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筋肉召喚士〜一生に一度の儀式で筋肉の神を引いたんだが〜  作者: セルライト


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第8話: 良薬口に苦し

「少年よ、今日は特別だ。ガントレットという『額縁』に相応しい、究極のサプリメントを用意したぞ」


前日の地獄のスクワットにより、全身が生まれたての小鹿のようにプルプル震えているアレンの前で、剛田がガサゴソと袋を漁り始めた。

アレンの嫌な予感は、彼が取り出した「それ」を見た瞬間に確信へと変わった。

それは、高値で取引される最高級の**『魔石マナ・クリスタル』**。強大な魔力が凝縮された、文字通り国宝級の財宝だ。


「剛田さん、それ……街に売れば一生遊んで暮らせるって言われてる魔石ですよね? 鑑定士が見たら失神するレベルの……」


「ふんっ、金で買える安らぎなど、筋肉マイホームの堅牢さには及ばん。少年、よく見ておくがいい。これが真のバルクの源……**『魔導濃縮・高純度ホエイ(石)』**だ!」


剛田はそう言うやいなや、素手で魔石を掴んだ。

「せいやぁぁぁッ!!」という気合と共に拳を握りしめると、ギチギチ……と凄まじい音を立てて、硬度ダイヤモンド級の魔石が粉々に砕かれ、微細な粉末へと変貌していく。


「はい、魔石パウダーの完成だ。これを聖水でシェイクすれば、一杯でスクワット10万回分の栄養が補給できる」


「剛田さん、それただの『光る砂』だよね!? 飲むものじゃないよね!?」


「さあ、飲め。君の細胞が、魔力の源(アミノ酸)を求めて絶叫しているぞ」


剛田が、どこから出したか分からないシェイカーを、アレンの目の前に突きつける。中には、禍々しい紫色の光を放つ、ドロリとした液体が並々と注がれていた。


「無理! 絶対無理! 物理的に胃壁が削れる! 砂利を飲むのと一緒だよ!」


「案ずるな、ガントレットが君を支えてくれる」


アレンの拒絶を無視し、伝説のガントレットが不気味に作動した。

ガシャリ、と強制的にアレンの頭を固定し、**『最も効率的に喉を通過させる角度』**へと顎を跳ね上げる。


「ちょっと! ガントレット、お前も剛田さんの味方なの!? やめて、流し込まないで——ぐふぅっ!?」


「いい飲みっぷりだ少年! まさに『オールアウト(追い込み)』だな!」


喉を焼くような魔力の波動。石の粉末特有のジャリジャリ感。アレンの視界には、見たこともない異世界の幻覚(あるいは巨大なプロテインシェイカーを持つ神)が見え始めていた。


数分後、そこには全身からネオンサインのような魔力の光を放ちながら、不自然に直立不動を貫くアレンの姿があった。

「あ……ああ……。体が……熱い……。魔力が……溢れすぎて……体の中が光ってる……」

「ほう、いい『パンプ感』だ。肌の質感が、魔石の硬度と同期し始めているぞ」

アレンの皮膚は、魔石プロテインの影響で物理的に硬質化。もはや刀で斬られても、火花が散るだけで傷一つつかない状態(ただし、重くて歩くのがやっと)になっていた。


「アレン君、すごーい! 体全体が宝石みたいにキラキラして……ああっ、その血管の浮き出た前腕、最高にエロティックだわ!」


エレナがスケッチブックを放り出し、うっとりとアレンの二頭筋(ガントレットが盛り上げている)を見つめる。


「エレナさん、褒めてないで助けて……。僕、まばたきするのにも広背筋の力が要るんだけど……」


「少年。それが『魔法を内側に取り入れる』ということだ。魔力とは放つものではない、飲むものなのだ」


剛田は満足げに、自分も魔石パウダーをそのまま口に放り込み、「ジャリジャリ、ガリッ」と景気のいい音を立てて咀嚼し始めた。

「少年。覚えておきたまえ。賢者の石を探す暇があるなら、魔石を砕いて飲みたまえ。真の賢者とは、最も効率的にタンパク質を摂取できる者のことだ」


(……魔王を倒す前に、僕の人間としての尊厳が石になって崩れ去りそうだ。)

【剛田の今節の名言】

「良薬口に苦し、良プロテイン喉にジャリつく。胃壁が負けるか、筋肉が勝つか……それが進化の分かれ目だ」

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