5-1. 泰氏の冷徹な算譜 ――「エラー」としての出雲
ニギハヤヒが大和を去り、
東の果てへと消えた後、
列島の調和は完全に崩壊した。
泰氏の策謀によって
「師を追い出した」という
消えない罪悪感に苛まれるスサノオ。
そして、泰氏が設計した「絶対王政」という
名の虚像に酔いしれるアマテラス。
その歪な姉弟の力は、
今や西の雄、出雲へと向けられた。
出雲は、ニギハヤヒの最良の友であった
**大国主**が治める地。
そこには泰氏が最も忌み嫌う、
自然と人が対等に語らう
「管理不能な豊穣」が、
瑞々しく息づいていた。
「アマテラス様。
出雲の民が謳う共生は、
今やあなたの光を遮る雲でしかありません。
彼らは土着の精霊と結びつき、
中央(大和)の法を無視した
独自の絆で結ばれている。
これは、あなたが統治すべき
『完璧な秩序』に対する重大なバグです」
泰氏の長は、
冷たい情報の断片をアマテラスに提示した。
泰氏にとって、中央を介さない
自由な交易や多神教的な連帯は、
非効率で危険な「邪気」であった。
アマテラスは、泰氏から授けられた
管理システムを維持するために、
出雲の併合を決断する。
しかし、彼女は自ら手を下すことはない。
「スサノオ。
あなたのその荒ぶる嵐を、今度は西へ。
出雲の王に『国を譲れ』と伝えなさい。
もし拒むなら……
その時は、あなたの力でこの列島を一つの
『正解』に染め上げるのです」__。




