一匹狼系男子とふわふわ系女子
「青嶋くん明日のクラス会来れる、、?」
「ごめん行かない」
「そ、そうだよね、、!」
そうしてまた彼の周りには人がいなくなっていく。そんな彼の名前は青嶋一翔。高校入学してから2ヶ月ほどたった高校1年生である。彼は人と話すのが苦手。な訳ではなく、ただ人と関わるのが嫌いなので、話しかけられてはあしらって、誘いも全部断っている。
「青嶋って関わりにくいよな」
「ねー、それなー」
そうして入学から2ヶ月たった今、そんなひそひそ話が耳に入ってくるようになった。ただ、こんな態度をしていれば言われるのは当然である。それを承知の上で人と関わらないようにしているのだ。
(とっとと帰ろっと)
そうして青嶋は今日も学校が終わると同時に1人で足早に帰宅していくのだった。
「はあ、今日も学校行くか」
次の日、青嶋はそう嘆きながら家を出た。
「ちっ、、、めんどくせえ」
最近あまりいいことがなく、青嶋は少しイライラしながら道を歩いていた。
「いいじゃん俺たちとちょっと遊ぼうよ」
「やめてください!」
「なんだ?」
歩いていると、道の横に広がって複数人で戯れている男たちがいた。
「邪魔くせえな、、」
道は男たちによって塞がれており、話しかけるしかなかった。
「おい、邪魔くせえんだけど」
「あ?誰だ急に」
「邪魔だから道に広がんな、とっととどけろ」
「あ?んだてめえ!!」
青嶋の言葉にキレた男は青嶋に殴りかかった。しかし青嶋その男の手を掴み、そのまま投げ飛ばした。
「痛っ!!」
「あっぶねまじで、、」
中学まで柔道をやっていたので、何とか間一髪助かった青嶋である。
「な、、!覚えてろよガキ!!」
そう言い残して男たちは一目散に逃げていった。
「はあ、学校いこっと」
「あの、、!」
青嶋は学校に向かおうと歩き出すと、後ろから誰かに話しかけられた。
「なんだ?俺急いでるから、んじゃ」
「あ、、!!」
青嶋はそう言って駆け足で学校に向かった。その際なにか後ろから聞こえた気がするが、人と話したくないので無視して向かうことにした青嶋であった。
昼休み、青嶋はいつも教室ではなく誰もいない校庭の端っこのベンチに座って、そこで弁当を食べていた。
「今日もうめえな」
我ながら自分の作った弁当はうまいと自画自賛しながら食べ進める。
「青嶋くん、、だよね?」
「あ?だれ?」
弁当を食べ進めていると、誰も来ないはずの場所に1人の女子がやってきた。
「やっぱり!青嶋くんだ〜」
その女子は青嶋とわかるとにっこりして青嶋の隣に座り始めた。
「いやごめん、誰?」
「同じクラスの綿谷穂乃花だよ〜」
「はあ」
嬉しそうに自己紹介を始める綿谷に対して、それを軽くあしらう青嶋である。
「何しに来たんだ?俺1人で飯食いたいんだけど」
「お礼を言いに来たんだ〜」
「お礼?」
思い当たる節がない青嶋は頭を傾げた。
「ほら、今日助けてくれたでしょ〜?」
「助けた?」
そう言われ青嶋は今日1日の出来事を思い返した。そうして浮かび上がってきたのは朝の出来事だった。
「ああ、もしかして絡まれてた人?」
「そう!あの時すぐどっか行っちゃったからお礼言いそびれちゃったから言いたくて!」
綿谷は青嶋に近づき、ウキウキと話し始める。
「別に君を助けようとしたわけじゃないし、お礼言われる義理はない」
「でも助かったよ〜ありがと〜」
そう言って綿谷はニコニコな笑顔を向けながら青嶋に頭を下げた。
「よっと、俺食い終わったから。んじゃ」
「ばいば〜い」
人と関わりたくない青嶋は、食べ終わると同時に逃げるようにその場を立ち去った。その間も綿谷は笑顔で手を振りながら青嶋を見送っていた。
「穂乃花ちゃんおはよ!」
「おはよ〜」
綿谷穂乃花、青嶋と同じクラスの女子である。かなりふわふわした雰囲気でおっとりしている。髪型もロングでパーマがかかっていて、髪の毛すらもふわふわしているふわふわ系女子だ。クラスでは男子からも女子からも人気があり、友達が多いらしい。
「青嶋くんもおはよ〜」
綿谷は青嶋の近くに行くやいなや、かなり小さめな声で青嶋に挨拶した。
「、、、、、」
できる限り関わりたくない青嶋は全く別の方向を向いて、無視を決め込んでいた。そして気がつくと綿谷は自分の席にすんなりと座っていた。
(なんなんだ??)
何故挨拶をしてきたのかもよくわからない。あれだけ昨日素っ気ない態度を取ったにも関わらずまだ絡んで来るのだ。
(まあ、いずれ諦めるだろ)
そもそも人と関わるつもりがない上に、青嶋は綿谷と気が合わないと思っている。向こうはおそらく真っ直ぐなタイプの人間で基本誰とでも関われるタイプだが、青嶋は真逆だ。ひねくれている上に人と関わろうとしない。そんな2人が交わっても何もいいことがないはずだと思っている。しかし、その日の昼休みにも事は起こった。
「あのさ、なんでまたいるの?」
「今日もここにいるかなあ〜って」
そう言いながらふにゃっとした笑顔を見せて青嶋の隣に座る綿谷である。
「俺昨日言ったよね、1人で食いたいって」
青嶋は迷惑そうに綿谷のことを睨んだ。
「でも、2人で食べた方が楽しいよ〜」
しかし綿谷は表情を変えず、笑顔で青嶋に言葉を返した。
「それは君の価値観だろ。俺は1人の方がいいんだよ。君とは関わりたくない」
「じゃあ私のことは見える妖精さんってことにしていいよ〜」
綿谷は閃いたような顔をして青嶋に言葉を返したが、青嶋の表情はさらに酷くなった。
「なんだそれ、、小学生かよ」
「ひどい〜!小学生じゃないよ〜!」
先程までずっと笑顔だった綿谷は、ここで初めて少しだけ怒った顔を見せた。
(なんでこれは怒るんだよ、、意味わかんねえ)
関わりたくないなど先程からひどい言葉をかけても表情は何も変わらなかったのに、この言葉で表情が変わったことに困惑する青嶋である。
「はぁーーー、、まあいいや、、邪魔しねえんだったらもう好きにしてくれ」
綿谷を説き伏せるめんどくささが勝った青嶋は諦めて隣に座ることを許可した。
「やった〜!ありがと〜!」
そんな青嶋の言葉に今日一の笑顔を見せる綿谷である。
「ただ邪魔したらすぐ追い返すからな、あと無駄に話しかけてるくるな」
「わかった〜!よろしくね〜」
「よろしくすることはねえからな?」
校庭で1人気持ちよく弁当を食べる日々。しかしそんな青嶋の平穏な1人の学校生活に、突如として乱入者がやってきた。1人が好きな孤高の1匹狼と、周りを和ませる雰囲気を醸し出すふわふわ系女子の奇妙な学校生活が始まる。
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