何故こんなことに?
「くそっ、、どうしてこうなるんだ、、」
「うわぁ〜本とCDがいっぱいだ〜」
突然青嶋の家に忍び込んできた綿谷。無事追い返せそうだったのだが、突然の大雨により綿谷は一旦青嶋の家に留まることになってしまった。
「はあ、、はよ止めよ雨、、」
「てもなんだかんだ言って雨の中に放り出さない青嶋くんは優しいよ〜」
「さすがにそこまではしねえよ、風邪ひかれても後味わりいし」
いくら一緒にいたくないとはいえ、雨の中に女の子を放り出すのは青嶋の隠れた良心が傷付くため、渋々留まることを許可した。
「最近の映画のCDいっぱいある〜!何見る〜?」
「見ねえよ、じっと座っとけ」
「あ!私これがいい〜」
「ちっとも話聞かねえなこいつ」
青嶋がリビングで掃除や作業をしている中、綿谷は棚にしまってあるCDを漁っていた。
「映画好きなんだ〜」
「お、俺は好きじゃねえよ。親の趣味だ親の趣味」
「青嶋くんのレンタルショップの会員証見つけた〜」
「だから勝手に漁んな!」
否定する青嶋に対抗するように、綿谷は青嶋の名前が書かれたレンタルショップの会員証を差し出してきた。
「わかった!見るからもうこれ以上荒らさないでくれ!」
「やった~!」
青嶋の私物を荒らしている(?)綿谷に根負けし、一緒に映画を観ることにした青嶋である。
「中々怖いね、、この映画、、」
「そりゃホラー映画だからな」
綿谷が手に取ったのは、大人でも怖いと感じるぐらいのレベルのホラー映画だ。多少慣れている青嶋でもすこしビビるほどのものである。
「ひゃっ!怖いよ~、、」
「こっち寄ってくんな、離れろ」
「だって怖いんだもん、、」
「なんでこれ選んだんだよ」
涙目になりながらまるで小さい子のような顔をした綿谷は、怖さで青嶋に引っ付いてきたが、青嶋はすぐ引き剥がした。
「お、もうすぐ雨止むな」
「え~やだ~」
「やだはおかしいだろ」
雨が止んで帰れるというのに、逆に悲しい顔をしている綿谷である。
「天気予報だともう少し降る予定なのに~」
「そうなのか、ってお前もしかして天気予報見て今日を狙って来たってことか??」
「冷蔵庫にプリンある~」
「知らんぷりすんな!あと勝手に漁んな!」
青嶋が問い詰める中、何食わぬ顔でプリンを手に取っている綿谷である。
「はあ、、食っていいからそれ食ったら帰ってくれ、、」
「やった~」
そう言われた綿谷は許可を取る前から既に開けていたプリンを頬張る。
「おいしい~!どこに売ってるのこのプリン!」
「普通にスーパーに売ってるやつだ」
「おいしいから何か特別なプリンかと思った~」
「うちにそんなものを買う財力はない」
青嶋は若干遠い目をしてそう言い放った。
「ほら、食ったんだからはよ帰れ」
「は~い」
そう言って綿谷は素直に立ち上がり、玄関の前まで行った。
「それじゃあばいば~い!またくるね~!」
「まじで二度とくんな」
そう言って綿谷は青嶋の家をあとにした。
「はあ疲れた、、一旦寝よ、、」
綿谷の相手をして疲れた青嶋は、そのまま眠りにつくこととなった。
「、、っちゃん!かずちゃん!」
「んー、、、母さん、、?」
しばらく寝ていた青嶋は、帰ってきた母によって起こされた。
「ちょっと!なんでこんなのあるのよ!」
「んー、、??」
あまり青嶋に怒ることがない青嶋母だが、珍しく少しだけキレ気味だった。
「なにー、、、どれ、、、?」
「これよこれ!」
まだ寝ぼけている青嶋だったが、その眠気が冷めるのも一瞬であった。
「なんで女物のスカートがあるのよ!もしかして家に女の子連れ込んだの!?」
「え、、、は!?!?そんなん知らねえ!
「知らないってことないでしょ!じゃあ誰のスカートよ!」
「いや知らんって!、、、、いやちょっと待て?」
青嶋は深く考え込んだ。寝る前の記憶を少し思い出す。帰っていく綿谷の姿を想像してみると、それはスラックス姿であった。どうやらスラックスを履いた際にスカートを脱いで、そのまま忘れていったようだ。
「あ、、あいつ、、、!」
「何か心当たりがあるのかしら?」
「言っとくけど特になんもしてねえからな?ただ家にちょっと上がっただけだ」
「女の子を家に上げたの??」
「だからそうだって言ってんだろ」
青嶋は母親に怒られることを覚悟しながらも、自分が悪い気がしないため謝るつもりも特になかった。
「あんた、、、」
「なんだよ」
青嶋母が青嶋に近づいてきた。
「ようやく彼女が出来たのね!お母さん感動で泣きそうだわ!」
「は???てか暑いから離れろ!」
青嶋の予想に反して、青嶋母は大喜びしながら青嶋のことを抱きしめた。
「彼女じゃねえから!勝手に家に入ってきたんだよ!」
「そんな照れなくてもいいのよ?お母さんかずちゃんの選んだ人なら誰でも歓迎するわ!」
「ああもうめんどくせえ!」
青嶋は勘違いが進行する青嶋母に今日のことを説明した。
「ちょっと事情がよくわからないのだけれど、、、でも脈アリなんじゃないかしら!」
「だからそういうのじゃねえから!まず友達でもねえ!」
青嶋は綿谷のことを友達だと認識したことはないし、ただの勝手に絡んでくる変な人だと思っている。
「あんたそろそろちゃんと友達作りなさいよー、お母さん心配なのよ?」
「うるせえ、ほっとけ」
青嶋母は定期的に青嶋の交友関係を心配してくる。友達など作るつもりはないと公言しているのだが、そのせいでいつも気にかけられている。
「まあでも、その女の子がいればとりあえず安心そうねー」
「だから友達じゃねえっての」
「あ、部屋戻るならこのスカート持ってってちょうだい!それと、変なことに使ったらだめよ!」
「使わねえよ失礼な!」
そうして青嶋は綿谷のスカートを抱え自室に戻った。
「はあ、、てかちょっとまて?」
青嶋はここで少し気になることがあった。
「まさかこれ俺が学校に持ってかないといけないのか??」
綿谷にスカートを返さないといけないということは、学校にスカートを持っていかないと行かないということになる。
「家にもっかい来させれば、、、、いやでもそっちの方がめんどくさそうだな、、」
今日みたいなことがまた起こったらとても面倒くさいので、仕方なくこっそりと学校に持っていき、渡すことにした。
「ったく、、、こんなんどこに置いときゃいいってんだよ、、」
青嶋はスカートの端っこをつまみながらどこに置くかを悩んでいた。
「まあハンガーにかけて、、」
「かずちゃん入るよーって、、あんたベッドにスカート持ち込んでなにやってんの!?」
「持ち込んでねえわ!今片付けようと思っただけだわ!」
結局綿谷のせいで、母親にあらぬ誤解までかけられてしまった青嶋であった。




