第89話 旅の終わり
「これは…
星条旗だ」
「なんだ?シュン
わかるのか?」
シュンにはわかる。ずいぶん色あせているし、単色で書かれているからはっきりとそうは言い切れない気もするが、確かにそれはアメリカ国旗に見えた。
「フィリップさん、無理なお願いだと思うのですが…これをぼくに預けてもらえますか?
ぼくの友達にこの紙を読ませて解読したいのですが」
「その文字が読める方がいらっしゃるのですか?
それでしたら、ぜひお願いしたいです
お持ち帰りいただいていいですよ
それでは、箱をお持ちしましょう」
フィリップにとっても、自分の骨董品の内容を解読してもらえるのであれば、願ってもないことだ。
「シュン、どういうことなんだ?
教えてくれよ、ずるいぞ」
「ライドン、おれにもわからない
本当にわからないんだ…
でも、ここに書いてあるこのマークだけは見たことがある… 」
「シュン…」
皆、シュンに何のことなのかは聞かない。
それぐらいシュンの表情に思い詰めたものがあったからだ。
アミリアとエイジーンは、詮索しすぎぬようシュタルクから言い含められてもいた。
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翌日、シュンは何か様子がおかしかった。
馬車の中でも、ただ遠くを見つめ、ずっと何かを考え込んでいるような雰囲気でいた。
いつも周りを気遣うタイプのシュンが、自分の世界にこもってしまうのは珍しいことだったので、ライドンもそのことには触れずにいる。
サビアラはそんな静かな雰囲気のシュンを好ましくを持っていた。
この人が考える時間が欲しいのであれば、そうさせてあげたいと思っている。
5日間の長い旅を終え、無事馬車はクロニアの街に到着した。
「サビアラ、本当にありがとう
君のおかげでたくさんの願いを叶えることができた
どうやってお返ししたらいいかわからないけど、何か君の望むことがあったら何でもお手伝いさせて欲しい」
「そうね、それなら1日ぐらいデートに付き合ってもらおうかしら」
「あ、そうだね、二人きりでのデートとかはちょっと…」
「はあ、まだステラのことが好きなのね
全く、私ってそんなに魅力ないのかな?」
「えっ!?
シュン、あなたステラとそういう関係なの?
えーっ!?」
アミリアとエイジーンは驚きの声をあげた。
「違うよ!サビアラが勘違いしてるだけだよ!
サビアラ、本当にやめてくれ!」
ライドンは腹を抱えて笑っていた。
「びっくりした、ステラってそういう趣味なのかと思っちゃった…
あの人ってほら、あれだけ綺麗なのに恋人なんていたことないんだから」
「アミリア…いたってお前には言わないだけかもしれないだろ?ステラはそもそも秘密主義なんだから」
二人はステラのことをよく知っているような雰囲気だった。
商館でサビアラと別れると、四人は同じ方向へ歩き出す。
四人とも律動連盟御用達の同じ宿を常宿としているからだ。
「シュン、ライドン
聖拍院に寄るぞ、実は昨夜、ジルから振動報で連絡があった」
歩きながら、エンジーンが二人に話かける。
「お前たち二人にゲームをしてもらう
勝った方が対抗戦の代表だ、やる気が出るだろう?」




