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血の流れ
『お話ししましょう!』
『そうしましょう――!』
『ジャパンって、どんなところ?』
『小国だよ』安直に口に出してしまって瞬時に後悔した。相手はグアム人だった。
マリーは気にしない。
『百年前、まるで軍隊蟻の進撃のような“アイアンウーメン”を止めたのは、一人の日系の美童だったという』
こちらを見て、顔を赤らめる。誤魔化すように前に向き直る。
『――進攻してくるその鼻先に、毅然と、両手を広げて立ち塞がったのよ』
耳が赤い。
『日系に拘らずとも、勇者は称えあれだ!』
『こちらの感覚で言い換えれば、さしずめ、攻め込んでくる軍隊の正面に、いたいけな幼女が立ち塞がった、て構図ね。それで彼女ら、正気を取り戻して、矛を収めた』
立ち塞がる幼女。結衣をイメージしてみた。なるほど手が出せない。
『僕もそうすると思う。てか、みんなそうするだろうさ』
『祖先をたどれば、キミにも、同じその血脈が流れている』
続けて、
『ジャパンは、長い歴史の大国だわ』
振り向いて笑顔を見せた。ちょっと、ドヤ顔っぽい。
『南太平洋の島々は、さらに古い海洋民族だ。その意味で言うなら、君たちもだよ!』
『もう。素直に喜びなさいよ!』
『親の教育のたまものでね。でも、ありがとう。誇らしいよ』




