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意味

「はあ、、、」


朝学校に登校し、無事に席に着いた青嶋。その青嶋のカバンの中にはとあるものが入っている。


「怜奈ちゃんおはよ~」


「おはよう穂乃花。今日はジャージなのね」


「そうなの~ちょっと事情があってね~」


その事情の原因は、まさに青嶋のカバンの中にあるスカートである。綿谷はスカートがなく制服が着れないので、ジャージなのである。


(昼休みにどうせこいつ来るだろ)


毎日校庭で待っていれば欠かさず来るので、昼休みに校庭にこっそり持って行って渡す作戦である。


「綿谷さんおはよう!」


「綿谷ちゃんおっはー」


「穂乃花ちゃんトイレ行こー!」


綿谷が学校に来るやいなや周りに人が集まってきている。


(こいつ友達多いな)


わかっていたものの改めて見るとつくづくそう思う。確かに綿谷は人懐っこい性格でとっつきやすく、親しみやすい感じである。そして青嶋がなおさら思うのは、なぜそんな人がわざわざ貴重な昼休みを自分に使うのか、ということだ。


(他の人と一緒にいた方がもっと楽しいだろ)


無愛想で拒絶反応を示している青嶋になぜ絡んでくるのか未だに理解をしていない。本人は興味があるから、としか言っていないが青嶋には全く理解ができなかった。


(どうせ、もうじき飽きるだろ)


その興味さえ尽きてしまえば青嶋と関わることもなくなる。人と関わりたくない青嶋はその時をひっそりと待っている。


(、、、、、寝よ)


考えるのがめんどくさくなった青嶋はHRガン無視で寝ることにした。




「、、、、来ないな」


昼休みが10分経過した頃、いつもはすぐ来るはずの綿谷が今日はまだ来ていない。綿谷に渡すためにカバンにスカートを入れて持ってきたが、肝心の綿谷が来ていないためまだ渡せていないのである。


「来なかったらこれどうすんだ?放課後に渡すとか、、、いや無理だな」


絶対に自分から話しかけたくない青嶋は、何とか今のうちに渡してしまいたいのである。


「ちっ、、、来なかったらそこら辺に捨ててやろうかな」


「あ~!ダメだよそんなことしたら~!」


「びっくりした!なんで後ろから来るんだよ!」


突如背後からやってきた綿谷に思わず腰を抜かしそうになった青嶋である。


「はぁ、来ねえのかと思ったわまじで、、」


「そんなに私が来なくて寂しかったんだ~」


「ち、ちげえよ!!これほらスカート!てめえが来ねえと返せねえだろうが!」


「あ~!投げちゃだめだよ~!」


少しイラついた青嶋は綿谷にスカートを投げつけた。


「今日はお詫びにとあるものを作ってきたんだ~」


「いらん」


「まだ何かも言ってないよ~!」


嫌な予感しかしていない青嶋は、何かを渡される前に拒絶した。


「ほら見て~エビチリ作ってきたんだ~」


そう言いながら綿谷は弁当箱に敷き詰められたエビチリを青嶋に見せた。


「ふ、ふん、、だからなんだよ」


「青嶋くんエビチリ好きでしょ~?」


「なんで知って、、、ってちげえよ!!好きじゃねえ!!」


青嶋は顔を赤くしながら横に背けた。


「中学の卒業文集に書いてあったから好きなのかな~って」


「なに勝手にみてんだよ!」


どうやら、綿谷は青嶋の家に来た際に青嶋の中学の卒業文集をいつの間にか見ており、そこで青嶋の好物を知ったようだ。


「はい!全部あげる!」


「い、いらねえよ!お前が作ったものなんか食わねえ!」


「はい、あ~ん」


「はぐっ!?!?」


綿谷は強情な青嶋の口の中に強引にエビチリを押し込んだ。


「美味しいでしょ~」


「ふ、ふん、、エビチリなんてソースかけて炒めるだけで誰でも美味しく作れるし、、」


「ソースも自分で作ってみたの~」


「自分で、、!?」


青嶋は驚き思わず立ち上がってしまった。


「もっと食べていいよ~」


「お、お前が食わねえなら勿体ねえから食うけど?」


青嶋は垂れそうになるよだれを必死に抑えながらそう言った。


「ふふふ、元々青嶋くんのために作ったんだから青嶋くんのものだよ~」


その表情を見た綿谷は微笑ましい笑顔を向けながらそう言った。


「じゃ、じゃあ仕方ねえな食ってやる」


「も~素直じゃないなぁ~」


貰ったエビチリをバクバク食べる青嶋を眺め続ける綿谷である。


「、、、、、お前はなんで昼休みここに来るんだ?」


青嶋は唐突に綿谷にこんな質問をした。


「ん~青嶋くんとお話したいからかな~」


「それは知ってるなんで俺と話したいのかを聞いてんだよ」


「なるほど~」


綿谷はその青嶋の質問に対して数秒考えた。


「お前が俺に絡んでくるメリットがない、何か企んでるとしか思わねえんだけど」


綿谷ほどの人脈であればわざわざ青嶋に優しくするメリットなど一つもない。青嶋を利用して何かしようとしてるとしか考えられないのである。


「メリットしかないよ~?」


「あ?なんだよメリットって」


「青嶋くんと話してると楽しい!」


「は?それだけ?」


予想していなかった答えが返ってきて困惑する青嶋である。


「メリットなんて考えたこともなかったよ~そういう考え方もあるんだね~」


「じゃあお前はなんのために人と絡んでるんだ?なんの理由もなく絡んでんのか?」


「理由かあ~怜奈ちゃんは一緒にいたら癒されるし~、まどかちゃんは面白くて~、涼太くんは怜奈ちゃんと仲がよくて~」


「ちょっと待て登場人物が多すぎてよくわかんねえ」


「そして青嶋くんは私に沢山構ってくれる!」


「構ってねえわ!お前が勝手に構いに来てるだけだ!」


笑顔でふわふわした髪の毛をなびかせながらキラキラした目で言う綿谷に、大きめの声で言い返す青嶋である。


「毎回来るなっていいながら追い返したりしない青嶋くんは優しいよね~」


「別に今すぐ追い返してやってもいいんだけどな??」


「追い返してもいいよ~」


両手を差し出して追い返してと言わんばかりのポーズをとる綿谷である。


「うるせぇ、どうせやろうとしても抵抗するだろうが」


「ほら~やっぱり追い返さない~」


「こいつ、、本当に追い返してやる」


「わ~」


「おい!?」


青嶋が綿谷を追い返そうと広げている両手を掴もうとすると、綿谷はそのまま青嶋に抱きついた。


「何してんだよ!!あ、あついから離れろって!!」


「ほら~やっぱり追い返せない~」


「追い返さないのと返せないのじゃ意味が全然違ぇだろうが!」


結局綿谷を追い返すことができないまま、この日の昼休みを終えることとなった。













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