ゲーム 3
ショーグンは興奮のままに僕に振り向くと宣言した。
「敵はお前ではなかったようだ!」
迫力ある笑い顔。「むしろ――俺自身!」
「俺は一匹の精子。まだ最底辺の、ヤクザな精子野郎なのだ! 上等だ! のし上がってやる! ありとあらゆる手段を駆使して勝ち進み、勝利を手にしてやる! 何億匹もの同じ俺を蹴散らして、ただ一つの卵子に受精するのは、この、俺、なのだ――!」
叫び終わるや小走りに進みだす。彼の旅の始まりだった。目に付いた住民、それも美人女性に話しかけ始める。反応は、すげない――
だが数打てば当たる!
ショーグンは、とある妙齢の女性に行き当たると、熱心に口説き始めた。
ナンパ大成功。彼はその美女を抱き上げると、相手が驚き暴れるのも楽しげに、衣服を剥ぎ、群衆を押し分け、アメ車ふうの開放型4輪車に放り込む。自身は操縦席に飛び乗って、迷うことなく物理キーをひねる。エンジン音も力強く、颯爽とスタートを切ったのだった。
兄貴らしい。思わず笑ってしまう。
うん、この後のショーグンのゲーム展開が容易に想像できる!
彼は、隣の美女をとっかえひっかえしながらムー大陸帝都(地球中心)を目指すのだろう。
そして革命軍を組織し、蜂起し、玉座を手中に収めるのだ。それが、飛行機でも列車でもなかった理由。それが、彼の旅のスタイルであり、ゴールなのだろう――
マリーが焦り顔で声に出す。
「シン! アナタも出発しなきゃ! 負けちゃう!」
だが、まだ僕は、ほほ笑むのだ。「大丈夫」
「ショーグンは、気が高ぶってたのか、うっかり手の内をさらしてしまった。このレース、勝つのは僕だよ!」




