表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

第3話 リトラクス

ズズン、ズズン、と重い足音。

四つ足。岩のように硬い胴体。背中には無数の骨の突起。異形の姿は1体目よりもやや大きく、迫力が増したようだ。


シュンはスティックを握り直す。



ユウナは小首をかしげ、静かに告げる。

「気をつけて。大きな拍の歪みが集中しているモンスターよ。

無理に力任せで倒すと、壊れてしまう」


シュンは深呼吸し、集中する。

(よし……行くぞ、エイトビート!)


イメージした瞬間、足元にドラムセットがふわりと出現。

スネア、タム、シンバル、バスドラ。触れると感触も重さも完璧。


いつものリズムを奏でる。


ドンタンドドタン! ドンタンドドタン!!


再び身体とドラム、世界の拍が完全に同期した瞬間――

異形の動きが止まり、体が徐々に縮み始めた。


異形のモンスターは小さくまとまっていった。


つぶらな瞳に、少し拍が狂っているせいか首をかしげる仕草。


ユウナは静かに言った。

「うまく調整できたわね。2回目でこんな慣れて、すごい!」


シュンはそっと手を差し伸べる。

モンスターはぴょこんと跳ねて地面に着地した。


モンスターの周りにはキラキラと光が輝いて見えた。


「この光ってなんだろう?さっきの子にもあったけど」


「それはリトラクスという光よ、その光を集めるように念じてみて」

ユウナは言う。


(よし、こっちへ来い!)


シュンが念じると光が空を旋回してシュンの手に吸い込まれる、


「うわぁ、、」


たちまち一つの塊になった。


コロン


「えっ、何これ。すごい綺麗」


「それが魔石よ、リトラクスを集約したもの」



「魔石……」

シュンは手に取り、温かさを感じる。


ユウナは頷く。

「整えた拍の力は、この世界で価値になるのよ。街ではこれを使って道具や食料、情報も手に入れられる」


シュンは魔石を手に深呼吸した。

(なるほど……ただの戦闘じゃない……世界を整えて、生活も支える……)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ