12/30
4.-4 決断 ――東への潜伏
磐船が機能を停止し、聖域が瓦解する中、
ニギハヤヒは傷ついた体で立ち上がった。
「もはや、この地(大和)に私の居場所はない。
だが、知恵の火を絶やすわけにはいかない」
彼は、呆然と立ち尽くすツクヨミに、
秘かに神宝の真髄を託した。
「ツクヨミ、君は闇の中にいろ。
光の支配が届かぬ場所で。。。
いつか真実を語り継ぐために__」
そしてニギハヤヒは、
残された民――自分を信じ、
共生を望む者たちを率いて、
地底の通路へと消えていった。
彼は泰氏の監視を逃れるため、
地下の脈動を伝い、
未だ開拓の及ばぬ東の果てへと向かった。
その地で彼は、
かつての月の知恵をより純化させ、
過酷な環境に耐えうる強靭な部族を育て上げる。
それが後の世に「蝦夷」と呼ばれる、
この列島本来の魂を守り抜く人々となる。
「私たちは死なない。
ただ、時が満ちるのを待つだけだ_」
大和の空では、アマテラスが泰氏と共に
「太陽の絶対統治」を宣言していた。
しかし、その太陽は、
自らの師を追い出し、
弟の心を壊して得た、
冷たく偽りの光であった__。




