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天使族
今度はこちらから、思い出を話す。
『親からオリハをもらって、初めて空に上がった……』
星を見上げる。
『小さかったころだよ。オリハを突然理解して、興奮してさ。親の目を盗んで、飛び立った』
『どこまでもどこまでも、真っすぐ上へ! 雲のさらに上まで! で、高速風に連れ去られて』
『底なしに澄み切った蒼穹。恐ろしくて、座標が理解できなくて、一人寂しく死ぬんだとわんわん泣いた』
『夜になって、結局は親に見つけてもらったんだけど。あの時の星空は、一生忘れない』
『僕は、“あそこ”に行くんだ、と初めて意識した』
マリー、
『行くと決まってるの?』
『あの体験をしてみるとね。運命を感じたんだ。確かめるように、毎日飛んだよ』
『予定説ね?』
『そんな難しいものじゃなくて、なんとなくさ』
彼女は少し寂しげに顔を落とした。
『キミは、天使族なのね……』
『どうかな?』真面目に首をかしげた。




