↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天命録に、俺の死は三十日後と刻まれている  作者: asnt2026


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/47

第42話 ノアは存在しない

生命炉の中枢へ入る。


その方法を探すため。


俺たちは再び、


王城地下へ降りた。


「また地下?」


ノアが嫌そうな顔。


「この世界、大事なもの地下に置きすぎじゃね?」


「盗まれにくいからじゃない?」


俺。


「俺なら地上の方が逃げやすくて好き」


「おっさんは逃げる前提なんだな」


最近。


逃げること多かったから。


          ◇


同行。


俺。


ミレイア。


ユリウス。


ノア。


レオン。


他は停止準備。


ガイルとグラムは封印施設。


フィーネとリゼルは治癒院。


アベルは魔王領。


少人数。


俺は少し不安だった。


でも。


全員連れていく必要はない。


それも。


今は分かる。


          ◇


王城地下。


死刻候補者の評価室。


さらに奥。


ミレイアが、


父から入手した古い地図。


「この先です」


扉。


古い。


監察局のものとは違う。


壁と一体。


文字。


《生命中枢管理領域》


「鍵は?」


俺。


ユリウス。


「王家の封印鍵です」


「持ってる?」


「ありません」


「じゃあどうするの」


ミレイア。


「父の記録では、王家の鍵を用いても第一扉までです」


「その先は?」


「十二勇士権限」


なるほど。


俺たち。


「じゃあレオン」


「はい」


手を。


扉。


光る。


でも。


開かない。


「俺も?」


触れる。


反応。


文字。


《権限不足》


「十二人必要?」


ミレイア。


「可能性があります」


「今全員いない」


「そもそも十二勇士全員が王都に集まっていません」


困った。


そのとき。


ノア。


扉へ近づく。


「これ触っていい?」


「待て」


俺。


遅い。


触る。


何も。


起きない。


警報も。


光も。


「ほら」


ノア。


「何もねえ」


「そりゃ権限ないから」


レオン。


でも。


ミレイアが変な顔。


「違います」


「何が」


「拒絶されていない」


俺たちは見る。


俺。


権限不足。


レオン。


権限不足。


ユリウスも試す。


権限不足。


ミレイア。


権限不足。


ノア。


何も表示されない。


「また」


俺。


「存在しない?」


ノア。


「その言い方嫌い」


ごめん。


          ◇


ミレイアが術式を調べる。


時間。


長い。


ノアは床に座り込む。


「腹減った」


「さっき食べた」


「地下来ると腹減る」


「理屈おかしい」


しばらく。


ミレイア。


「おかしい」


「何が」


「この扉」


彼女が壁の文字を指す。


「登録された生命に対して反応する構造です」


「王国登録?」


「違います」


「生命炉です」


ノアを見る。


「でも俺、生命炉にはつながってるって魔王言ってたぞ」


「そのはずです」


「じゃあ」


ミレイアが。


言葉を失う。


俺は。


妙なことを思い出す。


ノア。


出生記録なし。


王国の識別紋なし。


でも。


生命炉には接続されている。


アベルは言った。


この世界に生まれたなら。


なら。


なぜ。


この扉だけ。


反応しない。


「ノア」


俺。


「母親のこと覚えてる?」


少年の顔が変わる。


「ちょっと」


今まで。


ほとんど聞かなかった。


話したくなさそうだったから。


「無理ならいい」


「……」


ノア。


少し考える。


「顔はあんまり」


「声は?」


「ちょっと」


「何か言われた?」


長い。


「名前」


「何?」


「役所とか神殿で」


ノア。


「名前言うなって」


全員。


止まる。


「何で」


「知らねえ」


「お母さんが?」


「うん」


「見つかったら」


ノア。


声。


小さい。


「連れてかれるって」


          ◇


母親。


名前。


マリア。


それだけ。


姓。


ノアは知らない。


宿場。


移動。


村。


何度も変えた。


神殿の登録。


しない。


出生記録。


ない。


「死刻を」


ミレイアが呟く。


「恐れていた?」


ノア。


「母ちゃん、赤い字とか言ってた」


俺の心臓が動く。


「何て」


「人の名前書く石」


「嫌いって」


天命録。


たぶん。


「だから」


俺。


「登録しなかった」


でも。


王国登録を避けても、


生命炉には接続される。


そこは変わらない。


では。


何が違う。


ミレイアが、


扉の古い術式をさらに読む。


「これは」


顔が変わる。


「生命炉への接続そのものではありません」


「じゃあ?」


「生命炉が把握している個体識別情報」


名前。


生年月日。


血縁。


居住。


履歴。


評価。


全部。


「ノアには」


ミレイア。


「それがない」


生命炉は。


ノアが生きていることは知っている。


魔力を持つ存在として。


でも。


誰なのかを知らない。


「だから」


俺。


「死刻対象として評価できない?」


ミレイア。


「可能性があります」


ノアが立ち上がる。


「じゃあ俺」


「死なない?」


「違う」


俺はすぐ言った。


セラ。


死刻なし。


死んだ。


「死刻に選ばれにくいだけ」


「普通には死ぬ」


ノア。


「なんだ」


残念そうにするな。


          ◇


「扉」


レオン。


「通れるのでは?」


全員が見る。


ノア。


「どうやって」


触る。


何も。


ミレイア。


「押してみて」


ノアが押す。


重い。


「無理!」


「ガイルいれば」


いない。


俺とレオン。


手伝う。


でも。


俺たちが触れると。


《権限不足》


扉が固定。


「邪魔になってる」


ノアが笑う。


「おっさん役立たねえ」


「今だけな」


三人離れる。


ノア。


一人。


押す。


重い。


でも。


ほんの少し。


開いた。


「うそ」


俺。


「ノア!」


レオンが手を出そうとする。


「触るな!」


ミレイア。


ノアだけ。


隙間。


広げる。


十センチ。


二十。


「俺、すげえ!」


「すごいけど無理するな!」


「どっちだよ!」


隙間。


少年一人。


通れる。


ノアが向こうへ。


「待て!」


俺。


もう行った。


扉。


向こう。


暗い。


「ノア!」


「聞こえてる!」


声。


遠い。


「戻れ!」


「ちょっと見るだけ!」


子供。


本当に。


言うこと聞かない。


          ◇


数分。


長い。


俺。


扉の前。


何もできない。


最悪。


また。


ノア一人。


危険なところ。


自分で選ばせた。


でも。


止めきれなかった。


胸がざわつく。


「おっさん!」


声。


戻る。


ノア。


隙間から。


顔。


「何かあった!」


「何!」


「いっぱい名前!」


また?


「あと」


少年が何か持っている。


小さな金属片。


十二角形。


中央。


勇士の紋章。


ミレイアが受け取る。


文字。


読む。


顔。


変わる。


「何て?」


俺。


彼女。


ゆっくり。


「管理鍵」


「十二勇士」


その下。


古語。


訳す。


十二の外部判断権限をもって、生命炉の一時停止を許可する。


俺たちは。


魔王を倒すための勇士ではなかった。


少なくとも。


元々は。


生命炉を止めるための。


鍵だった。


ノアは。


記録に存在しないからこそ。


その事実を。


誰より先に見つけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。