勉強会
期末テストとは。勉強が嫌いなものにとっては長期休みの前に立ちはだかる強敵のようなものである。そこでの結果で休みを満喫できるかできないかが大きく変わるのだ。
「こうして〜ここがこうなって〜」
「いやいやちょっと待てよ」
テスト前の放課後、青嶋と綿谷は2人でテスト対策のための勉強会をしていた。
「どうしたの〜?休憩はまだ早いよ〜」
「なんで勉強会が俺ん家なんだよ!もっと違う場所あっただろ!」
そして何故か青嶋の家で行われることになってしまったのである。
「だって〜学校じゃ嫌かな〜って思って〜」
「だとしてももうちょいどっかあっただろ!図書館とかカフェとか、てかまず勉強会やるのも了承してねえ!」
そもそも青嶋は特に何も約束などしていないのだが、何故かいつの間にか勉強会をするということになっており、気づけば青嶋の家でやるということになっていた。
「む〜、、せっかく教えてあげようと思ったのに〜」
「別に頼んでねえし、てかそもそもお前人に教えられるほど頭いいのか?」
「高校入った時にやったテストでは1位だったよ〜」
「は??お前が??」
「あ〜私の事頭悪いと思ってたでしょ〜」
「今までの行いで頭がいいと思う方がおかしいと思うが」
どうやらイメージに似つかず綿谷は相当頭がいいようだ。
(そういやオセロも強かったな)
ここで青嶋は先日のオセロの対決を思い出した。その時はぼろ負けし、ただオセロが強いだけかと思っていたが、どうやら単純に頭が良いようだ。
「てか俺だって別にちゃんとやれば点数取れるけどな、わざわざ勉強会なんてものもする必要が無い」
「ちゃんとやればって言う人は大体ちゃんとやらないよね〜」
「うるせえよ、それに別にテストなんてどうでもいい」
「だめだよ〜補習で夏休み遊べなくなるよ〜」
赤点を取ればもちろん補習がある。補習になってしまうと夏休み中に学校に登校しなければならなくなるので、遊ぶ時間が大幅に減ってしまうのである。
「てかお前、俺が補習になったら休み中遊ぶ時間が減るから勉強教えようとか考えてねえだろうな?」
「ほら〜勉強するよ〜」
「誤魔化してんじゃねえよ!」
そんなやり取りがあったが、2人は真剣に勉強に取り組むことにした。
「なあ、お前俺に勉強教えるためにここに来たんだよな?」
「そうだよ〜」
「うん、じゃあなんでお前は今ゲームをしてるんだ??」
「これ楽しいね〜」
真剣に取り組むはずが何故か綿谷はテレビゲームをしていて、勉強しているのは青嶋1人だけであった。
「ったく、、、とりあえず1人でやるか、、」
このままグダグダして赤点を取るのも嫌なので、とりあえず1人でテスト勉強をすることにした。
「はあ、、もう18時か、、おい、そろそろ帰れお前」
「え〜途中だったのに〜」
そう言いながら綿谷はゲームの電源を切った。
「お前マジで何しに来たんだよ、、、ほら、とっとと帰れ」
「お腹すいちゃった〜、お夕飯食べていってもいい〜?」
「うん、いいわけないよな?」
勝手に人の家の冷蔵庫を漁ろうとする綿谷の肩をガシッと掴み、静止させる青嶋である。
「あ〜エビある〜エビチリ作ってあげるね〜」
「エビチリ、、!?い、要らねえよ!はよ帰れ!!」
「そんなキラキラした目で断られても説得力ないよ〜」
「ああもうわかったよ!はよ作って帰れ!」
「やった〜」
エビチリの誘惑に見事に負けた青嶋は、仕方なく夕食を作ることを承諾した。そして綿谷はテキパキと夕食の準備を進めていた。
「これとこれを混ぜて〜」
「なるほど、、、」
「青嶋くん?そんな見てても作るのは早くならないよ〜?」
何故か綿谷が料理を作っているところをじっと見続けている青嶋である。
「あ?別に俺のことは気にすんな」
「そ、そう〜?でもちょっと見られてるとやりずらいかな〜、、」
「は?なんでだよ」
何故かやりずらいという綿谷に困惑する青嶋である。
「ほ、ほら〜なんか作り方間違ってたりとかしちゃってたら恥ずかしいから〜、緊張しちゃうかも〜、、?」
「別に間違ったりはしねえだろ、前のだって美味かったし、それに俺が自分で作る時に参考にしてえんだよ」
「そ、そう?それならいいんだけど〜」
そう言い綿谷はまたエビチリ作りに集中し始めた。
「ソース作ってエビと混ぜるだけだから青嶋くんでも作れると思うよ〜」
「まじ?材料何使ってんだ?」
「えっとね〜」
珍しく話に食いついてきた青嶋に、ウキウキしながら作り方の説明をし始める綿谷である。
「材料はケチャップと玉ねぎとにんにくと〜」
「ちょっと待て、覚えらんねえから後でこれにまとめて送ってくれ」
青嶋はそう言ってメッセージアプリのQRコードを差し出した。
「え〜!?いいの〜?やった〜」
「は?何にそんな喜んでんだお前」
こちらからお願いしたのに何故か喜んでいる綿谷に困惑する青嶋である。
「ん〜んなんでもな〜い」
「???」
青嶋は困惑しっぱなしでいると、突如アプリからの通知が来た。
「これで一緒にいなくても沢山お話出来るね〜」
「ちょっと待て!やっぱりそれ消せ!」
「やだ〜」
青嶋は今更気づいたが、もう遅かったのである。連絡先を交換するということは、常にいつでも綿谷からメッセージが来てしまう可能性があるということになるのだ。
「くそっ、、こっちからブロックするしかねえか」
「ブロックしたらエビチリの材料教えないよ〜」
「ちっ、、くそ、、わかったよ!その代わり変に連絡送ってきても返さねえからな?必要事項だけ送ってこい必要事項だけだ」
エビチリの誘惑に負けた青嶋は、渋々ブロックを取りやめることにした。
「ほら〜できたよ〜」
そうして綿谷は出来上がったエビチリを青嶋の方に持っていった。
「頼んでもねえのにありがとうっていうのはおかしい気もするが、、まあ、ありがとう」
「どういたしまして〜」
不本意ながらも一応綿谷に感謝の意を述べて、エビチリを口に運んだ。
「まあ、、、さすがにうめえな、、」
「ほんとだ〜おいしいね〜」
既に1度食べているので分かってはいたが、さすがの美味しさに素直に褒める青嶋である。
「ほら、食い終わったらとっとと帰れよ?てか元々勉強会するって約束だったのに、脱線しすぎだろ」
「誰のせいだろうね〜、ご馳走様〜」
「うん、頼むからとっとと帰ってくれ」
「あ〜」
食べ終わった瞬間に立たされ、そのまま玄関へと連れていかれる綿谷である。
「じゃあまた今度勉強会しようね〜、次は真面目にやるから〜」
「うん、次は真面目にやらざるを得ないとこでやろうな??」
これに懲りて家では勉強会はやらないことを心に誓った青嶋である。
「ほら、とっとと帰れ、、、!?」
綿谷を追い返すため玄関を開けた青嶋だったが、そこには想定外の光景があった。
「ただいまーって、、あれ!?女の子!?」
「母さん!?なんでこの時間に、、今日は遅いはずじゃ、、」
そこに居たのは仕事終わりの青嶋母であった。そして綿谷を見た青嶋母は当然のごとく驚きを隠せないようであった。
「仕事片付いたから早めに上がってきたのよ、それとこんばんは」
「こんばんは〜私綿谷って言います〜、青嶋くんとはクラスメイトです〜」
青嶋母は視界に映った綿谷に対して挨拶をし、綿谷もそれに対して挨拶を返した。
「ほら、母さんも帰ってきたからとっとと帰ってくれ」
「綿谷さん、ケーキは好き?」
「好きです〜」
「ふふ、ちょっともっかい家に上がってちょうだい」
「は?」
そうして何故か青嶋母は綿谷を連れリビングまで戻っていった。




