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密室殺人に対する考察  作者: 守屋亭 混沌
第一部:二日目
13/35

苦痛に沈む

「私が...私が悪いって言うの!?

ふざけた事言ってんじゃないわよ!」


「う~ん、誰もそんな事言ってないようなー?」


いつもの優奈ちゃんの雰囲気が、更に麗華の神経を逆撫でする。


「はぁ!?言ってるも同然じゃないの!!

大体、貴方なんなのよ!

横から出てきて、蒼夜さんと......!」


流石にその先を口に出すのはプライドが許せなかったのか、麗華が少し口ごもる。


「碓氷さん...?

どうしてそこで碓氷さんが出て来るんですか?

私達、チェスをしてただけなんですけどー」


こんな状況でも、優奈ちゃんのペースは全く崩れない。

その事が、更に麗華を苛立たせた。


「はっ、それはどうだか!

意気投合して、二人で口裏を合わせてるだけかもしれないじゃない!」


そう言った瞬間、麗華もまずいと思ったのか、碓氷さんの表情を少し伺う。


...が、別の事を考えているのか、碓氷さんは気にもとめていない様子だった。


「...と、とにかく!

私、貴方達の事なんて、もう信用できないから!

道が復旧するまで自室にいる事にするわ!

…神守!食事は私の部屋まで運んでちょうだい!!」


「...畏まりました、お嬢様」


神守さんが一礼し、そう言ったが、その表情は何処か悲しそうだった。


「ちょっと待って下さいよ~、先輩~!」


優奈ちゃんが麗華に追い縋る。


「...!離しなさいよ!!」


怒鳴ると同時に、麗華が優奈ちゃんを突き飛ばす。


優奈ちゃんが倒れそうな所を、偶々そこにいた碓氷さんが支える。


「~~~ッッッ!!

気安く私に触らないでよ!!」


金切り声をあげながら、麗華が壊れた書斎の扉を無意識に思いっきり閉めた。


書斎を重苦しい沈黙が支配する。


「...そうだ、碓氷君。

死因は...分かるかな?」


最初に沈黙を破ったのは陽介さんだった。


「...え、ええ。

瞼などに溢血点が多く出ている事。

首に索状痕が見られる事。

そして、赤黒くなった顔に少し突き出た舌...

以上の事から、何か細い物で首を絞められた事による、窒息死の可能性が極めて高いでしょう。


また、後頭部に出血の痕が見られますが、出血量がやや多い...つまり亡くなる前に負った可能性が高い。

恐らく鈍器で殴られた後、首を絞められたのではないでしょうか」


凄いな...そんな事まで分かっちゃうんだ。


「なるほど...」


そう言って、陽介さんは改めて周囲を観察し、机の上の電気スタンドに注目する。


「もしかして...これ...かな?」


スタンドには触れないようにしつつ、陽介さんが細かい部分をじっくり調べ始めた。


「あっ...これ、血痕じゃないかな?」


陽介さんの言葉に、机の周りに皆集まった。


「ん~?...ほんとだ!血ですよ、これ!」


優奈ちゃんがはしゃぐ。

まだこの場に麗華が居たら、さっき以上の修羅場になったに違いない。


「叔父さんの遺体の位置から見ると、血痕はスタンドの裏側についてるし、殴られた時にこの位置に飛び散ったとは考えにくいと思うんだ。

...それに...ほら、ちょっと拭き取った様な痕もある。

犯人はこれで叔父さんを殴った後、多分、スタンドの電気ケーブルで叔父さんの首を絞めた...んじゃないかな」


「すごーい!陽介さん、なんか探偵みたいですね~!ぼーっとしてるだけかと思いましたー!」


一言余計な気がするが、私も同感だった。


「あはは!ありがとう!

...と言っても、凶器の可能性が高い物が分かっただけ...だけどね」


陽介さんが少し照れ臭そうに、ポリポリと頭をかいた。


それでも十分な成果な気がするけどな...


そんな事を思いながら、異様な状況のこの書斎から、私は一刻も早く立ち去りたいと感じていた。


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