15話「同じクラス」
僕が知っている限り、橋川と櫻井はこのクラスにはいない。昨日までクラス名簿にも書かれていなかったはずだ。
…なのに何故、二人が僕のクラスにいるんだ。
「一ノ瀬ー!おはよっ!」
肩に重たい石が乗せられたような感覚がきてから、首に腕を回されていることに気づいた。
「…おはよう。橋川」
腕に回されている重い腕を退けようとしたが、動く気配はなく諦める。
「テンション低いね。どうしたー?」
橋川が腕を回したまま僕の頬を両手で押さえ、頬をぐるぐると回してくる。
「お前がテンション高いだけ。それと何故お前が僕の隣の席なんだ。」
ほおに添えられていた手を払い、彼の顔を睨みつける。
相変わらず少女漫画にてできそうな王子様オーラが眩しすぎて蹴りたくなってしまう。
このオーラ、僕は苦手なんだよ!
「なぜって?」
橋川がニヤニヤした顔で問いかけてくる。
「それは亜瀬川くんに変わってもらったからだよ。」
二カッと白い歯を見せながら笑う彼の顔を唖然と見てから話題に戻す。
「…亜瀬川?」
「ねぇ、さっきの引いたような顔なに?!傷つくんだけど!」
橋川が犬のように吠える。
「最初に僕の答えをいえ!」
それに吠え返すように橋川に言葉をぶつける。
「君の元、隣の人だよ!!」
橋川が僕の態度に苛ついたのかは分からなかったけど、現自分の席に指をスバッと席を刺して、僕をみる。
「亜瀬川…翔のこと?」
「翔!?」
彼は目をめいいっぱいに広げる。
「そんな驚くか?と言うか何に驚く。」
少しこの話題に飽きてきて、荷物を机の中に入れ始める。
「なんで名前呼びなわけ?」
橋川がおどおどとした様子で聞いてくる。
「え?亜瀬川って二人いるんだよ。僕の両サイドどちらも亜瀬川。それで双子だからもう名前でイイや!と思って名前だけ覚えてた。」
彼が溜息を吐く。
「なんだよ、それ。」
「いや、僕がなんなんだよ。って聴きたいよ。」
橋川に向けていた視線を反対側に向ける。
「俺になんか文句でもあるのか?」
視線を向けた主がぼくに視線を一瞬やり、机に戻した。
「文句は言わない。けど、お前にも一応聴こう。…なぜここにいる。」
「橋川と同じくだ。」
この声の持ち主、櫻井が机に向けていた視線を橋川にやる。
「亜瀬川兄弟可哀想だな。」
呆れが笑になって口から漏れる。
「なに?俺らより亜瀬川兄弟の方が良かったの?」
「お前らが隣だと集中でなさそうで嫌だからな。」
橋川のチャラ男オーラ的なのは無視をし本音を吐く。
机の中に教科書などを全て入れカバンにもう教科書が入っていないことを確認し椅子に座る。そして机に頬をなすりつける。
「でも亜瀬川くん達喜んでたよ。俺たちと交換できて。」
「へー。」
つまり、僕、兄は嫌われてるってことか。
他人事のように思えて笑えてくる。
「何せ、俺と橋川は隣同士だったからな。」
さっきまで話していた反対側の方から声が聞こえる。顔の向きは変える気はなく耳だけをその方向に傾ける。
「隣同士って条件は双子が喜ぶ条件の一つだよねー。」
橋川の声が片方の耳に響く。
こいつらどんだけ縁があるんだよ。
「腐り縁だけどね。」
「ココロヲヨムヤツハキライダ」
「えっ!?なんで!?」
橋川が僕の机に手をついて耳元で騒ぐ。
「うるせーよ。」
机に頬を擦りつけたまま腕を伸ばして橋川の口を押さえた。




