表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚士が召喚した召喚士 ~基礎から始める召喚マネジメント講座~  作者: KEI
第10話 西の山脈の守護者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/77

(一)赤竜の戻る場所

◆ 一 戻る場所


 古い魔道具は、厚手の布の上に置かれていた。


 翼の意匠を刻まれた、風の魔道具。


 ただし、今は風ではない。


 近づくだけで肌が熱を拾い、四精霊の反応は火に大きく偏った。元は中級風魔法を補助する程度の魔道具だったはずなのに、今では上級火魔法に相当する力を持っている。


 長く、強い火の精霊力に晒され続けた結果。


 メルセナ・オルブライトは、その判断をすでに下していた。


「赤竜の守護物と見て、ほぼ間違いありません」


 仮設本部の空気が、そこで一段重くなる。


 リオル・ロステルは、布の上の魔道具を見た。


 風の翼を刻まれながら、火に焼かれた道具。


 これを赤竜が守っていたのだとすれば、赤竜が人間を探していた理由になる。


 だが、理由が見えたからといって、赤竜が止まるわけではない。


 カイル・レイヴァンが地図を広げた。


「魔道具の確認結果を受け、赤竜の住処特定を優先します」


 ミレイユ・グレインも、ギルド側の記録束を机に置く。


「ギルド側では、古代文献、守護契約、竜に関する記録を照会します」


 リオルは顔を上げた。


「赤竜を探すんですか?」


「違います」


 メルセナは即答した。


「赤竜そのものを追うのではありません」


「違うんですか?」


「はい。赤竜の戻る場所を探します」


「戻る場所……住処ですか」


「はい」


 メルセナは地図の上に指を置く。


「赤竜を直接追うのは危険すぎます。仮に発見できても、こちらが接触する前に焼かれる可能性が高い。追い立てれば、被害はさらに広がります」


 リオルは、燃えた村のことを思い出した。


 赤竜が暴れた場所では、人間が主導権を持てない。


「では、どうして住処ならいいんですか」


「守護している場所だからです」


 メルセナの声は淡々としていた。


「赤竜が守護者であるなら、その場所では無闇に暴れられません。自分が守るもの、自分の居場所、自分の役割。その中心にいる時の方が、外で探し回っている時より冷静になれる可能性があります」


 カイルが頷く。


「相手の懐が、最も危険で、最も安全ということですか」


「はい」


 リオルは思わず地図を見た。


 相手の懐。


 そんな場所に行くことを、安全と呼んでいいのかは分からない。


 だが、村を焼きながら動き回る赤竜を追うよりは、まだ交渉の形を作れる。


「目的は討伐ではありません」


 メルセナは言った。


「赤竜の怒りの理由を確認し、止めることです。そのためには、まず戻る場所を特定します」


 ミレイユが記録板を立てた。


「班を分けます。文献調査班、聞き込み班、鳥班、追跡獣班、記録整理班」


 カイルが王国側の書類をまとめる。


「王国軍、地方防衛会議、街道警備は私が取りまとめます」


「ギルド記録と文献照会はこちらで」


 ミレイユが続ける。


 メルセナは全員を見る。


「情報は混ぜないでください」


 リオルは瞬きをした。


「混ぜない?」


「はい。文献は文献。証言は証言。鳥の報告は鳥の報告。追跡獣の反応は追跡獣の反応。最初から一つの結論へ寄せると、間違えます」


「最後に重ねるんですね」


「正確です」


 メルセナは地図の余白へ、四つの欄を作った。


 文献。


 聞き込み。


 鳥。


 追跡獣。


 その下に、まだ空白の大きな欄がある。


 重ね合わせ。


 そこへ、これから赤竜の戻る場所が落ちるのだと、リオルは思った。



※第10話「西の山脈の守護者」は全五回です。

続きます。

作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/summoning-management-course-basic-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ