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感情の昂り

「それでねそれでね!怜奈ちゃんったら転んじゃって!」


「、、、、、、、おい」


「?」


「俺話しかけてくるなって言ったと思うんだけど」


今日の昼休みにも、綿谷は青嶋の憩いの場にやってきていた。そして来るやいなや綿谷の日常トークが始まったのだ。


「無駄に話しかけてくるなって言われたから、無駄じゃない話なら大丈夫かな〜って」


「完全にいらない会話だっただろ今の、知らんやつの転んだ話とか興味ねえから」


青嶋は自由に話をする綿谷に呆れながらそう言った。


「でもお話した方が楽しいと思うんだ〜」


「だからそれは君の価値観だろって」


「そしてそれでね〜」


「話きいてねえ、、」


青嶋の意見も通らぬまま、特に聞きたくもない話を散々聞かされている青嶋である。


「その話すんの俺じゃなくてよくねえか?他の友達に話せばいいだろ」


「友達にはみんなこの話してるの〜」


「あと俺は君と友達になったつもりは微塵もないんだけど」


正直青嶋からすればただ同じクラスなだけの赤の他人である。仲良くなろうとも思わないし、友達になろうともなったつもりもない。


「そしたら怜奈ちゃんが〜」


「だから!!俺はお前と会話したくないって言ってんの!」


話を聞かない綿谷に頭に血が上った青嶋は、立ち上がって綿谷に怒りをぶつけた。


「そ、そうなの、、?ごめんなさい、、」


まさか怒られると思わなかった綿谷は、申し訳なさそうに頭を下げ、黙り込んだ。


「ったく、、意味わかんねえ、、なんで俺なんかに絡みに来るんだよ、、」


「、、、、、」


その後、2人の間にしばらくの沈黙が走った。


(ちっ、、こうなるなら最初っからどっか行かせればよかったな)


最初から気は進んでいなかった。静かにしてて貰えると思っていたので一応承諾したのだが、案の定かなり話しかけられてしまった。


「ほんとに、、ごめんなさい、、、!」


「ちょっとおい、、!?泣くなって、、!」


謝っていた綿谷の顔を見ると、涙を流していた。


「ほんとに、、!ただ仲良くなりたいだけで、、!!」


「わかった!わかったから泣くな!」


まさか泣くとは思わず焦った青嶋は、何とか泣き止ませようと必死に説き伏せた。


「ほんとに、、?話も聞いてくれる、、?」


「聞くから!だから泣き止んでくれ!」


青嶋は手を合わせて綿谷にお願いした。


「やった〜!それでねそれでね〜」


「いや泣き止むのはや、、」


青嶋がお願いした途端綿谷はスっと泣きやみ、また話し始めた。


「だって話聞いてくれるんでしょ〜」


「おい、、、今のもしかして嘘泣きじゃねえだろうな」


「悲しかったのはほんとだもん!」


「やっぱ嘘泣きじゃねえか!」


ぷくりと顔を膨らませて怒る綿谷と、怒りを通り越して呆れが来た青嶋である。


「話聞いてくれるって約束したもん!」


「くそっ、、はめやがって、、」


「あと1時間は聞いてもらうもん!」


「とっくに昼休み終わってるだろ!」


天然なのかわざとなのかよくわからない綿谷のボケに、思わずツッコむ青嶋である。


「もういい!食い終わったから教室戻るからな!」


昼ごはんを食べ終えた青嶋は立ち上がってその場から立ち去った。


「はあ、、なんなんだ本当に、、、」


「、、、、、」


「って、、ついてくるな!」


「バレちゃった〜」


ついてくる綿谷に対して、青嶋は走って逃走した。そんなこんなで段々と距離が縮まって、、、るかもしれないし離れてるかもしれない2人であった。




「今日は私もここでお弁当食べよ〜」


「はあ、、、」


今まで弁当は教室で食べてきていたらしい綿谷だったが、とうとう青嶋の隣で弁当を食べ始めた。


「ん〜!今日もおいしい〜!」


「、、、、」


隣で美味しそうに食べる綿谷を横目に、青嶋は喋らず黙々と食べ進める。


「これもおいしい〜!」


「、、、、、、うまそうだな」


「!!!!!」


「やべっ声に出て、、、な、なんでもねえよ!こっち見んな!」


あまりにも美味しそうに食べる綿谷に気を取られ思わず声に出てしまった青嶋と、美味しそうと言われ嬉しさのあまりニマニマする綿谷である。


「たべる?」


「た、食べねえよ!」


箸で卵焼きをつまみ、青嶋の方へ向ける綿谷である。


「はい、あ〜ん」


「んなことするわけねえだろ!」


綿谷は卵焼きを青嶋の口元に近づけるが、青嶋は顔を背けて回避した。


「美味しく作ったのに、、」


食べて貰えず、顔を下げしょんぼりと落ち込む綿谷である。


「作った、、?弁当自分で作ったのか?それ」


「そうだよ〜!毎日自分で作ってるんだよ〜!」


どうやら毎朝自分で弁当を作り、それを学校に持ってきているらしい。


「ふん、、別に俺だって自分で作ってるしな」


青嶋は揚げ足を取るように綿谷に自分の弁当を見せた。


「え!?ほんとに!?」


「ち、近えって!!」


綿谷は驚いた表情を見せ、あと少しで鼻と鼻が当たりそうなくらいに顔を接近させた。


「食べたい!一口でいいから〜!」


「わかった!!わかったからこれ以上近づくな!」


青嶋は綿谷の肩を掴んで押し戻し、とりあえず落ち着かせることにした。


「ほら、、好きなの持ってけ、、」


疲れ果てた青嶋は弁当を綿谷に差し出し、好きなものを持ってくように指示した。


「やった〜!う〜ん、、じゃあ私の卵焼きと交換ね!」


「いや別にお前のはいらな」


「はい!どうぞ!」


「人の話を聞けよ、、」


まるで話を聞いていない綿谷は、青嶋の卵焼きを取ったあと自分の卵焼きを青嶋の弁当に入れた。


「おいしい〜!」


青嶋の卵焼きを頬張った綿谷は、頬を抑えて目をキラキラさせていた。


「どう、、?私のもおいしい、、?」


「う〜ん、、」


今度は綿谷の卵焼きを頬張る青嶋と、それを不安そうに見つめる綿谷である。


「ん〜、、、、、、」


「美味しくない、、、?もしかしてしょっぱめの方が好きとか、、!」


微妙そうな反応をする青嶋に、さらに不安が加速する綿谷である。


「ああ、悔しいくらいには美味い」


「やっぱり、、、、って、、今美味しいって言った!?!?」


「言ってない」


「言ったでしょ〜!聞き逃さないよ〜!!」


実はボロクソに言ってやろと思っていた青嶋だったが、まるで非の打ち所が一切なく、褒めることしかできなかった。


「うるさい、食い終わったからもう行く」


「うん!またあしたね〜!!」


「だから来んなって言ってるだろうが、、」


元気に手を振る綿谷を横目に、スタスタとその場を立ち去る青嶋である。


(くそっ、、また話しちまった、、)


今日こそは話さないと決めていたのに、なんと話すどころか弁当のおかずの交換までしてしまった。


(明日こそは絶対に何も話さないからな、、!)


ガッツポーズをして、そう心に決めた青嶋であった。





























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