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第99話 密談

「なんだ、もう薬がなくなったんだって?」


「ああ、馬鹿みたいに欲しがる奴がいてさ」


「へえ、やっぱりあの戦闘集団の中に入るとそんな奴がいるんだな」


「まあな

ボルディ、そっちはどうなんだ?さばけてるのか?」


ボルディは20代半ばくらい、髪を短く刈り上げた痩せ型の男だ。


「それが意外とこっちも欲しがる奴が多くてさ

まぁ、貴族の世界も色々とパワーバランスがあって大変なんだろうよ」


「ボルディよ、この戦争もそろそろ仕上がるぞ

全く、長年の苦労がようやく報われる日が来そうだよ」


「そううまくいけばいいけどな

律動連盟はどれほどクーデターに本気なんだ?

お前の薬の売れ行きにも影響が出るんじゃないか?」


「ボルディ、そう簡単じゃないぞ

ボスのダラドはなかなか抜け目のないやつで、下手すると俺の動きを察知されかねないんだよ

まあ薬は末端の奴らにだけ少数売れてるくらいかな

クーデターの方は、俺が動くまでもなく十侍僧の方から律動連盟つぶしに躍起になってくれたからな

こっちの手柄はなしさ、上の連中もそれはわかってる」


「はは、長年の苦労とか言う割には、お前自身の力は大して関係ないってことか」


「うるせえな、ばれたら終わりの任務を仰せつかってるんだ、俺たちの仕事は離間工作じゃなく情報伝達がメインだろ?

お前はどうなんだよ」


「そう言われると、同じだな

うまく先導して階級間闘争を巻き起こさせようとしたものの、

こっちの学院は先生から生徒までドゥール(奴隷階級)が大嫌いでさ

俺が何もしなくたってこいつらはやり始めるつもりだったって感じよ」


二人は声に出さずに少し笑った。


「とりあえず女神真教の奴らは爆発寸前だ

エイカーはもちろん、律動連盟の奴らの中からも、暴発に参加する奴がおそらく出るだろう」


「もう終わりだな、この国は

後はどれだけ被害を大きくできるか」


「結局軍部に潜り込もうとした奴らは誰ひとり消息不明になっちまったし、意外とそっちの組織はしっかりしてたな

これがうまく動かせればもっとぐちゃぐちゃな内戦に出来そうだったのに」


「ピクス共和国の方は、軍部から政府から入りたい放題で、いくらでもこっちの扇動に応じてくれるんだけどな

あとはこのクーデターに乗じて一斉攻撃させるだけ」


「日程がわからない

それだけは本当にお前次第だぞ

おそらくことを起こすのは、律動連盟がきっかけになるからな

ボスの部屋に張り付いてでも何とか情報を得られないか?」


「どうだろう

連盟発進ではなく女神真教やエイカーのやつらと共同でやると俺は踏んでいる

そっちの情報を頼りにしたほうがいいぞ

シュリガリが今女神真教の幹部まで上り詰めたからな

奴の方が期待できるだろ」


「エイカーにはスィヤハがいるしな

こっちは扇動しやすいらしいからシュリガリと連携させるように仕向けることができるだろう

そうすれば、確実に日程はつかめるはずだ

というか、こちらから決めることだってできるかもしれないな」


「そうだな、後はマガラ軍の連中をこっちの話に乗せられるかだけか

ヘムネルなあ、奴を言いくるめるのが一番の至難だよ」


「意外に慎重な奴らしいからな、よほどの確証がないと動きそうにないか

ところでさ、拍の対抗戦の話は聞いてるだろ?

今回は16才以下なんだってさ

さらにタラブ王国の先鋒はドゥールの女の子だと、驚くよな

お前見たことあるか?」


「ある、ティンタだろう?

正規の律動師ではないが、確かに奴は凄いぞ

我々からしたら大した事ないかもしれないが、この国の若者では正直ダントツだ

お前、学院にいるんだからメンバーはもう全員見れたのか?」


「見た


先鋒ーティンタ

次鋒ーカルワ

中堅ーナルワ

副将ージャヌル

大将ーワルアルテ」

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