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一ノ瀬兄妹(に)は伝えたいことがある  作者: 久川梓紗
彼等の幼少時代
23/59

23話『興味を持った』

橋川と桐生の過去編ついに解禁!

さぁ、橋川が興味を持った彼は一体?((

橋川の今の性格からは想像が出来ないくらい大人びた子供だなぁと思うかもしれませんが、それが彼なのです。こんなこと考える小学生なんていないだろ。と思うからしれませんが、それが橋川流星なのです。

では、では。

   約十年前の夏。

 俺が小学一年の時、初めてあの美少年にあった。

 今は思えば、あいつは人を騙して、笑って、人が真剣にしてるのにおちょくって…ムカつく奴だったけど、素直でとてもいい奴。

 一人で抱え込む所が欠点な…そんな優しい奴。

 それが、桐生晄杜(きりゅうあきと)



 ____“中学二年まで”の彼。


『死ぬわけねぇじゃん。』

 そしてこれが初めてあいつに話しかけた…俺の一言。






「死ぬのって、恐い…?死んだら、皆に会えなくなるの?」


 公園の片隅にポツリと置いてある影みたいな存在の木でできたベンチで、俺と同じくらいの男の子がそんなことを言っていた。


「…ねぇ、教えてよ。僕は、どうなっちゃうの?」


 頭しか見えなかった男の子の目がちらりと見え、その目には涙が浮かんでいて、涙が伝染してしまいそうになる。


 ジャングルジムの一番高いところで座っていた俺は、雲が流れる以外変わらない空を見るのをやめて彼の姿を見ることにした。

 理由はとても単純。彼の姿を見てるのが「面白そう」そう思ったからだ。

 俺はジャングルジムの上で胡座をかき、頬杖をつく。


「嫌だ…死にたくない。死にたくないよ…!!」

 何と無く見てただけなのにいつの間にか時間は経っていて彼の姿に見入っていた。

「死ぬなんて嫌だ。ぼくは…まだ生きてたいのに。」

 彼の声は俺にしか聞こえてないのか彼方此方にいる人達はほぼ無反応。

 こんな子供(がき)が“死ぬ”とかそう言う発言してんのになんも話しかけないんだな。ま、俺も同伴者だし、あいつのこと子供って言えないけど。


「死にたくないよ。死にたくない…。」

 しょうがない。俺は肩を落として少し先に見える地面に向かって降りる。

「完璧。」

 両足揃って着陸したことを自分で褒める。

 俺に気づいたのか彼は走って俺に近寄ってきて目を輝かせた。

「凄いね!!かっこよかった!!」

 彼は俺の顔をジロジロと見るようにさらに近寄ってきて顔と顔が近くなる。

 俺は近すぎる感覚に喋ることが出来ず、自分と彼の間にあるわずかな隙間に自分の手を入れただけだった。

「あっ、ごめん。」

 彼は後ずさりして少し遠ざかった。


「死ぬわけねぇじゃん。」

「えっ?」

 彼はさっきの俺の行動に傷ついたのか、俯いていた顔を再び元に戻す。

「だから、死ぬわけねぇだろ。」

 彼は驚いた顔をしてから、パァと顔を明るくして俺の手を握った。

「ありがとう!」

 そう言って彼は俺の手を握ってから何処かへ走って行った。

「…なんだったんだ?」

 その彼の後ろ姿を見て苦笑するしかなかった。



 それから一ヶ月間。彼の姿を見ることはなかった。

 俺は少しそのことは気にしていてもあとは変わらず一人で空を眺めている。

 けど、俺にだって友達は一応いる。皆からは変だって言われるけど、俺は…友達が良く分からない。どう言う風になったら友達か。友達ではなくなるのか良く分からない。先生からは「考えすぎだよ。」って言われたけど、そうは思えなくて結局今みたいに一人でいる方が気楽になっている。

 一人でいる方が好きなことができるし何も言われないから自由だと思う。誰かと一緒にいてその自由がなくなってしまうなら、一人でいる方が良い。


流星(りゅうせい)くんなんでいつも一人でいるの?』

『皆と遊ぼうよ!』

 たまに女の子達がそんなことを言って来る。けど俺はそんな気にはなれなくて、ただ首を横に降って「ごめんね。」と言うだけ。そうすると女の子達は毎回同じように「えー」「遊ぼうよ〜」と腕を引っ張ったりして来るけどそんなことは気にしないでもう一度「ごめんね。」と言うと諦めたように「…わかった。また今度遊ぼうね!」と言って残念そうな顔をしてから笑顔で手を降って俺の元を去って行く。

 そして俺は毎回「うん。いつか」と嘘をついて手を振り返す。


 多分、俺は誰とも遊ばない。学校の中なら遊ぶかも知れないけど、それ以外は遊ばないと思う。

 うまくは言えないけど、心の底から楽しい。と思ったことはないから。

 それでもあの日会った彼を忘れないでいるのは彼に少しだけ興味を持ったから。

 親にこう言うことを言うとただ笑われる。

「なにまだ子供のくせにそんなこと考えてるのっ。」って。馬鹿にされたように笑われる。

 だから親には本当のことは話さない。


 門限まで公園で一人ぼーっと何かを見て時間を過ごす。それが俺の日常。

 そんな退屈なのか楽しいのか分からない日々の中、少し興味を持ったのが、あの彼。

 名前はなんて言うのだろうか。

 死ぬとはなんだろうか。

 彼はいつまで生きれるのだろうか。

 なぜ、俺の言葉に礼を言ったのだろうか。


 知りたい。彼のことを知りたい。

 俺は初めて他人に興味を持った。

 “知りたい”と思えた。

 好奇心なんてものは俺にはないと思っていたけど、少しはあったらしい。

 勉強もしたって無駄な(見てしまえば出来てしまうから)そんな繰り返しばかりの日々から抜け出せそうだと思えた。


「会えるかな。」

 空を見て呟く。

 もし、彼が現れなかったら彼は死んだのかも知れない。本人が知ってるのだから死ぬのは近いのかも知れない。

 もし、そうだったら俺はどうするんだろう。ただ彼を待ち続けるのだろうか。

『死ぬわけねぇだろ。』自分で言った言葉を疑いたくなる。

 本当にそうなら良い。そうなら…いいのに。

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