ふわふわと猫
「見て〜オセロ持ってきたんだ〜」
「やんねえよ、てか学校にそんなもん持ってくんな」
とある日の昼休み。綿谷はお昼ご飯を食べ終わると突然オセロを取り出した。
「む〜、それじゃあ条件をつけてあげる〜」
「付けんでいいしまずやらん」
「私に勝ったらなんでも言うこと聞いてあげる〜」
「人の話を聞け」
綿谷は青嶋の言葉を聞かず、オセロの準備を進めていた。
「ったく、、なんでも言うこと聞くって、特にしたいことなんて、、、いや待てよ?」
青嶋は少しばかり頭を回転させ、そして閃いた。
(これはこいつをどっか行かせるチャンスなのでは?)
何でも言う事を聞く、すなわち関わらないようにするという命令をすることができるのだ。
「よし、やってやろう」
「やった〜じゃあ私白ね〜」
そうしてオセロの対決が始まったものの、決着はあっという間だった。
「くそ、、強すぎるだろ、、」
「勝った〜やった〜」
全て埋まる前に、盤面は真っ白に染まっていた。
「じゃあ青嶋くんに私の言うこと聞いてもらうよ〜」
「なんでだよ!お前の言うこと聞くなんて言ってねえ!てか、そのために得意なゲーム選んだだろ!」
「う〜ん、どうしようかな〜」
「話聞けや、、、ったく、、変なことはしねえからな?」
青嶋の主張がまるで届いていない綿谷であるが、そのまま数十秒間考え込んでいた。
「思いつかねえなら別にわざわざやんなくてい、」
「青嶋くんのおうちにまた遊びに行きた〜い」
「ダメだ」
「え〜〜〜」
綿谷は顔を膨らませ、すごく不満そうな顔をしていた。
「む〜、、それじゃあどこか遊びに行くのはダメ〜?」
「はあ、、、、まあ少しだけなら、、」
「やった〜」
とても気だるそうにしながらも、渋々了承した青嶋である。
「それじゃあ放課後校門前に集合ね〜」
「俺が来る前にいなかったら帰るからな」
「大丈夫だよ〜全力疾走で校門まで行くから〜」
「危ねえから普通に歩け」
「青嶋くん優しい〜」
「黙れ」
そうして放課後を迎えた2人は、校門前で集合していた。
「ちゃんと来てくれたんだ〜」
「来なかったらどうせまたうるせえだろうからな」
ため息をつきながら、渋々綿谷に着いていく青嶋である。
「ところで、どこ行くかは決めてんのか?」
「う〜ん、どうしようかな〜」
「なんで決めてねえんだよ、、」
わざわざ約束したにもかかわらず、無計画に歩き始める綿谷である。
「あ〜見て〜猫カフェだよ〜、行こ〜」
「おい!ちょっと待てよ!」
綿谷は足を止め猫カフェを見つけるやいなや、そのまま店に入っていった。
「うわ〜猫ちゃんがいっぱい〜」
「うわ、、毛すご、、」
猫カフェに入ると、猫の毛が沢山落ちており制服にまとわりついてきていた。
「みてみて〜猫ちゃん座ってくれた〜」
綿谷は床に座ると、猫はそのまま綿谷の太ももの上に座り込んだ。
「ほらほら〜青嶋くんも座って〜」
「ったく、、しょうがねえな、、どうせ俺の方に猫は寄ってこな、、!?ちょ、おい!?来すぎ来すぎ!!」
青嶋が座ると瞬く間にそこら中の猫が集まってきて、青嶋は大量の猫で埋め尽くされた。
「すご〜い青嶋くん猫ちゃんにめっちゃ懐かれてる〜」
「見てねえで助けてくれ!このままだと猫に制圧されちまう!」
そんな青嶋を見て綿谷は感心する中、どんどん猫に溺れていく青嶋である。
「すみませんお客様!今引き剥がしますから!」
「あぶねえ、、助かった、、」
店員の助けにより猫は数匹になり、何とか一命を取り留めた青嶋である。
「猫ちゃん可愛いね〜」
「まあ、人間なんかより何百倍もマシだな」
「私と猫ちゃんどっちの方が好き〜?」
「猫」
「即答だね〜」
人間より素直で可愛い猫に、綿谷だけでなく青嶋も虜になってしまっていた。
「それじゃあ〜、、、にゃ〜ん、綿谷にゃんこだよ〜」
「随分とよく喋る猫だな」
綿谷も青嶋の前で寝っ転がりながら猫の真似をするものの、見向きもせずにスルーする青嶋である。
「む〜、、にゃ〜ん!」
「ちょっ、、!おい!」
反応が悪い青嶋に少し怒った綿谷は、まるで先程の猫のように寝っ転がり、青嶋の太ももの上に頭を乗せ猫の真似をし始めた。
「綿谷にゃんこも撫でて欲しいにゃ〜ん」
『なにあれ?バカップル?』
『公然の前でイチャつきやがって、、!』
「おい!いいから早くどいてくれ!」
周りから変な目線を向けられ、さすがに恥じらいが強くなってきた青嶋である。
「撫でないとどけないにゃ〜ん」
「ちっ、、、ほら、これで満足か?」
いち早くどかせたかった青嶋は、素直に綿谷の頭を撫でてどかせることにした。
「にゃ〜ん、、、もっと〜、、、」
「おいてめえ寝んな!」
「あ〜〜〜」
撫でられ心地良くなってきた綿谷は、そのまま青嶋の太ももの上で寝ようとしたが、店の外まで青嶋につまみ出された。
「ったく、、、恥ずかしいったらありゃしねえ、、、」
「なに〜照れてくれてるの〜?」
「てめえの思考回路はどうなってんだよ。ったく、、クソ疲れた、、」
綿谷に振り回され、既に疲労困憊の青嶋である。
「次はゲームセンターいこ〜」
「行かねえよ、なんでまたそんな疲れそうなとこ行かなきゃなんねえんだよ」
「おねがい〜プリクラだけ撮りたい〜」
「んで俺がプリクラ撮んなきゃいけねえんだよ!」
そう言った青嶋だったが、断る方が体力消耗と判断したため、渋々プリクラを撮ることにした。
「とっとと早く撮ってくれ」
「は〜い、えっと、、じゃあまずハートのポーズして〜」
「するわけねえだろアホか」
「だめか〜、じゃあ私だけでやろ〜」
そうして真顔の青嶋と、笑顔でハートを作る綿谷の奇妙なプリクラが出来上がった。
「見て〜青嶋くん可愛くなってるよ〜」
「人の顔を勝手に加工すんな」
「はいこれ1枚あげる〜」
「いらねえ、、」
そうして青嶋の罰ゲーム?の放課後のお出かけは幕を閉じた。
「疲れた〜沢山遊んだね〜」
「ったく、、、疲れたはこっちのセリフだよ、、」
割と散々だったお出かけに疲れが顕著に出てくる青嶋である。
「でも楽しかったでしょ〜」
「ああ、猫とまともに触れ合ってる時だけは少し楽しかったな」
「猫カフェ気に入ってくれた〜?また今度行こうね〜」
「ああ、お前を連れずに1人で行ってくる」
「む〜私も行くもん」
早歩きで綿谷から離れようとする青嶋と、それを追いかける綿谷である。
「もうすぐ夏休みだね〜」
「ようやくお前と会わずに済むな」
「夏休み中はベンチに来ないの?」
「行くわけねえだろ」
本気なのかボケなのか分からない綿谷の言葉に思わずツッコミを入れてしまう青嶋である。
「でも、その前に期末テストだね〜」
「、、、、あんまその話すんな」
「なんで〜?あ、わかった〜青嶋くん赤点取りそうなんでしょ〜?」
「うるせえ、勉強してねえだけだ」
「それが問題なんだよ〜、、ん〜、、そうだいいこと考えた〜」
「どうせロクなことじゃねえだろ」
「まあそれはまた明日教えてあげる〜」
「聞きたくねえんだけど」
なにか案を考えている綿谷に少しばかり怯えながら、青嶋はその日の残りを過ごすこととなった。




