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密室殺人に対する考察  作者: 守屋亭 混沌
第一部:二日目
15/35

疑問だけが残った

遅めの朝食も終わり、各々思い思いの時間を過ごす。


...とは言っても、殆んどの人が客室にこもった。


犯人を見つけるのに積極的な陽介さんも、他に手掛かりも無いので動けずにいるみたいだった。


私はといえば、寝不足に加え、朝から異常な事があったせいで、思った以上に神経が磨り減っていたのか、仮眠のつもりが夕方過ぎまで寝てしまっていた。


そろそろ夕食の時間か......


寝てただけなのに、お腹だけは空いていた。


陽介さんじゃないけど、早めに行って、料理の匂いでも嗅いで期待を高めてよう...


そう思い部屋を出ると、ちょうど優奈ちゃんも部屋から出て来た。


「あっ、先輩!」


優奈ちゃんは相変わらずだ。


「こんな時なのに、なんかお腹が空いちゃって、早めに食堂に行こうかなって...

優奈ちゃんは?」


「ん~、私はそれなりって感じなんですけど、何もする事が無いからヒマでヒマで......

だーれも、ゲームに付き合ってくれないし、しょうがないから、スマホでずっとゲームしてましたよ~。


それで、それにも飽きちゃったから、食堂に行って誰かと話してようかなーって。

だから、華菜先輩と会えて嬉しいです!」


優奈ちゃんが屈託の無い笑顔を見せる。


おお、天使か、この子は......

なんか癒される~。


私と優奈ちゃんは、事件の事には触れず、互いにとりとめのないお喋りをしながら、食堂の方へ向かう。


...と、料理を持って西棟の階段を上がろうとする、神守さんの姿が見えた。


「それー、先輩の料理ですかー?」


優奈ちゃんが少し声を張り上げ質問する。


その声に気付き、神守さんがこちらを振り向く。


「はい、左様でございます」


私達は神守さんの近くまで来た。


「その後どうですか、麗華先輩の様子はー?」


「時間が経って、少し気持ちも落ち着いて来たようです。

...ただ、ショックが大き過ぎた為、今日は眠れそうにないからと、睡眠薬をご所望になりました」


見ると、料理を載せたトレイの上に、睡眠薬入りの瓶が置いてあった。


「そうだったんですか...

実は私もちょっと気持ちが高ぶっちゃってるみたいで...

ゲームしてても気持ちがソワソワしちゃうんです...」


いつもマイペースに見えていた優奈ちゃんだけど、やっぱり本当は不安だったんだな。


それでも周りに心配かけまいとして、気を張っていたのかもしれない。


「だから...その、良ければ、私にも薬、分けてもらえませんか...?」


「それは勿論でございます。

こちらはお嬢様に持っていく分ですので、他に必要な方がいらっしゃるかもしれませんし、夕食の後にでも、お持ち致します」


「ありがとうございます...」


優奈ちゃんがペコリとお辞儀をすると、神守さんも一礼し、二階へと上がって行った。


「大丈夫、優奈ちゃん?

気付かなくてごめんね」


優奈ちゃんに無理をさせてしまって、申し訳ない気持ちで一杯だった。


「そんな!良いんですよ、先輩は気にしなくて!

...何て言うんだろう、こんな感じで話してないと、私自身、何かにつぶされちゃいそうなんです...

...だから、何も気にしないで、今は夕食の事だけ考えてましょ?」


優奈ちゃんが、いつもの雰囲気に戻る。


「...うん、分かった。

ありがとう優奈ちゃん」


優奈ちゃんは、「えへへ」とはにかんだ。



夕食は静かだったが、特に何の問題もなく終わり、神守さんが、必要とする人へ睡眠薬を次々と渡していった。


結局、陽介さん以外の全員が貰っていた。


自分の部屋へ戻る途中、不思議そうな顔で陽介さんが話しかけて来た。


「ねえ、華菜ちゃん。

今日、書斎に行った時に掛け金下ろしたりした?」


…?


「いえ…また、下ろされてたんですか…?」


「うん...何か見落としてる事はないかなって、実は昼間にもう一回書斎に入ろうとしたんだけど、扉が開かなくてさ。

僕の腕だと斧で空けた穴に入らないし、しょうがないから、寝室から書斎に行ったんだよ。

それで、扉の前まで行って確認したら、掛け金が下ろされてたってわけ。

取りあえず、また元に戻しておいたけどね」


...どういう事なんだろう...?


「犯人がまたやった...とか...?」


「そうだよね~、他に誰もそんな事しそうにないし......」


底はかとなく、薄気味悪さを感じる。


「...ああ、ごめんね、変な話で怖がらせちゃって...」


陽介さんが申し訳なさそうに言った。


「いえ、全然大丈夫です!

...おやすみなさい」


「おやすみ~」


陽介さんと手を振って別れる。


...ほんと、訳が分からない事だらけだな。

昨日よりは雨脚の弱まった外の景色を眺めながら、窓の前で私は物思いに耽った。


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