友情感情
「いやーまさか青嶋くんと同じバイト先になるなんて!」
「はあ」
「私もびっくり〜」
午前中にバイトが終わった3人は、星の提案で近くのファストフード店に来ていた。
「前から青嶋くん達のこと気になってたんだよねー!」
「俺はお前嫌いだ」
「えー!!なんでーー!!」
「うるせえから」
「ひどい!」
青嶋はこういう勢いのある声の大きいタイプが大の苦手で、星は青嶋とは相性が悪いのである。
「前教室でほのちゃんと青嶋くん話してたよね!どうして仲良くなったの?」
「まず別に仲良くねえ」
「え〜昨日お泊まりしたのに〜」
「え!?!?」
「ぶはっ!」
綿谷がそう発言した瞬間、星は目が飛び出しそうなくらい驚いた表情をし、青嶋は飲んでいた飲み物を吹き出した。
「おめえが家に来た時にたまたま大雨が降ったから泊めただけだ!変な感じで言うんじゃねえ!」
「泊まりじゃなくても青嶋くんの家に行くことはあるの?」
「うん〜よく行くよ〜」
「めっちゃ仲良しじゃん!」
「おめえが勝手に押しかけてくるだけだろうが」
青嶋から綿谷を誘ったことはほとんどなく、大体は綿谷が強引に来ているだけである。
「いいなー私も青嶋くんと仲良くなりたい!」
「嫌だ」
「即答ひどい!」
星の発言に食い気味で拒否をする青嶋である。
「青嶋くんを手懐けるのは難しいよ〜?」
「お前に手懐けられた覚えは無い」
「エビチリあげた時はすごい素直だよ〜?」
「それはエビチリに手懐けられているのであってお前に手懐けられているわけじゃない」
「????」
2人の会話を聞いても理解が及ばず、頭の中がハテナで埋まる星である。
「青嶋くんもそうだけど、ほのちゃんも結構変な人だよね?」
「おい、なんで俺が変な人前提なんだよ」
「ほのちゃんと仲良い人は大体変な人じゃない?古谷ちゃんとかチャラ男くんとか」
「やっぱあいつらって変な奴らなのか、てかその理論だとお前も変な人になるが?」
綿谷と仲良い人は変人という理論になると、星も綿谷と仲がいいため、自分も変な人になってしまうのである。
「私って結構まとも枠じゃない?」
「それ言うやつは大体変な人なんだよ」
「みんな変な人だけどみんないい人だよ〜?」
「多分みんなお前には言われたくねえだろうな」
「え〜?私がいい人ってこと〜?」
「そういうとこが変って言われんだろ」
「?」
まるで何も理解できていない綿谷は、ポカンとした顔で考え込んでいた。
「はー美味しかった!」
「ハンバーガーとかクソ久々に食ったわ」
無事に食べ終わった3人は、店を出て帰る準備をしていた。
「んじゃ、俺こっちだから」
「え〜もう帰っちゃうの〜?」
「疲れたから帰って寝る、じゃあな」
「青嶋くんまた今度ね!」
「二度とないことを願う」
昨日今日と色々あったせいで疲れが溜まった青嶋は、そのまま綿谷たちと解散して帰ることにした。
「青嶋くんって意外と面白い人だね!」
「でしょ〜」
青嶋とたった今別れたばかりの2人は、青嶋の噂話をしていた。
「最初は全然構ってくれなかったんだけどね〜、最近は結構構ってくれるようになったんだ〜」
「そうなんだ!1回だけ学校で話しかけたことあるんだけど無言で睨み返されたんだよね、、でもイメージ変わったかも!」
「でしょでしょ〜?青嶋くんの良さをみんなに伝えたいのに青嶋くんが嫌がるんだよね〜」
「でも青嶋くんの良さをみんなに伝えちゃって大丈夫なの?」
「なんで〜?」
綿谷は星の言葉の意味がわからず、首を傾げた。
「他の人に青嶋くん取られたら嫌じゃない?だってほのちゃん多分青嶋くんのこと好きでしょ?」
「!?!?!?」
突然の星の言葉に驚きを隠せず、何も言葉が出てこなくなる綿谷である。
「耳真っ赤じゃんわかりやすすぎでしょ!!」
星は綿谷の反応を見て、微笑ましくニヤニヤと笑っていた。
「いや〜ちがうよ〜、、?ただ仲良くなりたいだけで〜、、」
「そんな顔して言っても説得力ないよー?」
「いや〜、、ん〜、、」
綿谷の顔からは動揺が隠しきれていなく、耳から顔まで真っ赤であった。
「じゃあやっぱり今はアタック中なんだ」
「う〜んでもやっぱり女の子としては見られてない感じがするんだよね〜」
「そうなの?」
綿谷から見ての青嶋は、恋愛感情というものが見えないどころか、その一歩手前の友情感情すらもなかなか見えないのだ。なので今はまだそういう段階には全然到達していないのである。
「だから今は普通に友達として仲良くなろうとしてるんだ〜」
「へえー!なんか、いいね!」
「?」
「ほのちゃんはずっとこのままでいて欲しいー!」
「私はずっと私のままだよ〜?」
「そういう所も!」
「?」
星に言われた言葉の意味が全く理解できず、ずっと困惑した顔をしながらこの後を過ごしていた綿谷であった。
「あー、、、暇だー、、」
夏休みも残り2週間を切ったが、宿題も終わってしまい特にやることがなくなってしまった青嶋である。
「ピンポーン」
「あ?なんだ?」
インターホンが鳴り何か嫌な予感がしたが、とりあえず出てみることにした。
「どちら様で、、、何しに来た?」
「おはよう青嶋くん笑」
「暇そうだから来てやったわよ」
「さよならー」
「まあまあ落ち着いて笑」
やってきたのは川上と古谷であった。青嶋は状況を把握した瞬間にドアを閉めようとしたが、力ずくでこじ開けられた。
「てかなんで俺の家知ってんだよ」
「穂乃花に聞いたわ」
「あいつ人の個人情報勝手に漏らしやがったのかよ」
今更ながら、やはり綿谷に家を教えるべきではなかったと後悔する青嶋である。
「はあ、、、、、、何しに来た、、?」
「みんなで穂乃花の家に遊びに行こうって話さ笑」
「さよならー」
「まあまあ閉めないで落ち着いて笑」
「顔覗かせてくんの怖いからやめろ」
青嶋はまた無理やりドアを閉めようとしたが、川上が顔を挟めて閉めるのを阻止した。
「行くメリットが無さすぎる」
「でも穂乃花からあなたが暇してるって言われたわよ?」
「俺ん家ってほんとに盗聴器とかつけられてないよな?」
まるで遠隔で声が聞こえていると思うほどに暇なことがバレていたので、やはりあらぬ疑いをかけたくなる青嶋である。
「あの子がそんな物騒なものつけるわけないでしょ、ほら早く行くわよ」
「むり、じゃあな」
「最高級のエビチリを用意してるって言ってたわよ」
「まあ丁度よく暇だったし行ってやってもいいかもな」
「ちょろいわね」
「よしじゃあ行こー笑」
結局ものに釣られた青嶋は2人と一緒に綿谷の家へと向かうことにした。




