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密室殺人に対する考察  作者: 守屋亭 混沌
第一部:一日目
4/35

言えない秘密

西棟に着いた。


廊下の雰囲気は東棟と同じなのだが、扉の間隔は、こちらの方が離れている。

また、やはり突き当たりには窓がついていた。


屋敷内はどこも、外壁と同じ色の壁と、廊下に敷き詰められた赤い絨毯の華やかな感じが、目に眩しいと同時に、何処かノスタルジックな雰囲気も醸し出しているなと思う。


西棟二階には予備のトイレや予備室、麗華や、彼女のお父さんの部屋と書斎があるみたいだ。


まあ、案内と言っても、予備室は鍵が掛かってるみたいだったし、他人の部屋を勝手に覗く訳にもいかないだろう。

それにトイレは部屋にもある訳だから、わざわざ確認するまでもない。


「おお、そうだ!まだ麗華ちゃんに到着したって報告してなかったね!

今は自室に居るだろうし、ちょっと呼んでみよっか」


えぇ~、別に良いよ......


......なんて、言ってる訳にもいかないか......

麗華達の別荘なんだし。


「おーい、麗華ちゃーん!

友達連れて来たよ~!」


結構な大声を出しながら、陽介さんは扉をドンドンと叩く。


扉の上を見ると2~3cm隙間が空いており、部屋の中の明かりが、うっすらと漏れている。


また、パーティー会場以外はどの部屋もそうだが、扉の高さは3m...まではいかないけど、多分2m60cmか70cm位はあるんじゃないだろうか?

凄く高く感じる。


そんなに騒いだら流石に怒るんじゃ......


その時、扉が勢いよく開いた。


「うるさいわね!!そんな大きな音たてなくても聞こえてるわよ!!

今、スピーチの原稿を頭に入れてる最中なんだから、邪魔しないで!!」


陽介さんが立てた音以上の喧しさで、麗華が怒鳴り散らす。


開いた扉の隙間から、麗華の部屋の中がチラッと見えたが、客室と同じ様に、入り口正面には窓があり、その前には電気スタンドが置かれた机が設置してあった。


「あ~、ごめんごめん!

でもさ、せっかくお友達来てくれたんだし、取りあえず報告しといた方が良いかなって......」


陽介さんはペースを崩さない。

従兄弟だし、多分、慣れてるんだろう。 


「そんなの、会場で見かけたら分かるし、大体今日は泊まるんだから、その時に話せば良いでしょ!バカなの!?」


「あはは!相変わらず麗華ちゃんはキツいな~!」


麗華のキツい当たりにも微動だにせず、陽介さんが楽しそうに笑う。


「笑い事じゃないわよ!!ほんとに......!

......ああ、貴方達お疲れ様。もう行って良いわよ」


麗華らしい対応に、内心苦笑いしながらも


「誕生日...おめでとう...」


と、お祝いの一言だけは言っておいた。


「先輩、おめでとうございまーす!」


優奈ちゃんは全く意に介さず、いつも通りの感じでお祝いを述べた。


麗華は軽く会釈した後、バタンと扉を閉めた。


「ひえ~、相変わらずだな麗華ちゃんも!

ごめんね、華菜ちゃん、優奈ちゃん」


陽介さんが申し訳無さそうに頭を下げる。


「いえ、そんな!

別に陽介さんのせいじゃないんですから...!」


私は慌てて言った。


「うん...まあ、そうではあるんだけど...なんとなく、ね」


陽介さんが、ちょっと気まずそうに、ポリポリと頭をかく。


「ぜんぜん大丈夫ですよ~!

いつもの麗華センパイって感じで、なんか良くないですか?」


優奈ちゃんが癒しオーラ全開でフォローする。

...ああ、この子は天使か何かか?


「...そうですよ!

さっ、気を取り直して、お屋敷ツアー再開しましょ!」


私は正直嫌な気分になっていたが、目一杯明るく言った。


「ありがとう...二人とも。

...よーっし!じゃ、今度は書斎に入ってみよう!」


陽介さんがいつものテンションに戻る。


「えっ...勝手に入って大丈夫なんですか?」


ちょっと心配だったので聞いてみた。


「ん~、まっ、叔父さん今、下で人と話してるし、大丈夫っしょ!」


あー、それはダメなヤツですね。


「ええ!?ほんとに良いんですかー?」


優奈ちゃんが驚く。


「うん!だって僕、この屋敷に来る時は、良く忍びこんでるからね!」


陽介さんが自慢気に胸を張る。

いや、そんな事、自慢されましても......


「よっし!じゃ、そうと決まれば早速行ってみよう!」


決まった覚えは全く無いが、こうなっては仕方ないだろう。

実は、結構興味もあるし......


再び陽介さんの後に続き、私達は書斎の方へ向かう。


北を上とすると、麗華の部屋が西棟の一番右上で、書斎は麗華の部屋の斜向かいにあった。


書斎の隣──つまり、麗華の部屋の向かい側は、麗華のお父さんの部屋らしい。


書斎の扉が開く。中は暗い。


陽介さんが入り口横に手を伸ばし、パチッという音と共に明かりがつく。


うわ~、本がいっぱい!


正面には窓があって遮光カーテンが閉められ、その前には机が置かれてある。

近くの壁には、1m位の折り畳み式の脚立も立て掛けられていた。


机の上には、客室で見かけたものよりも更に装飾などが立派な、大理石製の電気スタンドが置いてあった。


また、窓の上方も本棚になっていた。


ちらっと入り口を振り返ると、少しだけスペースを空けながらも、扉の左右と上方を本棚が囲っている。


影になっていて、暗くて見えづらいのだが、部屋の明かりのスイッチが扉に向かって左側に、向かって右側には扉の掛け金がくっついていた。


扉の前まで近づいてみる。


掛け金は回転式になっていて、円周上に横に倒すと、そのままロックされる仕組みになってるっぽい。

というか、だいぶ古くなって、緩くなっている様に見える。


まあ、普通に鍵が掛かる様になってる訳だし、その辺りの手入れはどうでも良かったのかも。


「凄いよね~。

叔父さんには内緒だけど、この部屋、僕のお気に入りなんだよね~。

しかもね、この部屋にはちょっとした秘密の仕掛けまであるんだ」


「秘密の仕掛け...ですか?」


なんだろう、気になるな......


「うん。叔父さんに悪いから、流石に詳しくは言えないんだけどね。

最初に見つけた時は、叔父さんも物好きなとこ、あるなぁって思ったよ」


陽介さんが楽しそうに笑う。


「へぇ、そうなんですね......」


まあ、なんとなく予想は出来るけど......


「ごめんね~。

じゃ、誰かに見つかってもまずいし、そろそろ次に行こっか」


「あっ...はい、そうですね」


マイペースな人だなあ。

...でも、確かに誰かと鉢合わせしたら、色々面倒そうだし、長居は無用か。


陽介さんが部屋から出て行ったので、私達もそれに続いた。


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