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密室殺人に対する考察  作者: 守屋亭 混沌
第二部:解決編
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家(うち)に帰ったら

食事が終わる頃、土砂の撤去作業をしている業者から連絡が入ったと、忠徳さんから知らせが入った。


どうやら作業は順調に進み、明日の深夜から、遅くても明後日の早朝までには撤去が終わるとの事だった。


本当に三日位で終わりそうで、あまりの早さにビックリしたけど、これで漸く家に帰って積みゲーが消化出来ると思うと、喜びのあまり跳び跳ねたくなる。


そんな私の様子に気づいたのか、お姉ちゃんが私を見てニコニコしていた。



食堂を出るタイミングで


「ちょっと待ちなさい」


と、珍しく麗華さんが私達に声をかけてきた。


「何があったのか色々聞きたい事はあるけど、貴方達が来たから私の命が助かった...と思うの。馬鹿馬鹿しい話だし、聞き流して構わないけど...その、感謝してるわ!」


お礼を言う態度ではないが、麗華さんがお礼を言うのは、かなり珍しい事なのだろう。

食堂にいた全員が絶句していたし、忠徳さんに至っては、少し涙ぐんでいた。


同じお嬢様なのに咲耶さんとはえらい違いである。


「それで...誰に聞いてもはぐらかされそうだったから、貴方達に聞くけど、私と華菜は、その...姉妹...なのかしら......?」


私は忠徳さんの方を見る。

覚悟していたのだろう。

忠徳さんは、ただ静かに頷いた。


「はい、そうです。

...でも、詳しい経緯は忠徳さんから聞いて下さい。

はぐらかすつもりはなさそうですし」


麗華さんが忠徳さんの方を振り向き、私が述べた事が真実であると悟った様だった。


「...そう...華菜」


今までの無関心さとは違う、距離を測りかねた様でいて、少し後悔が混じった様な、そんな声で麗華さんが華菜さんの名前を呼ぶ。


「...なに......?」


麗華さんに対する溝を感じる様な、それでいて、何処か安堵している様な、そんな声で華菜さんが答える。


「私...貴方が嫌いだったわ。

多分きっと、これからも。

...でも」


麗華さんが華菜さんを見つめる。


「私のパーティーに来てくれてありがとう。

ふふ...私を殺す時に泣くなんて、どういう心境だったのよ、貴方」


麗華さんが微笑んだ。


華菜さんは何も言えずに、ただ泣いていた。


殺したいほど...いや、殺すほど憎いと思っていた相手だったけど、血を分けた者同士、お互いに嫌いにはなりきれなかった部分があった...という事なのかもしれない。


麗華さんが自室へと去って行った。



「いや~、まさかあの麗華ちゃんが、お礼を言うなんて...!

...だけど、良かった......

...本当だったら、僕がしっかりしなくちゃいけなかったんだけどね。

夢の中でも現実でも、結局何にも出来なかったな...」


そう言って、陽介さんが少し落ち込む。


「しかも夢の中では、多分僕のせいで事件がややこしくなって、それなのに、疑われるのが怖くなって言い出せなくて......

ほんと、僕って昔からどうしようもないんだ...

殺された時、苦しかったけど、それもしょうがないかな、なんて思ってた位でさ。

君達が来てくれなかったら、本当にああなってた...って、ハッキリ分かるよ」


自分の不甲斐なさに苛立ちながらも、陽介さんは顔を上げて、私達を真っ直ぐ見つめる。


「ありがとう。こんな言葉じゃ足りないけど、君達に会えて、本当に良かったよ」


陽介さんがそう言ってお辞儀する。


「おいおい!止めてよ陽介ちゃん!

私と君の仲だろ?

大体、君は自分の事を悪く言い過ぎじゃないかな。

君が居たから、皆の雰囲気だって明るくなったんだ。

君は十分やってたよ、私が保証する!」


いつから、そんな仲になっていたのか分からないが、美月さんが陽介さんを全力で励ます。


「あっ、ありがとう美月ちゃん...いや、美月姉ちゃん...!」


...はっ?

......ああ、年上だと分かってたけど、なんかノリで"ちゃん"付けしちゃってた...みたいな?

しかも美月姉ちゃんって!


これには美月さんも流石に...


「うんうん、良いんだよ弟よ!泣きたい時はしっかり泣きな!」


「うん...!」


あー、うん、なんか丸く収まったみたいだし、良かったわ。


そんな二人を見て、片付け中の光織さんが羨ましそうな顔で、美月さんに熱視線を送っていた。


...なんか、美月さんのファン増えたな......


「ねえ、華凛ちゃん!たまには、私にもっと甘えて良いんだよ?」


何に張り合っているのか、お姉ちゃんがテレパシーで私に催促してきた。


「ああ、うん。でも、ほら、家事とか色々やって貰ってるし...」


「それは私が楽しくやってる事だし良いの!

...ほら、抱きついて来るとか...?」


「あっ、うん、じゃあ、家に帰ったら...」


「ほんと!?約束だからね!」


...誰に聞かれた訳でもないけど、かなり恥ずかしい......


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