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筋肉召喚士〜一生に一度の儀式で筋肉の神を引いたんだが〜  作者: セルライト


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第六話:伝説の防具

「断絶のジャック」が床に半分埋まり、エレナが筋肉の残像で意識を飛ばしている中、アレンはダンジョンの最深部にある祭壇へと向かった。


そこには、古の英雄が遺したとされる伝説のアーティファクト、**『天穿のガントレット』**が神々しい光を放ち鎮座していた。


「これだ……。これさえあれば、僕も少しはまともな召喚士として、剛田さんの暴走を止められるかもしれない!」


アレンは震える手でその籠手を装着した。すると、ガントレットがアレンの腕に吸い付くようにフィットし、凄まじい魔力が脳内を駆け巡る。


「おおおっ……! 力が……力が湧いてくる! これが伝説の力!」 


「ほう、少年。ついに目覚めたか」


剛田が、ジャックを引っこ抜きながら(ついでにプロテインバーを噛み砕きながら)歩み寄ってくる。


「いいか剛田さん、このガントレットがあれば、もうあなたの筋肉に頼りきりにならなくて——」


アレンが言葉を言い終えるより早く、ガントレットが勝手に動き出した。

強制フォーム矯正


「えっ、何これ!? 腕が勝手に!!」


アレンの右腕が、ガントレットの魔力によって無理やり垂直に跳ね上がる。続いて左腕も、不自然な角度で固定された。 

「少年よ、そのアーティファクトの真の価値に気づいたようだな。それは装着者の魔力を増幅するのではない。**装着者のポージングフォームを黄金比に固定する『自動ポージング支援機』**だ!」


「そんな伝説いらないよ!! 腕が痛い! 全力でサイドチェストの形に固められるんだけど!!」


ガントレットからは「ナイスバルク……ナイスバルク……」という荘厳な音声が流れ、アレンの細い腕をミリ単位で「最も筋肉が美しく見える位置」へと強制移動させていく。


「見ろ、少年! ガントレットの魔力によって、君の貧弱な三頭筋が、あたかも『そこに筋肉があるかのような錯覚』を周囲に与えている! 素晴らしい、視覚的パンプアップだ!」 


「錯覚かよ! 強くならないのかよ! ただポーズが上手くなるだけかよ!」


ダンジョンの出口。

そこには、伝説の武具を手にして威風堂々と帰還する英雄を待つ村人たちがいた。

しかし、現れたのは——。

ガントレットによって強制的に『ダブルバイセップス』のポーズで固定され、涙目で歩いてくるアレン。

その隣で、全裸にスライムオイルを塗りたくって並走する剛田。

そして、最後尾で二人の尻のラインをスケッチしながら鼻血を流すエレナ。


「……アレン、そのポーズ、何かな?」 


村長が困惑しながら尋ねる。


「…………村長。これは、ポーズじゃないんです。呪いです」


「違うぞ村長。これは**『肉体への祈り』**だ」


剛田が深く頷き、アレンのガントレットにカチンと自分の拳(岩石のような拳)をぶつけた。


「少年、そのガントレットがある限り、君はもう『猫背』に戻ることは許されない。常に胸を張り、大胸筋を世界に誇示し続けるのだ」 


アレンのガントレットが再び光り、強制的に**『ラットスプレッド(背中を広げるポーズ)』**へと移行した。アレンの体は、物理的に「逆三角形」のシルエットに引き伸ばされる。


「あああああ! 肩甲骨が! 肩甲骨が未知の領域まで剥がれるううう!!」


「少年。覚えておきたまえ。伝説の武器とは、敵を倒すためのものではない。自分をより大きく、より逞しく見せるための『額縁』なのだ」


(……このガントレット、外れない。一生このポーズで生活しろって言うのか……?)

【剛田の今節の名言】

「道具に頼るのは二流。道具を筋肉の引き立て役にするのが一流だ。……ところで少年、そのガントレット、振動モード(マッサージ機能)はあるか?」

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