旅
「マリー、最後かもしれない。少し話をしよう」
「どうぞ……」
「今度、日本に招待するよ」
「――絶対だからね。約束!」
「日本旅行で、リクエストはある?」
「リアルなサクラ吹雪が見たいわ。そのあとアキハバラでメイドさんとお茶するの。ホッカイドウで憧れだったスキーもしてみたい。シンカンセンに乗って、フジサンに登って、オンセンに浸かって、いろんな美味しい物、特にスシが食べたいわ……」
「ぜんぶ、実現させよう。一緒にね」
僕は安心させるようニコリとした。
「マリー、君が語ってくれた“旅”は、確かに魅力的だ」
「……?」
「だけどそれは、日本やグアムといった、“面積的に小さい国に当て嵌まる旅”なんだ」
「面積的に大きすぎる国ではそうはいかない。気まま、風任せに、あちらこちらそぞろ歩きしてたら、名物は売り切れ、温泉は枯れ果ててしまってるかもしれないじゃないか」
「だから、大陸においては。美味いものが食べたかったら、そこに直進する。温泉に入りたかったら、そこに向かってわき目もふらずに直進する。それが、旅のスタイルとして相応しい」
「!」
「そう。げんに、地球で一番の超大陸、“太洋”や“大空”を行くときは、航路は一直線だろ(笑)」
「だから、今回の場合、こんな僕の旅のスタイルは、一直線。それも、ゴールに向けての限りなく美しい直線でなければならない。そう――」
「自由落下だ!」




