラ〉の後輩をレベリング&キャリーしたりだな。
「〈エースシャングリラ〉は今どの辺なんだ?」
「昨日上級下位の攻略者の証を5つ手に入れたところよ。今は全員のLVを35に持っていくために〈雷ダン〉でボスを周回しているわね」
「ということは上級中位に進出できるようになったのか!」
おお! 少し前までもう少しで五段階目ツリーが開放されそうというレベルだった〈エースシャングリラ〉の面々が、いつの間にか上級中位への切符を手に入れている件! 凄い。いや、いったいいつの間に、だよ!
「やはり〈エンテレ〉の効果か!?」
「ええ。上級ダンジョンでは〈エンテレ〉が使えるようになるから、おかげでキャリーとレベリングが捗ってるわ。ただ、道中を完全にすっ飛ばして最奥に転移しているから、ダンジョンの経験に関してはまだまだ乏しいところね」
「そこはゆっくり深めていくしかないからな。とりあえずボス戦だけでも上手くこなせるようになってもらえれば、今は十分だろう」
「ええ。ダンジョン探索には探索に強い職業持ちが必要だけど、〈エースシャングリラ〉はまだそういう子がいないものね。そこを私もゼフィルスに相談したかったの」
「なるほどな。うちではカイリが担当しているあれらか」
シエラがここに居たのは、シエラも俺のことを探していたからだったらしい。
なぜ〈幸猫様ファミリーズ〉の前で落ち合えたのか、疑問が氷解したぜ。さすがはシエラ、俺のことをよく分かっている。
目的は【ダンジョンインストラクター】などの、ダンジョン探索&調査の専門職。
カイリも今年卒業だし、そっちの後輩も育てておかないといけないな。
「ならいっそ、もうちょっと集めよう。面接してさ。Sランク戦するなら30人必要だし、足りない人数もこの機会に募集してしまおうぜ」
「そうね……今の〈エースシャングリラ〉は26人だから、最低でもあと4人は欲しいかしら?」
「だな。1人はカイリの後輩で確定。他にもこのポジションの後輩がいないとマズいという人材をメインで入れたいと思う」
他に誰が抜けたらマズいだろう? 探索の指揮はリーナの後輩でユナがしてる。
ニーコの後輩は、〈神猫様〉がいらっしゃる今絶対に必要というわけではない。
あ、サトルは? そういえばサトルから後任を頼まれていたのを思い出す。
〈アークアルカディア〉だけど、サトルとセレスタンが今年卒業だし2人とも一度に消えるとマズいな。〈エースシャングリラ〉4人の他にも〈アークアルカディア〉で1人募集を掛けとかないといけないだろう。他には。
「飛行能力や相手を叩き落とす能力は必要よね。後半になればなるほど、出番が多かった気がするわ」
「だな。となると、【サタン】か【憤怒】辺りでも入れるか?」
「え? 【サタン】って、あの【サタン】?」
「いや待て、やっぱり【サタン】はなしにしておこう」
空も飛べるし魔王の威圧的なもので相手を落下させる能力も持っている【サタン】だが、先駆者のイメージがヤバすぎたためやっぱり止めようとなった。ゲームではあそこまで弾けている職業では無かったはずなんだが、いったいなぜあんなことに。
【憤怒】は専用武器が必要だが、実は先日〈エースシャングリラ〉のメンバーが上級下位ランク9、〈火口ダン〉を攻略中のときに〈怒竜変身札〉をドロップしたのだ! これには俺も驚いたよ。それ相当レアドロップだぞ!?
これで7大罪全部揃っちゃう! おっしゃー! とはしゃいだのは記憶に新しい。
1人は【憤怒】に決まりでいいだろう。
これで残り2人。
「後はタンクが1人、ヒーラーが1人、か?」
「そうねタンクはできれば広範囲をカバーできるタイプがいいけれど」
「……シエラタイプか」
レイドボス級になると全体攻撃が増えるからな。
それを見越して全体攻撃をされても味方をカバーでき、かつ防御スキルが壊されずに味方を守り切れる職業じゃないといけない。
となると、やはりカテゴリー持ちの方がよさそうか? メモしておこう。
「最後のヒーラーだが、正直ヒーラーにこだわりは無いな」
「ええ。うちのヒーラーは、ちょっと参考にならないでしょうし」
〈エデン〉のヒーラーは、他のポジションと兼任していることが多いからなぁ。
正直、ヒーラーに専念するノーカテゴリーでも問題ないくらいだ。故にヒーラーにこだわりはない。
「よし、それじゃあこれで募集を掛けてみる」
「ええ。良い人が入ってきてくれれば良いけれど」
「だな。――セレスタン」
「ここに」
やっぱりいたよセレスタン。ほんと、いつもどこにいるのかと。
「ミサトと連携してまたメンバー募集をしたい。準備してくれるか?」
「畏まりました」
こうして〈エデン〉はまた、新しい人材発掘に乗り出した。
問題は夏休みという時期だ。帰省者だって少なからずいるので、目的にあう人材が集まってこない可能性もある。1年生の〈助っ人〉の時もまさにそうだったしな。
まあ、その時はこちらから探してスカウトに行こう。
「というわけでシエラ、悪いが俺は少し人材発掘に動くよ」
「ええ。〈エースシャングリラ〉のことは任せて」
「大丈夫かなぁ、俺が育成しないと、俺のことを忘れちゃったりしない?」
「するわけないじゃないの。ゼフィルスを一度記憶に入れたら、二度と忘れないと思うわよ?」
「うーん」
後輩のお世話を焼こうとしたら、新たな仕事が発生して結局後輩たちと会えなくなった。無念。
まあ、人材発掘&転職は俺にしかできない。仕方ないので頑張ろう。
シエラと分かれて、ミサトにチャットを送り、落ち合う準備を進める。
「たはは~、ゼフィルス君、お待たせ~!」
「ようミサト、呼び出して悪かったな」
「ううん大丈夫だよ。そろそろ新たな募集在るかなと思って1年生の評判とか色々調べてたところだったから。むしろタイムリーだよ! さすがはゼフィルス君、タイミングバッチシだね!」
「おお! そいつは都合が良いな! それで、今回引っ張ってきたいのは5人、その特徴を記したのがこれな」
「拝見するね!」
先ほどシエラと練った〈エースシャングリラ〉の新しいメンバー4人と〈アークアルカディア〉のメンバー1人の募集案に目を通すミサト。すると。
「うん。私、もしかしたらこの募集したい5人、全て紹介できるかもしれないよ!」
我ら〈エデン〉の頼れるスーパースカウトウーマンミサトはそう言った。




