主人公 2
「時々、妙な触感がすると思ってたんだ……」
「えへへ……♡」笑って誤魔化す。やっぱり可愛い。頬が緩んだ。
厳しい顔になる。マリに向いた。はっきり――
「僕は、不合格だったんだな?」
悲しそうな顔で、頷くのだ。
「自由奔放なご両親だったサトウ家から、君は堅実な白神家の長子にへと劇的に環境が変化した。そして新しいご両親から、愛情とともに厳しくも教育され、そして期待され、相対的に――君の夢、それも、“途方もない夢”を見る力が弱められてしまった」
「父母を恨んだことはない。現実を、具体的に生きる力を与えて貰った。感謝の念だけだ……」
「そうでしょうとも」
マリは続ける。
「私が鉱脈主として、君に“原石コーティング”をプレゼントしようとしたときのこと、憶えてる?
君は、『分不相応だ』として、“やんわりガンッ”と、受け取らなかった。
悲しかった。
これが、以前のサトウ家の君だったら、『ホイホイ』と、喜色満面に奪い取っていたはずだわ」
こんなときなのに、笑ってしまう。
「……親の影響って、大きいんだなぁ、としみじみ思うよ」
「ところが。そんな君を隠れ蓑にして、自由奔放に生き、さらにはシンの志、シンの素質を丸々継承した者が現れた」
二人の声が重なる。
「ユイ」
「エヘッ……!」
「彼女は私から、何のこだわりもなく原石を受け取ったわ。彼女こそ日本における最強のアイアンガール。
同時に君の薫陶をも受けた、夢見る継承者。この物語の主人公――
それが、白神結衣!
究極の宇宙を目指す、旅するお姫様よ!」
ユイはその言葉を待ってたかのように、ボディを成長させる。オリハボディだからできることだ! 背が伸び胸が膨らみ、腰がくびれ、尻が丸くなる――
本当に目のやり所に困ってしまった。
多分プラス10歳、育ったところで、彼女は成長を止めた。
そして、裸の表面に、浴衣柄のように、朝顔をグラフィックさせる。
こちらに向き、ビシッ、と敬礼する。
「チィ~す、お兄ちゃん先輩!」
すぐに僕の首に両腕をかけ、
「そしてアデュー、シン。ユイ、征くね!!!」
宣告するのだ――
「おう……!」そうとしか言えないじゃないか。
「結婚して、お兄ちゃん」
「おう。いいぜ、ユイ……!」
涙だった。背を抱き腰を抱き。そして僕らは、愛の口づけを、心から交わしたのだった。




