悲愴と雨
スマホのアラームの音で目が覚める。
念の為18時45分に目覚ましをかけておいたのだ。
う~ん、良く寝た!
やはりベッドの寝心地は最高だった。
窓の外を見ると、相変わらずの激しい雨風だった。
スマホの電波はしっかり繋がっている。
ここに来る道の途中、圏外の場所があったから、かなり不安だったのだが、屋敷内では普通に繋がっていて、正直かなりホッとした。
さて、じゃあ、そろそろ行こうかな。
私は部屋を出る。
...えーっと確か、19時以降に扉を開け閉めすると、鍵が掛かるんだっけ?
まだ大丈夫な筈だけど、試しに開けてみた。
...うん、やっぱりまだ鍵は掛かってない。
確認出来て満足?した私は、食堂へと向かった。
食堂には既に、陽介さんが来ていた。
入り口を入って右側を見ると、象牙色の壁の様な仕切りが降りていて、先程まで繋がっていた多目的ホールは見えなくなっていた。
「...あ、ああ、華菜ちゃん......
やっほー......」
あっ......
「こ、こんばんは~...
あの~、優奈ちゃんは......?」
気をつかって、少し遠回しに聞いてみた。
「は、はは...優奈ちゃんだったら、途中から来た蒼夜君とチェスを始めてたよ......ウッ......」
あ~あ、涙目になっちゃったよ、この人......
余程酷い負け方をしたんだろうなー。
「げ、元気出して下さいよ......
それで陽介さんは二人の邪魔をしない様にこちらへ......?」
あっ、聞く必要もない事を聞いてしまったか...?
「いやいや!
僕はいっつも10分以上前には食卓に着く様にしてるんだ!
厨房から漂う匂いを嗅ぎながら、期待に胸を膨らませてるってわけ!」
さっきまでの涙は一瞬で乾き、物凄くワクワクした表情になってる。
はぁ~、心配して損したわ!
私達がそんな話をしてる内に、夕食の配膳が進み、少しずつ人も集まって来る。
「こんばんは。本日はお世話になります。月宮華菜です」
まだ神守さんへの挨拶が済んでいなかったので、近くに来た時に挨拶した。
「これはご丁寧に...
私は神守篤仁と申します。
何かご不便な事がありましたら、いつでもお申し付け下さい」
さっきの鋭い視線が嘘の様に、神守さんは、とても穏やかで素敵な笑みを浮かべていた。
「神守さんって、凄く素敵な方ですね」
隣に座っている陽介さんに小声で話す。
「あっ、もしかして華菜ちゃん年上好き...っていうのは冗談だから、そんな怖い目で睨まないでね...
うん、厳しい所もあるけど、凄く温かくて良い人だよ」
その時、私達からは離れた所に座っていた麗華の顔をちらっと見ながら
「麗華ちゃんにキツく当たられても、愚痴ひとつ溢さないからね。
叔父さんの愛娘だから、大事にしてるんだろうな」
と、小声で言った。
「へぇ~」
その結果があれか......と言っては、神守さんに悪いかな。
私達が夕食を食べ始めた頃になって、意気消沈した碓氷さんと、いつものテンションの優奈ちゃんが入って来た。
麗華は憮然とした表情を隠せない。
麗華が何かを言い出そうとした瞬間───
ゴォォォォ!!!!
と、今まで聞いた事も無いような大きな音が、突然外から響いてきた。




