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密室殺人に対する考察  作者: 守屋亭 混沌
第一部:一日目
10/35

目処

「なっ、なに......!?」


麗華がかつてないほど慌てている。


「すぐに見て参ります!!」


神守さんの申し出に忠徳さんが頷くと、神守さんは急いで外へ飛び出して行った。


「皆さん、今、音の原因を究明しておりますので、慌てず、この場で待機していて下さい」


こんな時でも、全く動じた様子を見せる事なく、忠徳さんが極めて冷静にアナウンスする。


流石だな...と思った。


麗華も、そんな父親の姿を見て、冷静さを取り戻していた。


「すっごい音でしたけど、何があったんですかねー?」


いつの間にか私の隣に座っていた優奈ちゃんが、いつものテンションで話しかけて来た。


「ほんとにね......

この大雨だし、何処かで土砂崩れなんて起きてないと良いけど......」


ずっと不安だったから、何気に口に出していたが、あんな音がする位だし、多分本当に...


私がそんな事に思いを巡らせていると、少し濡れたまま慌てて戻って来た神守さんが、忠徳さんに一礼した後、何事か耳打ちした。


それを聞いても忠徳さんは、まるで想定内といった感じで表情を変えずに頷き、「ご苦労、下がって良い」という感じで片手を上げ、神守さんを下がらせる。


「皆さん、どうやらこの屋敷と国道を繋ぐ唯一の道が、土砂崩れで塞がれてしまったとの事です。

...ですが、ご安心下さい。

今、当家の執事に、外部と連絡をとらせ、復旧を急がせる手筈なので、開通するまで、三日程度といった所でしょう」


こういう状況だと、外部との連絡も遮断され音信不通...みたいな流れになりそうだけど、ちらっとスマホを見ると、相変わらずアンテナはきっちり立っていた。

基地局は無事な様だ。


繋がっている道以外は断崖絶壁という感じなので、通信面で完全な陸の孤島にならずに済んだのは、不幸中の幸いというべきじゃないだろうか。


「それまでの間の食糧等は問題なく確保出来ておりますので、その点につきましてはご心配なさらず、ゆっくりお過ごしいただきたい」


そこは唯一心配な事だったから、まあ、これで安心ではある。


大学は今休みだし、今回の事で困るとしたら、インターンの蒼夜さんか。


陽介さんはどうなんだろう...?


ちらっと陽介さんを見る。


その視線の意味を察したのか、陽介さんはガッツポーズをとる。


あっ...何やってるかは知らないけど、休める口実が出来たとか絶対思ってるわ、この人。

...まっ、陽介さんらしいか。



その後は若干の緊張は含みながらも、普通に夕食の時間が過ぎていき、私も美味しい料理を楽しめた。



夕食を終え、食堂を出ようとしてた辺りで、しっかりと外部との連絡がつき、今日の深夜からでも、土砂の撤去作業を開始するという報告が忠徳さんからあった。

やっぱ、お金持ちって凄いなと思う。


また、朝食は朝7時半からという知らせもあった。



私と陽介さんは部屋に向かった。


優奈ちゃんと碓氷さんは、どうも遊戯室でさっきの続きをやるらしい。


麗華と忠徳さんは西棟の方へ向かったから、多分自室に戻ったか、書斎にでも行ったのではないだろうか。


神守さんと星井さんは当然、厨房で後片付けだ。

大変だなと思い、少し手伝おうとしたら、逆に気をつかわれてしまったので、私は自分の部屋へ向かったという訳だ。


陽介さんは...流石に運転したりで疲れたのだろう。さっきから欠伸ばかりしている。


「おやすみ~華菜ちゃん」


私が自分の部屋に入ろうとドアノブに手を掛けた時に、陽介さんが声をかけて来た。


「おやすみなさい」


まだ21時前だし、さっき寝たばかりだし、色々あったしで寝れる気はしないけど、取りあえずそう言っておいた。


誰も扉を開けていなかった為、鍵は掛かっておらず、すんなりとドアが開く。


私は部屋の中へ入った。


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