第88 話 宝物庫 2
「見てもいいですか?」
シュンはすぐにフィリップに問いかける。
「もちろんいいですよ、でもなんだかわからないものなので、価値は無いかもしませんが」
「構いません」
シュンは小走りでその場所へ駆け寄った。
もちろん、クロノスから聞いていた異世界人の痕跡があるなどとは考えていない。
それでも、シュンの中にある何かが彼を突き動かしていた。
何かがある。絶対に。ーーそう信じて。
「これは…衣服や道具ですね、ほとんどが
よくわからないものもたくさん…
振動計のようなものも見えますが」
「見せてくれ、シュン」
この中で一番の物知りは、おそらくエイジーンだ。彼が身を乗り出して、そこにあるものを物色し始めた。
「確かに振動計のようにも見えるな
しかしこれは完全に壊れている、動きそうにない」
この世界はどこへ行っても、振動の技術が要求されるようだ。
クロック王国で使っているものとは意匠が少し違って見えるが、働かせる力はやはり振動のエネルギーなのだろう。
「何かガラクタばっかりだな」
ここの主人を前にしても、ライドンは思ったことをそのまま口にする。
「ライドン、ガラクタかどうかは直してみないとわからないだろう?意外と有能だったらどうする?」
エイジーンはそう言ってくれるが、ここでは思ったほどの収穫はなさそうだった。
くたびれた衣服や手袋、からくりの人形、確かに目を引くものは並んでいる。
だが、どれも珍しいというだけだ。
クロック王国の外から来た品であることは間違いないのだろうが、そこに異世界の気配はない。
せいぜい、知らない土地の古道具屋を覗いているような感覚に近い。
シュンの胸の奥でわずかに膨らんでいた期待は、静かにしぼんでいった。
「この蔵にあるものはディアニルズ様から購入したものがほとんどですが、ここの海岸に流れついた珍しいものまで集めてるんですよ
だから、どうしても状態が悪いものも多くなってしまうんですよね」
フィリップは高級品の収集家と言うよりは、単に何でも集めちゃう本物のコレクターのようだ。
「なぁ、シュン
これってなんだろうか?
何かのメッセージだと思うんだけど…
レゾヌスの遺跡にあった古代語じゃないか?」
ライドンが何かを見つけた。
それはとんでもなく年代を経たように見える1枚の紙切れだった。
そこに書いてあるのは…確かにあそこで見た古代語に見える。
「…!
でも、これって…!
え?!なんで…」
直後、シュンの体に電撃が走った。




