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筋肉召喚士〜一生に一度の儀式で筋肉の神を引いたんだが〜  作者: セルライト


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第7話: 逃げ場なき強制パンプアップ

「……剛田さん。これ、外れません。寝る時もずっと『ダブルバイセップス』のポーズなんですけど」


アレンは涙目で訴えた。伝説のアーティファクト『天穿のガントレット』は、アレンの意思を無視し、最も筋肉が美しく見える角度へと腕を固定し続けている。もはや食事をするのも、顔を洗うのも、芸術的なポージングを経由しなければならない。


「少年よ、それはガントレットが泣いているのだ。その貧弱な前腕伸筋ぜんわんしんきんでは、私の聖なる拘束に耐えられないと!」


剛田が、どこからか持ってきた巨大な丸太をアレンの前にドスンと置いた。


「さあ、ガントレットに相応しい『器』を作るぞ。トレーニング開始ワークアウト・ビギンだ!」


「いやだ! 僕は魔法使い系の召喚士になりたかったんだ! 剣も持てないようなガチガチの体になりたくない!」


アレンが逃げ出そうとした瞬間、ガントレットがガシャリと音を立てて発光した。


「なっ、勝手に足が……!? スクワットのフォームに!?」


ガントレットから発せられる魔力の糸が、アレンの全身の筋肉をパペット(操り人形)のように制御し始める。アレンの意思とは裏腹に、腰が深く沈み込み、背筋がピンと伸びる。


「素晴らしい! ガントレットの『自動フォーム矯正機能』だ! これなら初心者にありがちな、腰を痛めるような甘いスクワットは不可能だぞ!」


「剛田さん、これ、僕がやってるんじゃなくて、ガントレットに『やらされてる』だけだから! 自分の意思で立ち上がれないんだけど!」


アレンが叫ぶ中、剛田はその背中に「追加の負荷」として、**先ほどの盗賊の頭・ジャック(気絶中)**をひょいと乗せた。


「おい! 人を重り代わりにするなよ!」


と、振動で目を覚ましたジャックが叫ぶが、剛田は無視だ。


「さあ、あと100レップだ! ガントレットが輝くたびに、君の細胞は歓喜に震えるッ!」


森の中、奇妙な光景が繰り広げられる。

光り輝く黄金の籠手をはめ、精密機械のような正確さでスクワットを繰り返すアレン。

その背中で「降ろせ! 法律(ギルド規約)に訴えるぞ!」と喚き散らすジャック。

そして隣で「アレン君……その太ももの震え、最高にデリシャスよ!」と、鼻血を垂らしながら超高速でデッサンを続けるエレナ。


「剛田さん……もう、限界……。膝が笑ってる……」


「笑わせろ! 膝だけでなく、広背筋も、大胸筋も大爆笑させてやるんだ! ほら、ガントレットが『まだいける』と言っているぞ!」


ガントレットが「ヴィィィィン」と唸りを上げ、アレンの腕を無理やり垂直に突き上げた。『ショルダープレス』の完遂である。


「あああああ! 腕が! 肩の筋肉が、ガントレットの出力に追いついてないいいい!!」


アレンの肩周辺から、パキパキと「成長痛」という名の限界突破音が鳴り響く。

夕暮れ時。

全身の筋肉がパンパンに膨れ上がり(ガントレットによる強制的な血流制限含む)、生まれたての小鹿のように震えながら、アレンは地面に這いつくばった。

剛田は、夕日に向かってサイドチェストを決めながら、満足げに頷いた。


「少年。道具は使うものではない。道具によって己の限界を『引き出される』ものなのだ」

「少年。覚えておきたまえ。自分の意思で辞められるトレーニングは、ただの運動だ。自分の意思を無視して続くのが、真の『教育バルクアップ』なのだ」


(……魔王を倒す前に、ガントレットに殺される……!)

【剛田の今節の名言】

「意志は弱くとも、筋肉は強い。脳が『無理だ』と叫んでも、ガントレットが『あと一回』と言えば、それは可能なのだ」

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