良い位置にある部屋
分かりやすいと言えば、先程から給仕してくれているメイドさんもだ。
年齢は多分、麗華さん達と同じ位ではないだろうか。
神守さんが如何にも執事という格好だったのに対し、こちらは如何にもメイドという格好で忠実に職務を全うしている様に見えるが、流行を取り入れつつ、細かい所のお洒落に気を遣ってアピールしている節があり、さらには私達の様な珍しい三人組に興味津々という感じである。
多分、ちょっとミーハーな所があるんじゃないかな。
もしかしたら色々話が聞けるかも。
「料理、すっごく美味しいです!
こちらはメイドさんがお作りになったんですか?えーっと...」
料理が美味しかったのは本当だ。
お姉ちゃんには負けるけど。
「えっ、ほんと?うれしー!
...あっ、失礼致しました。
私、星井光織と申します」
一瞬素が出た気がしたが、そこは気にしないでおく。
「本当に凄く美味しかったです!
...あっ、そのバンスクリップ可愛い!
料理もお洒落もレベル高いなんて、星井さん、女子力高いんですね!」
私は星井さんをこれでもかと持ち上げる。
「...え、えへへ~、そうかな?
やっぱ、分かる子には分かるんだな~、うん!
...華凛ちゃん...だっけ?困ったら、光織お姉さんに、ど~んと任せなさい!」
最早、素を隠す事も無くなった光織さんが、そう言って胸をどーんと叩く。
「うわー、嬉しいです!
それじゃあ、今お仕事忙しいみたいですし、後でお話聞かせて下さい!」
「はぁ~、なんて出来た子なの、華凛ちゃん!
うん、良いよ!
...そうだなぁ...片付けが終わって、21時過ぎだったら時間あると思うけど大丈夫?」
「あっ、はい!ただ、その時間は多分遊戯室に居ると思うんですけど...」
「分かった!じゃ、遊戯室で待ち合わせね!
...やっば...神守さんの圧を感じる...!
わっ、私、そろそろ行くね!」
見ると、穏やかな表情の裏に、無言の圧を醸し出す神守さんの姿が、厨房の入り口付近に見えていた。
「ありがとうございました!
お仕事頑張って下さいね!」
「ありがと~!またね♪」
光織さんが、仕事に戻って行った。
その後は、思う存分食事を堪能し、夕食を終えた私とお姉ちゃんと美月さんは、光織さんから客室の説明を聞く。
私としては、三人一緒の部屋も覚悟していたが、なんとそれぞれ部屋を一つずつ宛てがわれる事になった。
次に、1階と2階のどちらが良いか、光織さんから聞かれた。
美月さんは2階が良さそうだったけど、一階であれば、三人の部屋が並んで泊まれるみたいだったから、いざという時に動きやすいのではないかと説得し、東棟1階の3室───北から美月さん、私、お姉ちゃんという順番で泊まる事となった。
どうやら、美月さんの部屋の向かい側が遊戯室だったみたいだし、かなり良い位置を選べた気がする!
部屋が決まった後は、カードキーを発行するのに、多少時間を貰うから、部屋で待っているか、後で光織さんと落ち合う時に遊戯室で手渡すという事だったので、私達は3人とも遊戯室で待つ事にした。
優奈さんは既に遊戯室へと行ったみたいだけど、陽介さんと華菜さんは疲れたらしく、自分の部屋へ。
麗華さんと忠徳さんも早々に自室へと戻ったらしい。
もう一人の若い男性───光織さんに聞いたら、碓氷蒼夜さんという名前の、どうやらインターンの彼は、やはりというかなんというか、優奈さんと一緒に遊戯室へ行ったみたいだった。
チェスが好きっていうのもあると思うけど、多分、リベンジに燃えてるんだろうなぁ...




