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6-4. システムとしての太陽 ――スサノオの追放
こうして、アマテラスは
「意志を持つ個人」であることをやめ、
泰氏が運用する「国家管理システム」の
一部となった。
泰氏は、すべての責任を
スサノオ一人に押し付け、
彼の爪を抜き、髭を切り、
根の国(忘却の彼方)へと追放した。
スサノオという
「不都合な実行犯」を排除することで、
アマテラスの統治は
「無垢で聖なるもの」として
再定義されたのである。
「これで、
列島は我々の計算式通りに動く。
もはや、風の声を聞く者も、
石を拝む者もいない」
泰氏の長は、
岩戸の前に積み上げられた供物を見つめ、
静かに勝利を確信した。
しかし、この狂騒の最中。
ツクヨミは、ニギハヤヒがかつて言った
「欠けることは休息である」という言葉を胸に、
闇の中へと姿を消した。
そして東の地平では、
ニギハヤヒとナガスネヒコが、
岩戸から放たれる「偽りの光」を
冷徹な目で見据えていた。
「姉上は、あの鏡に魂を喰われたか。
……ならば、
俺たちが本物の火を灯しに行くしかないな」
ナガスネヒコの背後には、
地底で鍛え上げられた蝦夷の軍勢が、
静かに、
だが巨大な塊となって蠢いていた__。




