アメ車 3
「過去を悔やんでも仕方ない。こういう話、知ってるか?」
語り出す。
「現在が時間の最先端。ゆえ、タイムマシンができたとしても、過去へは行けるが、まだない未来には行けない。
時間とは無限大の宇宙全体を未来へと驀進させる強力無比なエンジンであり、ゆえに停止させることもできない。
俺達にできることと言えば、未来を信じ、ここ、現在という最前線たる現場で、一生懸命、頭を回し手足を動かし、作業することだけだ」
「ところで、現在の、さらにその、ほんの少し前側には、時間流に押されて圧力をかけられて、この流れならばおそらくはこうなるだろう、というほぼ確定された近未来が生じる。その領域から過去へ、すなわち俺らのもとへ、助けが来てくれる、てなことも、あるかもしれない……」
「仕事をする、生きているとは、そういうものだ」
僕は答える。
「理解したとは言えませんが、“夢”を思い描け、という所は分かりました」
「フフン? 小説を書いてみるといい。お手軽に体験できるぞ……」
そして、ホテルに到着したのだった。
僕は降りようとして――
首根っこをホールドされる。問答無用にキスされた。
「優しくしてやれるのもここまでだ。ことムーにおいては、俺はお前のこと、対等なライバルと認めている。次に会った時は、命がけの商売敵だからな……!」
解放されて顔と胸が熱くなる。「ありがとうございます」
そうして僕は、車を降りた。




