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異世界でもプログラマは不足していた  作者: ベル
第二章 魔導コンロ
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Step25. リザルト

 まずは、アンケート集計。

 手作業はいやだったので、自宅で集計と印刷をして来た。


 火力7段階の要望が32人、ほぼ全員だ。

 インターバルは、誰も気にならない様子。


 続いて、価格の結果。


 これ以上高いと買わないと思う価格

 平均8,000ガルス


 買ってもいいが少し高いと思う価格

 平均6,000ガルス


 安いので買おうと思う価格

 平均3,000ガルス


 これ以上安いと品質が不安に思う価格

 平均3,000ガルス


 安いと思う価格と不安に思う価格が、同じでワロタ。

 ギリギリで買いたい気持ちが、モロに出ている。


 価格の試算をしてみよう。

 16KBの容量の魔導石が800ガルス。

 32KBが1,500ガルス。

 64KBが2,500ガルス。

 ※KBとは、データ量の単位のこと。


 それ以外の部分が、固定で1,500ガルスかかる。


 1段階につき、テーブルのサイズが5KBで、それ以外のプログラムが7KBが現状。


 つまり。

 3段階は、22KBの原価3,000ガルス。

 5段階は、32KBの原価3,000ガルス。

 7段階は、42KBの原価5,000ガルス。


 これは製造原価なので、ここに販売費が上乗せされる。

 ざっくりだが、1,000ガルス乗せおけばいいだろう。

 さらにウチと小売の利益として、1,000ガルス足しておく。


 最終的に希望小売価格はこうなる。

 3段階と5段階は、5,000ガルス。

 7段階は、7,000ガルス。

 参考価格として16KBに収めた場合は、4300ガルス。


 これ1番ニーズのある7段階だと、買ってもいいが少し高いと思う価格を超えてしまう。まいったな。


 目標の製造原価は2,500ガルスで、小売価格は5,000ガルス程度を見込んでいたのだろう。

 そもそもの計画は、いい線いってるな。


 あとは開発が、追いつくだけ。

 小売価格5,000ガルスをなんとか目指したいが、10KBの削減は絶望的だなぁ。


 まぁいいや、みんなに相談してみよう。




 * * * * * 




「……以上がアンケートの集計結果です。インタビューの結果は転写(コピー)してきましたので、それぞれご確認ください」


 メンバーは沈黙して、配布した資料を読み込む。


 魔導コンロの使い道については、沢山のご意見をいただいた。

 家庭での使い道や、アウトドアに持って行きたい。非常時にも使えるなど様々だ。

 これは日本の状況と変わらないな。


 具体的な料理名は差し控えるが、作りたい料理も数多くいただいている。

 他には、デザインや大きさ、付属品、レシピも付けて欲しいなどの意見があった。




 * * * * * 




 一通り、確認が終わった様子。

 さてさて、段階と価格どちらから決めるべきか。


「話は少し変わるんじゃが、報告したいことがある。点火の仕組みなんじゃが、雷属性を使った発火に成功したぞ!! これで点火時の魔力消費は、燃料に対して1%になったわい! さらに仕組みが簡単になって、2KBの容量削減できた。コストに関する状況は変わらんが、数値を補正しといてくれ」


「ルテガさん!! ありがとうございます。流石です!!」

「「「「おおー!!」」」」


 燃費の課題は解決だ。素晴らしい!


 数値の修正はこうだ。

 3段階は20KB、5段階は30KB、7段階は40KB。

 原価が変わるのまでは、減っていないのだが、これが次のきっかけに繋がるかも知れない。


「私は迷っていて、相談したいんですが、段階と価格どの組み合わせで頑張ります? 欲を言えば、32KBの魔導石に7段階の火力で行きたいのですが、実現方法は思いついてないです。安全に行くなら、32KBの5段階です。ただし、会社方針では2,500ガルスが要求なので、説得を頑張らないといけないですが……」


 正直言って、7段階はどうしても実現したい。

 ユーザーの声を聴いてもそう感じる。


「そうじゃのぅ……」

「難しい問題じゃの」


 直ぐには答えが出ない。

 ――沈黙が続いた。




 * * * * * 




「わしも、7段階は実現したいと思うが、64KBの魔導石はコスト面で現実的じゃない。サワタリの言う通り、32KBで案を考えたいぞ。説得材料としても、ユーザーのインタビューとアンケートの結果がある。これを見たら考えを変えるんじゃないか? 7段階が仮に実現できなくとも、5段階という逃げ道もある」


「…うーむ、最もな意見じゃの」

「積極的な賛成ではないが、代替案(だいたいあん)を持ち合わせておらん」


 んー、そうなんだよなぁ。

 自分で言っておきながら、ベターな案ではあるのだが、ベストとは思っていない。


「この話は、一日ペンディング(先送り)しませんか? 直ぐに結論を出すべきでは思いました。それに時間を空ければ、別のアイデアが思い浮かぶかも知れません」


「そうじゃな……わしは、その意見に賛成じゃ」

「わしも、わしも」

「仕方あるまい。それで、一旦考えてみよう」


「反対意見がなければ、また明日ミーティングを設定させていただきますね。本日はありがとうございました」


 こうしてミーティングは終わった。

 マジ難しい案件だわ……。


 持論だけど、こういうのは、すぐに答えを出してはいけない。

 期限を決めて、責任を持つことが前提だけど、焦ってもダメな時もある。




 * * * * * 




 ふー、こういった時はお風呂に限るな。

 家のお風呂は小さいので、京都タワー地下の大浴場に来ている。

 特別気に入った場所という訳ではないけど、6月末に閉店と聞いて来てみた。


 プログラマのアイデアなんてものは、リラックスした状況で出るのが(ほとん)どである。

 四六時中(しろくじちゅう)、仕事の事が頭から離れないと言われればそうなんだけど。仕方ない。


 湯舟(ゆぶね)が暖かくて気持ちいい。

 でも、ちょっと熱いな……長湯(ながゆ)はできそうにない。


 ――――!!

 ――――――脳天直撃セ〇サターン!

 体中に電気が走った。


 ……これなら、うん、もしかしたらいけるかも知れない。


 勢いよく大浴場を飛び出して、忘れないようにスマホに書き留める。

 脳内のメモリ(記憶)はすぐに揮発し(忘れ)てしまう。リフレッシュ(脳内で連呼)なんて続けてられない。


 よし、これでばっちりだ。

 でも上手く行くかどうかは分からない。

 明日の朝、早めに出社してプロトタイプを作ってみよう。

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