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敗者
僕はまず、マリーに顔を向けた。
「君はどうして、僕が宿泊しているホテルのこと、知ってたんだい?」
「え?」
「まだ昨日のことだよ。君は、ライジング・サンのホテルビーチに、僕を誘いに現れた。でもそこに宿泊してることは、タクシーの運転手しか、知らないことだったんだ」
「知るもなにも、教えてもらったから……」
「誰に?」
「ミス・ウミハラさんに。タモンビーチで。あのとき……」
うん、と満足して頷く。今度はエマにだ。
「君もだよ。今朝、カッコいいオープンカーで、ホテルに登場した。なぜホテルが分かった? ひょっとして昨日、ビーチボールを僕の頭に当てたのは、僕にマーカーを付けるためだったのかな?」
「そんなことするまでもない。教えてもらったから……」
「誰に?」
「ミス・ウミハラさんに。あの、おっかない彼女さんによ!」
僕はニコリとした。全て、思った通りだった。
さっきタッチしたクリスタルの境界面に、振り向いた。
「そろそろ出ておいでよ、マリ!」
ああ、女子が全員息を飲む――
今――!
足が手が、胸が、顔が――
白熱のコアとの境界面から、サマードレスをひらひら揺らし、彼女が、海原真理が、クリスタル内に入場して来たのだった!
マリが、ニッコリとした。




