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召喚士が召喚した召喚士 ~基礎から始める召喚マネジメント講座~  作者: KEI
第7話 気配を消す盗賊

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(三)精霊具

◆ 四 精霊具


「広い意味では魔道具に含めることもあります。ですが、性質は少し違います」


 メルセナは机の上の小石を一つ取り、地図の端に置いた。


「普通の魔道具は、術式や魔力回路で効果を再現します。魔力を使うため、多くは魔力感知で見つけられます」


「魔力反応があるから」


「はい」


 メルセナは、隣にもう一つ小石を置いた。


「一方、精霊具は精霊力そのもの、または精霊との契約痕跡を道具に宿しています。魔力を強く放つわけではないため、魔力感知では見つけにくい」


「じゃあ、盗賊が見つからないのは精霊具だから?」


「可能性の一つです」


 メルセナはすぐに言った。


「ただし、精霊具の効果は基本的に小さい」


「小さいんですか?」


「はい。強力な魔法を発動するというより、環境や感覚へわずかに干渉する程度です」


 リオルは少し拍子抜けした。


 見つからない道具と聞いて、もっと大きな力を想像していた。


「たとえば、風の精霊具なら、足音を少し散らす。匂いを流す。衣擦れの音を風に紛らせる。そうした補助は考えられます」


「透明になるわけじゃない」


「なりません」


「番犬にも気づかれないほどですか?」


「精霊具だけでは難しいです」


 カイルが補足した。


「魔力感知に引っかからない。だから精霊具の可能性がある。しかし、効果が小さい。だから使用者本人も手練れでなければ説明がつかない」


「道具だけじゃなくて、盗賊本人もすごいかもしれない」


「はい」


 メルセナが頷く。


「盗賊本人の技量。風精霊系の隠密補助。精霊具。認識阻害系の魔道具。噂の誇張。候補はいくつかあります」


「でも、魔道具なら魔力感知にかかりやすい」


「多くの場合は」


「今回は記録が薄い」


「はい。ただし、記録自体が不完全です」


「断定はしない」


「はい」


 リオルは自分で言って、少し笑いそうになった。


 最近、何度も聞いている言葉だった。


 断定しない。


 分けて置く。


 消さずに残す。


「つまり、その盗賊が精霊具を持ってるかもしれない。でも、それだけでは説明できない」


「正確です」


「火事と関係は?」


「現状では、関係があるとは言えません」


「じゃあ、別件ですか?」


「現時点では、その扱いが妥当です」


「それでも記録には残す」


「はい。噂として残します。結論として扱ってはいけません」


 カイルが報告書をまとめる。


「盗賊の件は、街道警備の報告に回します。火災調査とは分けて記録します」


 ミレイユも頷いた。


「ギルド側では、関連未確定の周辺記録に入れます」


「それで構いません」


 メルセナは言った。


「分けるけど、消さない」


 リオルが呟く。


「正確です」



※第7話「気配を消す盗賊」は全四回です。

続きます。


作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/summoning-management-course-basic-top/

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