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第016話 一回裏、二回表の攻防

アクセス、ブクマ、評価、感想などありがとうございます。励みになっております。

本日の更新第一弾となります。

 続く七番打者が内野ゴロに打ち取られ、一回表の攻撃が終了した。


 三点を先取して、皆の士気も更に高まっている。しっかり守っていこうね!

 私はそんな思いを声に出していったが、先頭打者にはフォアボールを許してしまった。


 少し焦りを見せるピッチャーを、皆で励ます。


 二番打者への初球は、私の守備位置から見ていても明らかにストライクを取りに、置きにいったボールだった。左打ちの二番が放った打球は二塁ベースやや右へ。


 皆が抜けると思っただろうそのボールに、由香さんが飛び込んで追いついた。難しいハーフバウンドをなんとかグラブに収める。私は由香さんを信じてベースカバーに入っていたので、すかさず声を掛ける。

「セカンド!」


 その声を聞く前から由香さんはもう片膝立ちで送球体勢に入ってくれていて、私にボールが渡る。二塁ベースの一歩後ろにいた私は、助走をつけて捕りながらベースを踏むと一歩踏み出し、素早く一塁へ送球。しかし一塁はギリギリセーフになってしまった。


 極限の攻防だった。由香さんのダイビングキャッチからの二塁フォースアウトは勿論ビッグプレーだし、相手のバッターランナーだって最初から全力疾走していないと、一塁セーフにはならなかっただろう。私の捕球と送球も、我ながら無駄のない素早い動きだった。


 初回から痺れるようなプレイが飛び出し、敵味方の区別なく全員が、更に気を引き締めたのが感じられた。


 抜けていれば一、二塁だったところを助けられたピッチャーは、冷静になれたみたいで、続く三、四番をストレートとカーブのコンビネーションで三振とファーストゴロに打ち取った。


「ナイスピー!」


「いいボールいってるね!」


 口々に言いながらベンチへ帰る。


「由香、良い守備だったな! その後はナイスピッチングだったぞ! 次は先頭からその調子でいこう」


 コーチがまず由香さんとピッチャーを称える。


「相手はストレートとチェンジアップを上手く投げ分けてる。対応が無理だと思ったら狙いを絞っていこう!」


「はい!」


 確かにコーチの言った通り、下位打線になると両対応のバッティングはやや難しいだろう。狙い球を絞って早めに仕掛けていくのが正解に思える。


 八番は初球のストレートを叩いてセンター前ヒットで出塁。しかし続く九番は空振りとファウルで追い込まれて、最後はチェンジアップに三振を喫した。


 八番の打ち方と九番の空振り方から、相手はこちらがストレートに絞っていると思ったようだ。一番への初球は低目のチェンジアップ。だが上位打線は一味違う。三遊間を抜けるヒットになった。


 ワンアウト一、二塁で次は由香さんという場面で、キャッチャーがタイムを要請してマウンドへ。配球について話し合っているんだろう。

 規定の秒数が過ぎて、審判に促されたキャッチャーが戻る。配球にどういう変化を付けてくるのかな。


 初球、インハイボール球のストレート。胸元に来たが由香さんはスッと身を引いてかわす。

 二球目、アウトローへのチェンジアップ。見逃してワンボールワンストライク。


 どうやらバッテリーは、インハイとアウトローの対角線で勝負するつもりのようだね。それにストレートとチェンジアップで、緩急も付けられるんだから厄介だよ。


 でもそれなら、本当は初球もストライクを取りたかったはず。理想を言うなら、追い込んでから緩急で勝負したいもんね。


「由香さん、打てるよ!」


 私は高くてよく通る声で、熱の入った声援を送る。

 由香さんはその声に微笑んだように見えた。


 三球目、アウトローへ今度はストレートが来る。しかし由香さんは読み切っていたかのようにこれをレフトの左へ打ち返す。三塁ランナーコーチがレフトの動きをよく見て、スタートの良かった二塁ランナーをホームへ突っ込ませる。ボールはレフトからサードに返ってきただけだった。四点目だ。


「ナイスバッティング!」


 皆で叫ぶ。


 引き続きワンアウト一、二塁でバッターは三番。ボールになる低目のチェンジアップをしっかりと見極めて、次のストレートをスイングすると左中間へのツーベースになった。二塁ランナーが返って五点目。


 今度は二、三塁のチャンスで貴大くんの打席を迎えた。

 第一打席で初球のストレートを、あっさりフェンス直撃の大打球にした貴大くんだけあって、随分警戒されていた。


 チェンジアップを低目に二球続けてツーボール。高めのストレート、釣り球でスリーボールとなり、最後は分の悪い勝負を避けるかのように、外角に外して抜いたストレートを投げられた。


 二、三塁から勝負を避けられたとあって、貴大くんは苦笑しながら一塁へ走っていった。

 満塁になればホームでフォースアウトが取れるとはいえ、次はまだ五番でこちらのチャンスが拡大するからだ。


 これに燃え過ぎたのか、五番打者は初球低目のチェンジアップを豪快に空振りしてしまった。


「落ち着こう!」


「力まないで、楽に楽に!」


 ベンチからの声援で冷静になれたのか、一度打席を外して軽くコンパクトな素振りをする。打席に戻る前に、私と目が合った気がした。なんでだろう?


 二球目も誘い球のチェンジアップだったが、これを我慢して見逃した。三球目、インハイを狙ったのだろうが、真ん中高目に来たストレートをセンター返しでタイムリーヒット。


 ランナーは一つずつ進んだので引き続き満塁で私に回ってきた。


 もしかしてさっき目が合ったのって、こういうこと? よーし、それなら尚更頑張っちゃうよ!


お読み頂きありがとうございました。

皆様のおかげで、文章評価、ストーリー評価共に200ポイントを超えました。

また、総合評価も2000を大きく超えました。

更にブクマは現時点で900件頂戴しております。

重ね重ね感謝いたします。

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